試供品



は〜い。

ピンポンの音で、条件反射的に開けてしまったドアの向こうには、
試供品の袋をぶら下げた、販売員らしき人が立っていました。

なな号んちには、けっこうな確率でここの会社の
方達が訪問されます。

配達販売のお願いだとわかっているので
「うちでは、お願いする事はないと思いますので
すいません、けっこうです」といつも、キッパリと
お断りし、試供品は受け取りません。

「ちっ、ドア開けるんじゃなかった」と心の中で舌うちを
しながら、しかめ面で「あ、それ...」と言いかけると、
その販売員さんは、なな号の気持ちをすばやく察知
まるで何も聞こえなかったかのように、早口でいくつか
商品の説明をしました。

再び「でも...」と言いかけるなな号。

「新製品なのでとにかく試しください！」

またシカトされた...

唖然としているなな号に、絶妙なタイミングで
袋を手渡しました。


ワォーン！ワンワンワンッ....！！


ワンコ達が吠え続けようが、「あ、パピヨンですね、一匹ですか？」

「いえ...もういっ...」

「あ〜〜っ、トイプードルですね」

また、聞いてないし...

「ちなみに、青汁のチラシも置いて行きますので、
検討してください」

「このヨーグルトは、サミットで買うよりお安いんですよ」

「では、よろしくお願いします」

あれよあれよと思う間に、チラシ数枚まで
手渡されてしまいました。


ぐぇー、すごい！
口をはさめなかった！！




別にいいんだけどさ、試飲するだけでいいんならさ。

ふてくされ気味に中を覗くと...

ふ〜〜ん、こんな商品あるんだ....おいしそう...かも


...て、いやいや、配達してもらうつもりはないんだから。
それじゃ、あの方の思うつぼでしょうが。

自分につっこむ、なな号でした。