カオルくんの闘病記

10月1日(火)

朝食100パーセント完食。昼食90パーセント。夕食後、嘔吐が始まってしまう。吐き気止めの座薬を使用。

10月2日(水)

朝食も昼食もまったく食べられず。嘔吐が激しく、座薬も効かず。

10月3日(木)

昼までに23回嘔吐。カオルくんは前回の抗がん剤治療のときよりきついと言うが、今回は前回の治療のときより、薬剤を少なくしているためか、嘔吐が始まったのは1日遅かった。水もまったくダメ。カロリーメイトを昼に飲み、吐かず。夜は飲み、吐く。フェノファール注射。けいれん止め。

10月4日(金)

昨日より驚きの回復。朝食70%、昼食55%を食べる。夕食60%+ちづちゃんの差し入れたパンもたいらげた。元気でびっくり。

10月5日(土)

朝まで点滴で終了。朝食70%、昼食50%、夕食20%。疲れていて、ため息。

10月6日(日)

朝食70%。きょうは起き上がって車イスに座る。朝寝のあと、昼食前ものすごい悪寒がする。熱を測ってみたら37度近くあった。昼食10%。差し入れのチーズ蒸しパン1つと、杏仁豆腐を食べる。夕食40%。ちらし寿司のあまりのまずさに激怒。

10月7日(月)

朝食100%で、きょうは完食。昼食10%(松茸ごはんのまずさに怒る)。夕食100%。きょうも悪寒あり。だが昨日よりひどくはない。

10月8日(火)

朝食100%、昼食は梅干しのおむすび、ごはん1/3とパンを食べる。やはり悪寒がして、きょうは37度を超える。

10月9日(水)

朝食80%、昼食98%とプリン、夕食80%。やはり悪寒がとれなかった。

10月10日(木)

朝食80%、昼食40%+ヨーグルト、パン。夕食40%。白血球が通常の半分に下がっている。

10月11日(金)

朝食95%、昼食40%(グラタン・ゼリー)+パン。夕食80%。悪寒がとれず。

10月12日(土)

朝食95%、昼食45%(チキンソテー)+パン。悪寒がとれず。

10月13日(日)

朝食98%食べる。昼食は梅干しおにぎりを1/3とパンを食べる。夕食は90%。夜から加熱食になる。抗がん剤の副作用で、白血球が2000と、かなり下がってしまう。昼から感染症を防ぐために、私も見舞客も面会時には、マスク着用を義務づけられる。午前中に2回採血。

約1か月ぶりに息子ふたりと対面をした。抗がん剤の副作用で、ものすごくたくさん毛が抜けていたが、ふたりは特にお父さんの抜け毛にびっくりしていた様子はなかった。私はもう少しびっくりするかなあ、と思っていたのだが……。久しぶりに会った子供たちだったが、彼等はマスク着用がうっとうしそうだし、またベッドの周りをチョロチョロするので、病室を出ることにした。父親が手をつけなかったごはんでおにぎりをこしらえ、食堂で子供たちに食べさせた。紙とペンを持たせると、ふたりはおとなしく、ずっとお絵描きをしていた。

10月14日(月)

朝食95%、ほぼ完食。昼食は、カレーうどんを80%食べた。夕食40%とチーズ蒸しパンを食べる。口内炎は今のところ大丈夫そう。

10月15日(火)

朝食は完食。昼食10%程度。ただその他に差し入れのピロシキ、メロンパン、ビタミンゼリーを摂る。夕食90%。再び悪寒に見回れる。体温は30度後半。微熱がある。

10月16日(水)

朝食90%。昼食80%。夜はごま塩おにぎりにして差し入れ、久々にお米のごはんを完食。ギョウザをおいしいと言ってくれてgood!

10月17日(木)

朝食100%。昼食はパンで40%。夕食40%。悪寒はだいぶ軽くなり、1週間ぶりにシャワーを浴びた。足元がふらついてなくて、なんだかホッとした。

午後T先生の受診のため診察室へ。ところがカオルくんのカルテが手元にないという。「カルテが回ってなくて……。どうなってるんだろう? 大学病院はおかしいね」と、先生が自ら7階に問い合わせの電話。「看護婦さん怒らせちゃうといけないしね。看護婦さんがいちばん偉いから……。でも、いちばん偉いのは看護婦さんなのにね」などと、先生が話してくださっている間、カオルくんのカルテが到着。

血圧を計り「いいねー、お父さん、前回よりいいんじゃないですかー、見た感じね。はい、ちょっと立ってみてください。片足上げて。ウーン。私はリハビリの資格も持ってるんですよ。いいですか、リハビリの先生との1日、20〜30分がリハビリではないんですよ。日々の暮らし……車イスに乗っていたって、両足を上げ下げする。それだけで腹筋が鍛えられますよ。手もグーパーする、それから伸ばす。曲げるより伸ばすほうが大切なんです。後退すると、どんどん曲がったままになっちゃいますよ」と、T先生。ふだん私がカオルくんにハッパかけてる言葉通りの発言だ。

ナミエ「先生、いつも同じことを私が言ってるんですが、彼は煙たがるんです!」
T先生「だめだなー。お父さん、ちゃんとやらなきゃー」
ナミエ「のんきなんですよ。とってもノーテンキなんです」
T先生「ノーテンキはいいのよ。ノーテンキは長生きしますからね。頭はノーテンキ、でもリハビリは一生懸命。わかりました? では、薬は同じものをずっと続けますので、来月の予約は、特に必要ないですよね?」
ナミエ「えっ? できれば先生にお会いして、彼にハッパかけていただけるとありがたいのですが」
T先生「そうか。そんなにボクが好きなら……」

ということで、11月4日(木)に、また診てくださることに決定。いやー、つくづくいい先生だー!!

10月18日(金)

朝食は100%。昼食80%。夕食90%。よく食べるようになったが、悪寒はますますひどい。白血球数は上がったはずなのになぁ……。このところのカオルくんのワガママ、王様気分に、カオルくんの妹のちづちゃんも激怒。昨日T先生もいっていたが、少しほったらかしにしよう!!

10月19日(土)

朝食100%。昼食70%。夕食60%。

10月20日(日)

朝食95%。昼食95%。夕食20%。

10月21日(月)

朝食100%。昼食95%。そろそろリハビリを……と、カオルくんに言うと「きついんだよな」だって。頭にくる!!

10月24日(木)

夕食30%プラス差し入れのカレーパンやヨーグルト、バナナを食べる。医者が「歩くのに2〜3年かかる」というなら、「半年で歩いてみせる!」というような意気込みを見せてよ、とカオルくんにゲキを飛ばすと「おう!!」と、いう返事が返ってきた。

10月25日(金)

朝食90%。昼食90%。夕食20%。

10月26日(土)

朝食100%。昼食10%、パン2個。夕食80%。しかし、吐いてしまった。

10月27日(日)

朝食90%。昼食0%。夕食0%。

10月28日(月)

朝食90%。夕食10%プラス差し入れのパンを食べる。

10月29日(火)

朝食95%。昼食は、差し入れのハンバーグセットとパンを食べる。夕食はリンゴ缶、メンチカツパンを半分。午前中にシャワーを浴び、14時30分から抗がん剤治療のための輸液が始まった。

10月30日(水)

朝食95%。昼食20%プラスチーズ蒸しパンを食べる。この日から3回めの抗がん剤の投与を開始。抗がん剤治療を始める前から嘔吐があるので、それを医師にたずねてみた。M先生からの説明は、16時にI先生に変更となった。

「化学療法は、よく効いています。3クール終了後、副作用が収まって、吐き気や白血球の減少などが回復したら、お正月には退院できるでしょう。ただ投与前からみられる吐き気は、どこから来るのか。頭に水が溜まっていて、水頭症の疑いもあります。今、背中から髄液などを取って調べているところですが、はっきりと水頭症だという判定はできません。頭に水がたまって、内圧が高くなるので注射による水抜きをすればいいのですが、針を刺すということは、菌を侵入させる機会をつくることにもなるので、できたらあまりやりたくありません。抗がん剤治療を控えているので、注射もしないでいます。頭の水を気にかけながら、最後の抗がん剤投与を頑張っていきましょう。水のこと、気にはなりますが、化学療法の成果にはホッとします」と、I先生。

夕食、茶飯とおでんが出た。はじめ茶飯と知らず「なんだ、このごはん。蒸かし直しか?」なんて、ちづちゃんと文句をいってしまう。カオルくんは、ちづちゃんの差し入れの春巻き、ニラまん、そして茶飯を少し食べる。私の差し入れ「もちもちパン」もね。カオルくんと一緒に、ちづちゃんと私で、病院食のおでんをつまむ。茶飯もつまむうちに本格的に食べてしまった。その後、チーズ蒸しパンなど、いろいろ差し入れをして帰宅した。

10月31日(木)

この日、私は病院を休んだ。日本シリーズが終わって、「巨人4連勝日本一」の“つまらなさ”をカオルくんと話したかったんだけど……。病院に行かなかったので、話せなかった。その深夜、まさかこんな大変な事態になろうとは……。