Vol.24 「デビュタント参加体験記」その6〜舞踏会前のレッスンが終了

デビュタントレッスンも4日目、最終日となりました。今日はウィンナーワルツの曲を重点的に練習することと、もうひとつ大事な、オープニングセレモニーでの「入場」「ご挨拶」、そして2曲めに移るための「並び替え」などを練習しなければなりません。

舞踏会シーズン、ウィーンの街のショーウィンドーには、華やかなドレスが飾られます。道行く観光客も足を止め、「このドレス、いくらかしら……」と品定めをしています。
デビュタントの方からは、もっと特別レッスンをしていただきたいと毎回ご要望を受けるのですが、マティアス先生の方針で、長時間レッスンや何回ものレッスンはせず、50分2コマを2日間としています。当日は舞踏会開始の数時間前からゲネプロで何度も通しで練習するし、しかも他のデビュタントたちと一緒に動くので、自分たちだけの練習よりはるかに踊りやすくなるので、「そこまでハードにやらなくても大丈夫!」と、いうことなのです。

大丈夫と先生には言われても、皆さん少々不安な面持ちのまま、本日でデビュタントとしてのレッスンはすべて終了です。マティアス先生から明日の舞踏会本番に向けてのさまざまな注意と事務連絡いただき、最後に「今夜はもうあまり(デビューダンスのことは)心配しないで、明日は楽しんで踊ってください」の言葉をいただきスクールを出ました。

その後私たちは、明日の会場である市庁舎の近くの、アプフェルシュトルーデル(アップルパイ)がおいしいと評判のカフェに場所を移し、お茶をいただくことにしました。そこで私から今回初めてデビュタント参加のSさんに、「直前ガイダンス」です。

明日の服装や小物の確認、ゲネプロ集合の時間・場所の確認、舞踏会ダンス・カドリールについて、舞踏会の流れなどをお話ししました。けれどもSさん、なぜかこれまでより口数が少ない様子なのです。4日間のデビュタントレッスンでお疲れなのかとその時は思ったのですが……。後日ご本人から聞いたところでは、その時すでに、緊張が始まっていたとのことなのでした。それを聞いて、私は自分が初めてデビュタント参加をした時の、レッスンなどのことを思い出していました。

……そう、私にとっても、「ウィーンの舞踏会でデビュタントになる」のは、大きな夢でした、それがかなったのは、舞踏会に参加するようになってからしばらくたってからのことでした。