Vol.22 「デビュタント参加体験記」その4〜レッスンの開始

ウィーン「花の舞踏会」デビュタントのマナーコース第一日目、マナーレッスンが終わると引き続き、「左回りのウィンナーワルツ」レッスンです。

デビュタントになる資格で最も重要なのは、「左回りのウィンナーワルツが踊れること」。普通の、右回りのウィンナーワルツに比べ左回りはステップが少し複雑で、また、男女が組んだ時の構造上、ただでさえ目が回るテンポの速さに加え、さらに回転しにくくなります。この“左回りのウィンナーワルツ”は、ある程度社交ダンスを習っていてもまず踊る機会のない特殊な種目で、社交ダンスを踊ったことのない人が、即席で踊れるようになるのは少々難しいのです。また舞踏会によっては、デビュタント応募者にこの踊りのオーディションを行う場合もあります。ですので、現地でデビュタントを希望される方は必ず、この踊りを日本でも習ってきてもらうようお願いしています。

先生がテーブルセッティングの説明中です。
先生のお婆さまのイニシャルが彫られたカトラリー類。写真ではよく見えませんが、この王冠マークは男爵家であることのシンボルなのだそうです。また、同じイニシャルデザインが、お皿類には金でペイントされていました。
今回デビュタント初参加のSさんは、以前オペラ座舞踏会に参加されたことがあり、その際にウィンナーワルツのレッスンも受けていました。「もう忘れました」とは言いながらも、左回りのウィンナーワルツも何とか先生の合格点が出たところで、第1日目は終了です。

翌日、Sさんのレッスン2日目は、他のデビュタント参加者2名も加わって、左回りのウィンナーワルツのみを徹底的にレッスンです。この2名は“デビュタント経験者”ですが、今回会場で踊る予定のデビューダンスの曲には、まだ合わせていません。“夢をかなえる”ためには頑張らなくては、ですね。

レッスン3日目、午前中はテーブルマナーです。ショートバージョンのため本物のお食事は出ませんが、マティアス先生が自分の家で代々使っている食器やカトラリー類を実際に使わせていただいてのレッスンです。ナイフとフォークの基本的な使い方は、今や日本でも常識となってはいますが、例えばお食事をいただいた後のそれらの置き方ひとつにしても、“なぜそうするのか”という理由があります。理由があってこのマナーの形が生まれた、ということを知っていればそれだけ、応用もできるというわけですね。

ランチタイムをはさんで、デビューダンスレッスンがいよいよ始まります。