Vol.21 「デビュタント参加体験記」その3〜基本中の基本は「マナー」

ウィーンのダンススクールで、マティアス先生からレッスンを受けているところです。
私が代表を務める日本カドリールダンス協会、『クライネ・クローネ』では、ウィーンで舞踏会のデビュタントとして参加する前に、現地でのダンスレッスンだけではなく、社交マナーも必ず受講していただいています。

マナースクールやフィニッシングスクールに通うことは、日本でも最近、盛んになってきたように思います。国際的な社交の場においてのプロトコール(国際儀礼)を身に付けるのは、今後さらに、女性に限らず男性にも必須であるということはもはや常識。デビュタントとしてダンスを踊るということは、一人前の社会人としてのデビューであり、当然ながら社会常識であるマナーも、身に付けていなければならないのです。

『クライネ・クローネ』では、西洋式マナーの発祥であるヨーロッパで、社交の場に出る機会に習っていただきたいと、“マナーコース”を設定、教えてくださるのは、マティアス-マリア・ウリスク・オーベアティンスキー先生です。現在ウィーンのダンススクールで、社交ダンスのみならず、社交マナーもオーストリア国内外の数多くの方たちに教えています。通ってきている現地の生徒さんの中には、誰もがその名前を知っている大貴族の子女もいるそうです。また、先生自身もオーストリアの男爵家、つまり貴族の家系です。

私もウィーンで、彼からマナーをひと通り習って参りましたが、大切なことは“マナーは形ではない”、つまり、自分の周りのどんな人に対しても常にrespect(敬意)を持って接することなのである、という根本的なことが、マナーの詳細よりも心に残っています。また、マナーはTPOに合わせ応用していくことも大事で、応用させるためには正式の、最もフォーマルな礼儀・マナーの形を知っていなければできない、ということなのです。

それではさっそくマナーレッスン第一日目です。まずは“社交の場でのマナー”についてです。ただし今回はデビュタントとしてのダンスレッスンが優先課題ですから、マナーレッスンはショートバージョンです。具体的には、「日常のマナー」「フォーマルな社交の場でのマナー」「レディーファースト・エスコートのマナー」「ドレスコード」そして「服装や身だしなみ」などです。2時間という限られた中で、基本的なこと、重要なことは先生のお話しから学び、エスコートマナーなどは実践しながらのレッスンとなります。