Vol.20 「デビュタント参加体験記」その2〜デビュタントが大変な理由

ウィーンの青い空にそびえる、100年以上の歴史を持つ市庁舎。
ウィーン舞踏会のオープニングセレモニーで、参加者たちの前で白いドレスを着て踊り、拍手を浴びる……そんなデビュタントたちの姿が日本でも時折、テレビや雑誌などで紹介されています。中でも、スワロフスキー製の小さな王冠を頭上に輝かせるオペラ座舞踏会(オーパンバル)のデビュタントに憧れる女性は多いのです。私が代表を務めるクライネ・クローネにも、「どうしたらウィーンの舞踏会でデビュタントになれるのですか?」というお問い合わせをしばしばいただいており、これまで、王宮舞踏会でのデビュタントコーディネートを行ってきました。そして今回は、ウィーン市庁舎(ラートハウス)での「花の舞踏会」が舞台です。

その「花の舞踏会」に、日本から3名がデビュタントとして参加されましたが、うち2人はすでにこれまで、王宮での舞踏会でデビュタントを経験されています。本来、“一生に一度”であるはずの社交界デビューなのですが、現代のウィーンは舞踏会の数も多く、何度もデビュタントとして出る若者も少なくありません(実は私も、王宮や市庁舎の舞踏会にてデビュタント参加を5回ほど経験しております)。

さて、デビュタントとして舞踏会に出るためには、オープニングセレモニーで披露する踊りを2曲、マスターしなければなりません。それは、ポルカ、そしてウィンナーワルツ(左回りを含む)です。そしてどちらも毎年、違う曲での新しい振付けとなるので、たとえ日本からの参加であっても、これらをまず覚えなければならないのです。それはデビュタント経験者であっても同様の条件。一緒に踊る現地のデビュタントたちは、すでにダンススクールで2か月以上前から練習を重ねてきています。その彼らに混じって、ちゃんと踊れなければなりません。ただでさえヨーロッパ人の中に日本人であるというだけで目立ってしまうので、そのプレッシャーたるや、決して小さくはありません。

クライネ・クローネが提携しているウィーンのダンススクールでは、現地の練習に参加できない日本人デビュタントのために、舞踏会の数日前から英語による特別集中レッスンを設定しています。私も、通訳および先生の助手(?)としてレッスンに参加です。というわけで、今回の「花の舞踏会」デビューダンス特別レッスンは、舞踏会の数日前から始まりました……。