Vol.04 ウィーンの舞踏会シーズンの始まりです

「マキコ、1月25日に、王宮の舞踏会に行けるかもしれないのだけれど、一緒に行かない?」……今年の1月、ウィーン滞在中の私の携帯電話に、現地の友人であるペーターからそんな電話がかかってきたのは、その“行けるかもしれない”舞踏会の3日前のことでした。

「行けるかもしれない、というのはどういうこと?」の私の質問に、「うん、クリスタ(私たちの共通の友人)の同僚がその舞踏会の関係者で、入場チケットを4枚、もらえるかもしれないんだ。でもそれがはっきりわかるのが、舞踏会の前日くらいになるのだけど……」と、電話の向こうのペーター。

「もちろん、行きたい! じゃあ、連絡待ってまーす。ところで、それは何の舞踏会?」「BOKUBALLだよ」「OK!」と、言って電話を切った私でした。

BOKUBALL……これは、かつてハプスブルグ王家の居所であったウィーンの王宮(ホーフブルグ)で開かれる、「ウィーン土壌文化大学」が主催の舞踏会です。私は数年前に1度、参加したことがありました。その日私は、全体にフリルが施されたオレンジ色のドレスを新調していったのですが、大学の主催ということもあり参加している人達は学生が多かったせいか、王宮での開催である割には、参加者のドレスは全体に比較的シンプルで、フリフリドレスの私は少々、浮いてしまったような印象を持ったことを思い出していました。

舞踏会によって規模も飾り付けも違います。これはウィーンの王宮で開かれる、舞踏会場で、天井近くの壁には、ここの舞踏会の歴史を表すような写真や絵が飾り付けられています。
“行けるかも”の電話の後、結局その舞踏会のチケットが入手できたとの連絡がペーターから私に来たのは、なんと舞踏会当日の朝でした……。そんな経緯で、この「社交界通信・ウィーン舞踏会編」第一弾は、“今年の舞踏会シーズン初めての王宮舞踏会に、タダで参加しました”エピソードからの始まりとなりました。

さて、ウィーンの舞踏会シーズン中、私はほぼ毎年ウィーンに滞在しますが、その前に私はいつも、シーズン中に参加を予定している舞踏会の、「格」や開催場所、誰と一緒に行くかなどを考慮し、どの舞踏会にはどのドレスを着ていくか、をだいたい決めていきます。それが今回のように“飛び入り舞踏会”の予定が入ると、頭の中に作った「ドレス予定表」をいったんシャッフルし直しする必要があります。特に後日、同じ友人と別の舞踏会に一緒に行くことにならないとも限らず、その場合は“できるだけ同じドレスを着ていくことにならないように”調整しなければならないからです。

やはり、舞踏会では女性は、“いつもと違う、非日常のワタクシ”を見せられる場でもありますし、一緒に行く男性だって、一緒に行く女性のドレスにはきっと注目しているはずですから、それは大事なことですね。例えば毎年必ず一緒に舞踏会に参加する私の親しい友人のひとりなどは、コートを脱いでドレス姿になる私に必ず、「いつもながらとても素敵だネ」と、言ってくれるのですから。