Vol.05 ウィーンの友人、ペーターをご紹介しましょう

知り合ったころのペーター、ひげを生やしていたので、とても年上に見えましたが、実は……?
今回の舞踏会へ一緒に行くのは、もう数年来の付き合いの友人たち……電話をくれた、独身のペーターと、ペーターとクリスタ夫婦です。もちろん全員ウィーン在住のオーストリア人です。ちなみにペーターとペーターは、名前も年も同じなら誕生日も3日違いという幼なじみです。大きな違いは……背の高さ。“小さいペーター”と“大きいペーター”です。

ところで私はウィーンの舞踏会について、日本でお話しさせていただく機会がたびたびありますが、女性からよく聞かれる質問に、「舞踏会では踊りに誘われたりしますか?」というものがあります。やはり、ヨーロッパ・宮殿・舞踏会と来れば女性としては、男性から手を差し出されて「踊って頂けませんか……」とうやうやしく(でなくてもいいのですが)申し込まれるシーンを想像してしまいますよね。

けれどもそんな女性軍の想像に残念ながら少々反して、ウィーンの舞踏会では実際には、そのようなシーンはあまりありません……。なぜなら現地の皆さんはほとんど、カップルでの参加が多いからです。欧米はカップルで行動することが基本の社会。ましてや舞踏会という社交の場においては、それは考えてみれば当たり前のことなのです。

ある年の夏の終わりに開かれた船上舞踏会にて。ペーターとその友人たちと一緒に参加しました。
そんな中でも、グループで来ている人たちは少なくありませんし、また女性同士のグループも少数ではありますがいます。数年前、ウィーンの市庁舎で開かれたある舞踏会で、たまたま女性の友人と2人で参加していた私は、ダンスタイムになると予想通り、壁の花となっていました。そこへ「踊りませんか?」とダンスを申し込んできたのが、その時、グループで来ていたペーターだったのです。何曲か踊りながら話してみると(最初は私もドイツ語で頑張っていたのですが途中から、英語で)、とても感じのよい人で、そしてもしよかったら他の舞踏会にも一緒に行きませんかというので、携帯の電話番号を交換し……その数日後に本当に彼は、友人たちと参加する舞踏会に誘ってくれました。

それ以来、毎年私がウィーンへ行くたびに、必ず一緒に舞踏会へ参加しているというわけです。2人で行くこともあれば、彼の友人たちに混じってグループで行くこともあります。また、舞踏会シーズン以外でも私がウィーンに滞在している時には、一緒に飲みに行ったり、カラオケ(ウィーンにもあるのです!)に行ったり……こうして、ある日の舞踏会で知り合ったことから始まった交友関係は、今も続き、そして広がっています。