Vol.29 「デビュタント参加体験記」その11〜文化に“参加”するということは

「市庁舎」とは思えない雰囲気の舞踏会会場です。
ウィーン「花の舞踏会」で3人の日本人デビュタントは無事、2曲のデビューダンスを踊り終えました。そのひとり、Sさんが帰国後にお寄せくださった「デビュタント体験記」を、引用させていただきましょう。

「当日は緊張のしすぎでほとんどの記憶を失っていますが、確かにマティアス先生より証明書をいただいており、本当にデビュタント参加したのだと翌日になり実感したものです。日本に帰国し改めて夢のような時間を過ごしたと思います。まさにプリンセス気分でした。」

Sさんは数年前に舞踏会に一般参加され、それ以降ずっとデビュタントになる念願を持っていらしたようです。それが、舞踏会にご一緒したお友だちのYさんがデビュタントになられたのをきっかけに、今回思い切って申し込んでこられた理由だそうです。私としましても、新たにひとりがご自分の夢をかなえられたのはうれしいことです。

Mさんの初めてのデビュタントが終わって、緊張が解け、パートナーと握手をしている瞬間の写真です。
王宮舞踏会デビュタント修了証を持つMさん、そしてNさん。後ろに立っていらっしゃるのがマティアス先生です。
さて、「デビュタント参加体験記」シリーズの最後に、日本人デビュタントのために毎年、色々と特別な計らいをしてくださっているマティアス先生に感謝を表しますと共に、先生が「修了証」をデビュタントの方に渡される時に話されるメッセージを、ご紹介したいと思います。

「舞踏会は、私たちの文化の一部です。そこで我々の文化、生き方などを見て雰囲気を感じてもらうのがうれしいし、あなた方は、その我々の文化を伝えてくれる“大使”でもあるのです。本物のウィーン舞踏会を好きになってくれて、何度も参加し、楽しんでくれることをうれしく思っています」

……この言葉をデビュタントの方たちに通訳しながら、私は自分自身が、感謝と感動で胸が熱くなってしまったのでした。

We greatly thank Matthias for his special support for Debutants from Japan.

余談ですが、舞踏会当日、残念ながら体調を壊されたMさんは、オープニングを何とか無事終えたものの、楽しみにしていたカドリールには参加できずホテルへ帰られました。舞踏会へ参加される際には皆様、くれぐれも前日のお食事、そして体重管理にはご留意されますように。