Vol.06 舞踏会での楽しみ……いろいろな方たちとの社交

お食事の最後は、とても豪華なデザートで締めくくりです。
王室の方々に混じって、他の参加者たちも次々とフロアで踊り始めました。ふと気がつくと……大公が踊られている間、ダンススペースの端の角には、耳に無線をつけた男性−SPたちが、眼光鋭く微動だにせず立っています。楽しそうに踊っている人たちのすぐ横で、お仕事とはいえ少々怖い顔で(?)、会場内をじっと見ているのが、何とはなしにおかしくもありました。……いえ、大公を守る大変なお仕事、おかしいなどと言ってはいけませんね!

会場内は、各テーブルに置かれた赤いキャンドルスタンドからの光が、いっぱいにゆらめいています。オープニングが終わったところで、会場の天井が開き、周りの景色も空も見える、まるで屋外会場のようになっていました。

お食事も終わり、豪華なデザートもいただいた後は、参加者の方々は思い思いにテーブルを離れ、会場内を移動し出しました。私たちも別のテーブルにいる同行者の所へ偵察……ではなく移動です。

ニューヨークの五番街にオフィスを持っている音楽関係のインド人女性。
別テーブルにいる同行者の所は大公ご一家のテーブルやステージにも近く、心なしか華やかさが漂っています。同じテーブルには、例えば……サウジアラビアの石油王(本当にそういう方っているのですね)、ドイツのチョコレート会社社長、そのドレスとジュエリー、何より顔立ちと雰囲気だけでもひときわ目立っていたインドの女性は、ニューヨークの五番街にオフィスを持っている音楽関係の方でした。

また、同行者のお知り合いということでさらに紹介されたのは、ショパールの社長ご夫妻(奥方はご高齢ながら、とてもゴージャスな美しいドレスでした)、ピアジェの会長、某有名音楽祭のプロデューサー、などなど……。もちろん私も自己紹介させて頂きました。

ふだんは知り合うことのない方々の集う華やかな世界に、“普通の日本人”である私は、本当はまったく場違いであるのだということも、すっかり忘れて、舞い上がっていました。