Vol.05 ロイヤル・ダンスで、“さあ踊りましょう”

パーティのテーブルでお食事を楽しむゲストたち。
オープニングセレモニーが終わり、再びお食事と歓談となっても、隣の方々には英語が通じず、お互いに困った顔をしながらも、残念ながらお話がはずみませんでしたので、参加者の方たちを観察です。

男性はもちろんブラックタイ(タキシード)。そして女性たちはゴージャスなドレス……と言っても例えば日本の新婦のように介添人がいないと歩けないくらいのフリルやレース、チュールがどっさりというような豪華さではなく、全体はシンプルでもディテールや素材に凝った、ブランド物などです。

そしてヨーロッパ人、つまり白色人種であっても日焼けした肌は、日本人なら躊躇してしまうほどの露出も、そんなには違和感を覚えないものなのです。

ウィーンの舞踏会で私がいつも感じるのは、日本では女性は、“子供っぽい、かわいらしい、女の子”がもてはやされる傾向がありますが、ヨーロッパでの大人の社交場においては、成熟した女性らしさをアピールしていることが大切なようです。(そこで、ただでさえ実年齢より若く見られる私は、精一杯“大人っぽく”頑張るのですがそれでもやはり、「踊りませんか?」と誘ってくれるオーストリア人男子は、20代だったりします、これは喜ぶべきことなのでしょうか、それとも……?)

もちろん、露出度の高さや女性っぽさと、そして下品さは紙一重。それらが程よくバランスが取れているのが上品ということですね。

アルベール大公とステファニー王女のオープニング・ダンス。ちょっと写真はボケてしまいましたが……素敵ですね。
さて、フロアのステージでは、やがてアルベール大公とステファニー王女がオープニングダンスを披露されました。それを合図に、ダンスタイムです。そう、この舞踏会では、“デビュタント”のお披露目はないのです。

ダンススペースはそんなに広くはないので、皆さんが一斉に踊りだすという感じでもなく、またいわゆる社交ダンスではないので、音楽に乗って皆さん気軽に踊りましょう、です。そしてそれで充分なのです。“舞踏会”とは言ってもダンスはそれ自体が目的ではなく、あくまでも、社交の場を楽しむためのコミュニケーション手段のひとつなのですから。

ところで、ダンスタイムと言われましても、私たち一行は女性ばかりなのでした……。