デンマーク人は、北欧諸国の中で
最も食べることが好きな国民と言われている。
ノルウェー人は生きるために食べる。
スウェーデン人は飲むために食べる。
そして、デンマーク人は食べるために生きている。
そんな格言があるほど、食に対するこだわりは深い。

「ごめんくださ〜い。私たち日本からやってきたライターとカメラマンですが……。突然で申し訳ありません。おたくのごはんを食べさせていただけないでしょうか？」
おいしい家庭料理を求めて、世界を旅する私たちを、初めてのデンマークで快く迎えてくれたのは、アネッテ・スタンプさんという女性だった。アネッテさんは、『ロイヤル・コペンハーゲン』のウィンドウディスプレイを担当している、フリーランスのデコレーター。
「では私の友人、ミッケルセンさんの家にご招待しましょう。彼のおうちには、とても素晴らしいキッチンがあるのよ」
と、にこやかに笑うアネッテさんは、街で評判のお料理上手。東京で人づてに紹介してもらった彼女だが、話はスムーズに伝わり、私たちにデンマークならではのメニューを揃えてくれることになった。