なんだかんだと2時間ほどインタビューをして、一段落したときアーロンの奥さんは、フライブレッド(インディアンの家庭で作られる伝統的なパン)とお茶を用意してくれた。
できたてのフライブレッドはまだ暖かく、そのパンにとても合うのだとおしえられて、日本では見つけられないようなジャムをつけて食べると、とても幸せな気分になった。
アーロンの奥さんは知的な感じのする美人で、(実際じゃべり方も知的だった)服のセンスもよく、きちんとした性格の人だった。服装もカジュアルで、「人生なるようにしかならないのだから、流れに見をまかせて生きるんだ」と、ゆったり構えるアーロンとはずいぶんイメージが違った。彼女はきっと子供達のしつけも、きちんとしているんだろうなと思っている矢先、かなりうちとけてきたアーロンが、パンをほおばり、大笑いをしながら昔話をしていると、「パンのくずをこぼさないでね」と、ぴしゃりと奥さんに注意されたので、思わず吹き出しそうになってしまった。しかしアーロンの笑顔と笑い声は人をリラックスさせてくれる。彼の作る音楽そのものだ。
バーニング・スカイの最新アルバムに、彼等の音楽に共鳴した、バンド「ドアーズ」のメンバーJohn Densmore(ドラマー)が、レコーディングに参加した。これはドアーズのボーカルが亡くなって以来、失意の底にいた彼にとって、初めてのレコーディングだったそうだ。そしてそのアルバムは、グラミー賞のベストネイティブ・アメリカンミュージック、アルバム部門の「ベスト5」にノミネートされた。アーロンの魂は、たくさんの人たちの心に響き渡っているようだ。
|