イエス・キリスト生誕の地、現在人口67,000人の都市・ナザレ。中央にあるのがイエス聖誕教会。現在は相次ぐ爆破テロと報復攻撃でこの景観もどうなっていることやら…?
ナザレの町並み。このナザレ市を中心にしたイスラエル北部のガラリア地方にはユダヤ人とアラブ系国民が混在する都市部が複数ある。

草むしりがイスラエルでの最初の仕事

私は、へブライ語なまりの英語を駆使するヨハンジイさんから、独特のイントネ一ションで仕事の段取りを教えてもらった後、頭の中で「ドゥ ライクディス!」とジイさんの言葉を反芻しながら、「虎穴に入らずんば、虎子を得ず」ってのはこんなこんだな! と妙に納得しながらひたすら仕事に勤しんだ。

そして、1時間もすると、他の場所で仕事していたヨハンじいさんがまた現れ、「OK! ユーゴー、ブレックファースト!」といって、人差し指と中指を親指に合わせて口の前で動かす。すかさず、私も「ビセイデル! ビセイデル!」と言って笑顔で答えると、ヨハンじいさんも思わずニッコリ。「黙り込んでると、よほどのガンコジジイと思えるが、コミュニケ一ションがとれるとけっこう良い人みたい」とホッとしつつダイニングルームへ・・・・。

 

近くにあるアラブ人宅に訪問。今は沖縄でBARのマスターをやってる和家氏が「はいチーズ!」。中東にはあまり日本人は多くないので、突然たずねても結構歓待してくれた。

キブツのすべての中心ダイニングルームがボランティアの集会場

ダイニング・ルームはどのキブツでも同様だが、たんに食堂というだけでなく、全メンバーやその家族の集会場にもなっている。まさに皆が1日1回は顔を合わせるところ。そして、時には直接選挙の政治の場にも使われるし、結婚式の披露宴の場に使われることだってある。とにかくキブツのど真中ということだ。

そこに、いきなりやってきた我ら珍しい東洋からのボランティアたちも加わる。それもへンな日本人が10人近くも来ると、みんなきっとビックリするんだろう! と思っていたが、いざいってみると「ああ、新入りか!」くらいの表情。誰も、ちっとも驚いたりしない。“集団生活とはいっても、我が家の食卓にいきなり見ず知らずの得体の知れない外国人が来たら、さもビックリだろう”とは、あまりに島国的発想の自分たちだけだった。ここにはイスラエル国民であるキブツニックのほか、他国のボランティアには白人もいれば黒人、黄色人種もいた。

そしていちばん驚いたことには、アラブ人でさえいた。聞けば、イスラエルにはユダヤ人と共存を望んでいるアラブ人もいるんだそう。だからキブツに限ったことでなく、イスラエルにはユダヤ人支配地域で働くアラブ人たちも結構いるのだ。

そんなことを思いつつ、わずか300〜400名ぐらいの国際都市“ダイニングルーム”でインターナショナルな生活がいよいよ始まった。毎日の労働時間は8時間。それも朝6時間からレジャーの時間までたっぷりと充実の時間が過ごせる。で、朝食を終えて、いよいよ一日の本番の時間に突入するわけだが、以下次号、こうご期待!