北部のキブツ・ダフナ内に在るブーツ製造工場。女性用のロングブーツを製作して、主に北欧に輸出している。工場内の手仕事も、ボランティアの仕事のひとつ。

13か国の若者たちが集合
さまざまな国の言葉が飛び交うキブツの風景

そして、いざ飛行機が国内唯一の国際空港につくと、キブツニックというキブツのメンバーが車で迎えに来てくれていた。15人ほどの私らは、何も判らないままバスに乗せられ、あっというまに小さな国際空港を後にした。約45分ほど走ると、バスはキブツに到着。すると、いきなり多数の国のボランティアたちがウエルカム! と歓迎してくれる。イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、南アフリカ、アメリカ、そしてアルゼンチン、etc...の若者たちがいた。いきなり面食らう。キブツ・ヤクームに滞在するボランティアの若者だけで、すでに13カ国の若者がいた。

その彼らが、いきなり皆で歓迎パーティ。日本人の場合、皆、キブツへ行くからといって、最初から英語やヘブライ語がペラペラの人がいる場合はごく少ない。が、いざその場にれば「理解してもらおう」という人間と、「理解してあげたい」と思う人間が交流すれば、何とか通じるもの。皆、安心。とはいっても、通じた気になっても最初はノドが渇いたとか、オナカがすいたという程度のものだが、最初はそんなもので充分に嬉しい。

ダイニングルーム内部。いつもは公共の食事の場だが、イベント会場として使われることもある。写真の日は、結婚披露宴のパーティとして使われた。

キブツ内にある体育館。空いていれば誰でも使うことができる。キブツの子供たちとの交流の場にもなる。キブツ青年チーム対各国選りすぐりボランティア・チームで、スポーツの試合をすることもよくある。
 

毎日がパラダイス!
夏休みの合宿気分

翌々日、起床朝5時半。6時よりさっそく仕事開始。宿舎・ボランティアビレッジから職場まで徒歩5分。一日時差休日をもらい寝まくったあと、本日は近くの農場での雑草取り。慣れない早起きに目をゴシゴシこすってテクテク歩いていくと、職場のある所にもうオジさんが先に来ている。

初めて使うヘブライ語で「ボッケルトーブ(おはようございます)」というと、オジさんも愛想なく「ボッケルトーブ!」と返事を一言。後から知りましたが語感上、どうもヘブライ語は、日本人には言い捨てているようなキツイ感じに聞こえる。

しかし、このオジさんは確かに頑固オヤジだったけど。そして、オジさんは何も言わず、いきなり薄汚れた耐熱ガラスのコーヒーカップを出し、給湯器を指差す。きっと、まずはコーヒーでも飲めと言いっているようだ!“うまく喋れるだろうか?”“どうやって英語で自己紹介しよう”など、ヘブライ語どころか、英会話さえ不安いっぱいだった私だが、拍子抜けしたが、まずはホッとする。

このオジさん、ただの無口な頑固オヤジと思ったが、どうやら、すでにいろんな国の人間と付き合っているらしいので、ジェスチャーで人にものを伝えるのにも慣れているらしい。そぶりだけでメッセージを伝えていたようだ。

それからしばらくするといよいよ仕事開始。するとオジさんが、実にわかりやすい英語で説明する。カタカナでも書ける。「ユー・ドゥ、ライクディス。ユー・ドゥ・ディスライン。ウェン・ユー・フィニッシュ。ユー・ドゥ・ディスライン」。と言って、身振りで草むしりのライン取りを教えてくれる。「ア〜ア、英語が心配なんて思ってソンした!」と、いきなり思ったほど。

こうして、いざ始まってみると、あまりにもあっけなくキブツの日常生活はスタ一ト。けっこう力ンタンじゃん! と、私はちょっとバカにてしまった。しばらくすると次第に、そんな事も言えなくなってくるのだが、そのレポートはまた次回。お楽しみに! では、唐突にみなさん、レヒットラオー。へブライ語で「またネー」でした。ジャンジャン。

典型的な毎日の昼食。日本で食べる洋風の食事とさほど変わらない。しかし、宗教上の問題で牛肉とミルク、チキンと卵のように。ユダヤ教では親と子を一度に食さない。だからこれは朝食用、これは昼食用と、出すものがある程度制限される。

 

キブツ時代の著者のスナップ(右)