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勝点3ポイントが欲しかった10月15日のウズベキスタン戦は1-1のドロー。 懸念された展開がそのまま現実のものになり、私は2006年ドイツワールドカップでのオーストラリア戦以来(ま、あの時ほどではないが)観ていて久しぶりに顔が紅潮しまいましたよ。 では見ていきましょうかね、いくつか。 ウズベキスタンはやはり必死に食い下がってきた…既に2連敗しているウズベキスタンにとっては、巻き返す最後のチャンス。それが実によく表れていたパフォーマンスだったね。 それを粉砕できるパワーが不足していたし、ウズベキスタンのゴールマウスをこじ開けることができなかった。 日本選手たちのフィジカルコンディションはどうだったの…キックオフ直後から気になったのが、日本選手たちの動きに鋭さがないこと。 これは10月9日のUAEとのテストマッチでも少し感じていたのだが、Jリーグでの疲れもあるだろうし本番(この日)に向けての調整もあるだろうと軽く考えていたのだが、それから1週間弱経過して、むしろフィジカルコンディションが下がってないか? 代表チームのフィジカルコーチ、ちゃんと仕事してるのか? 特に中村俊輔については、UAE戦でも後半途中から動けなくなっており、調整に入っているのだろうと思っていたが、どうもそうではないようだ。9月頃には割とよい状態であったように思われた中村俊輔のコンディションは明らかに低下している。 日本代表のスタメンはよかったのか…スタメンの考え方は基本的にはUAE戦と同じだった。 (※バックナンバー参照) センターバックには明らかにケガ持ちの闘莉王を強行出場させ、左サイドバックは阿部勇樹。変則2トップの玉田の下には岡崎ではなくて大久保を入れ、中盤前目の左には香川を入れてきた。中盤底の2枚はやはり稲本でなく遠藤を入れて長谷部と2枚。 ウズベキスタンもさすがに研究してきていて、最終ラインが極力崩れないように準備してきた。これまで最終予選で2連敗した時は最終ラインがグダグダだったのだった。それに加えて最終ライン前に中盤深い位置での守備列もキープし、守備ブロックとしては2列を形成して、日本の攻撃をトップと中盤との連動を分断する形になっていた。 それと忘れてはならないのは、最終ラインの押し上げを試合終盤まで怠らず集中を切らさずにやってきたこと。 もちろん局面局面では、大柄な体格を懸命に寄せて泥臭くフィジカル勝負に持ち込んできた。 これに対して日本チームは、特に前半は玉田と大久保がウズベキスタン最終ラインの前をただ浮揚しているだけに終始。 スピードとアジリティは優っているのだから、どうしてももっと泥臭く根気よく、ディフェンスラインの間をすり抜けようとしないのか不思議で仕方なかった。労を惜しんではいけない。 それと、そういう2列の守備ブロックを形成してきている相手に対して、どうして1トップ型にこだわるのか? 2トップにすればよいではないか? ベンチワークが不思議で仕方なかった。 これと少し似た試合が昨日(10月18日)のJリーグのジェフ千葉VSアルビレックス新潟でも見られて、このところ連勝中のジェフの速い攻撃を、アルビレックスのディフェンスラインがしっかりラインを形成して最後まで集中を切らさずにジェフに攻撃の形をつくらせなかった。結果は0-0、スコアレスドロー。 こんな時にアドリブというか意外性のある攻撃というか、そういうアイディアなり引き出しなり、アイディアというよりもそれをやらかしてみようという思い切りのよさとか、何としてもゴールを奪おうというメンタリティが、日本選手や日本チームには不足している。 それは一部の選手にだけあってもダメなんであって…全ての選手になくてはならない。 今朝(19日早朝)スペインリーグ(リーガ・エスパニョーラ)のアトレティコ・マドリードVSレアル・マドリードの“マドリード・ダービー”をTV観戦していたのだが、終盤まで1点を奪い合う、両チームとも意地と執念こもった戦いで、ヨーロッパや南米ではクラブチーム同士の戦いですら、国内リーグでの戦いですら、あれほどの緊迫感、ギリギリの戦いに常に身を置いているのだ。 技術やスキルや戦略・戦術や経験だけでなく、それよりも、何とかして1点を奪おうとアノ手コノ手を駆使して仕掛け続ける“生きる執念”みたいなもの(それはもはや「工夫」などという域を超越している)…そういうメンタリティで、アジア各国がどんなに急速に進歩しようと努力しようと、追いつけない決定的な違いの一旦をまた垣間見た気がした。 決定的なチャンスは少なかったか…そうでもない。前半ですら、そんな不満だらけの玉田と大久保で1点を奪ったし、右サイドバックの内田が中央にフリーランで切れ込んで決定的なチャンスが2度あった。 この2度をいずれもモノにできなかったのは痛かった。 1度めは、右サイドでボールを持った中村俊輔が左足アウトで絶妙な速いグラウンダーのスルーパスをゴール前に送った場面。内田は中央左寄りから斜めにこのボールに走り込んできたのに、トラップが大きくなってしまった。 あれはトラップしてんじゃないよ、走り込んできた勢いそのままに、トーキックでもアウトサイドでも何でもいいからチョンと突っつくんだよ。 それだけでゴールキーパーの足元か肩口を抜けてゴール! だ。 2度めは、ペナルティエリアの中…どころかゴールエリア近辺、ゴールマウスの右でフリーでボールを受けた内田が折り返しやがった。玉田だか大久保だかが逆コーナーで懸命にスライディングしてきたが間に合わず。 あれはシュートだよ、ウッチー。 内田のゴールセンスのなさ、シュートセンスのなさが痛かった。フォワードの選手じゃないから、なんていうのはお門違いだ。ポジションがどこだろうと全然関係ないよ。 あと、香川なんだが、香川がスタメンというのが一番意外だったなぁ。 いや、もちろんいい選手だ。だが、この日のスタメンで起用するにはファイティングスピリットの面でまだまだ物足らない。この試合でもよいプレーもあったが、それよりも予想どおりファイト面で物足らなかったし、ファイト面で物足らないのだったらもっともっと決定的な仕事をしてくれなければ差引勘定が合わない。 選手交替はどうだったのか…予測どおり、岡崎を投入したり(大久保に替えて投入)興梠を投入したり(玉田に替えて投入)したが、この2人にそんなに信頼や期待があるんだ〜へぇ〜って感じ。 まだまだ試してないでしょう、この2人のこと。途中交替で使うならどっちか1人じゃない? 普通。 それを途中交替のカード2枚をこの2人に使うか〜って感じだね。 そもそもこの試合、巻も佐藤寿人もベンチ外だったんだよ。巻や佐藤寿人のほうが絶対よいとは言い切れないが(そう言い切れないのも情けないが)、それでも、そんなに岡崎と興梠に賭けることができんのかね〜わからん。 もちろん、ワールドカップ予選というのは厳しい戦いの連続だが、その中でも常に世代交代を図っていかなくてはならないものだ。 それが前回の予選(いわゆるジーコ・ジャパン)では手が付けられていなかった。 そのツケが来ているのも事実だ。とはいえ、いきなり巻も佐藤寿人もベンチから外して岡崎と興梠はないだろう。ウズベキスタンを甘く見ていたのではないか? もう1枚の交替カードは香川に替えて稲本の投入だった(実際には興梠の投入よりもこちらが先)。 こういう前が詰まっている時こそ中村憲剛じゃないのか? 縦へ速いクサビを入れて、そのリターンをもらって勝負してくれるはずだ。 稲本を入れて遠藤を1列に上げて、中盤前目が中村俊輔と遠藤ということになったのだが、どちらもかなり疲れていたし強引にシュートを狙うタイプでないので、この2人のうちどちらかを下げて中村憲剛でよかった。 もちろん中村憲剛の投入も当然考えただろうが、それを選択しなかった。采配ミスだね。 それか、この試合では長谷部の攻撃参加がようやく代表チームでも見られるよういになってきていたので、長谷部をもっと前へ行かせてやれるように、中盤底は遠藤よりももっと守備的な(守備専の)選手を投入するとか。それが…いないんだよね。1人くらい入れといたらどうなんだ。今さら、という声もあがりそうだが、Jリーグの試合を観ている中で言うなら、ガンバ大阪の明神とかどうだ。浦和レッズの鈴木啓太は劣化してしまったし。 挙句の果ては試合終盤では、闘莉王を最前線に上げてしまってパワープレイだ。 浦和レッズの試合を観てるんじゃないんだけどな。闘莉王を最前線に入れてしまうと、興梠を投入した意味もない。 この試合、そういうわけで日本チームの打つ手もナンだったし、選手のフィジカルコンディションもナンだったし、岡崎のシュートが味方に当たったり、岡崎と味方が何度かかぶってしまったり、相手ゴールキーパーが結構あたってしまったり、とにかく歯車の噛み合わない試合展開になってしまった。 ホームで勝点3ポイント積み上げを目論んでいたからして当然イタい引き分けではあるのだが、しかしこういう試合もある。 日本のマスコミなどは「痛恨のドロー」とか「出場権獲得圏内の2位をキープ」とか書き立てているけれど、痛いは痛い引き分けだが、2位云々はまだ今の段階ではどうでもいいだろう。まだ全8試合のうちの2試合消化しただけなんだぜ、意味ない話だ。 ヨーロッパ予選でもポルトガルが苦戦している。15日にはホームで明らかに勝点を稼ぐべき相手のアルバニアにスコアレスドローを演じてしまい、全10試合のうち4試合を消化して心配なスタートだ。 *ヨーロッパ予選のスタンディング(順位表) だから、こういうことはよくあること。 まだ予選の序盤なんだからジタバタ騒がないことだ。 最終的には勝点を15ポイント以上積めば大丈夫なはずだ。15ポイントとは、ホーム4戦全勝、アウェイで1勝で到達できる勘定になる。アウェイでは既に1勝を積んでいるし、今回ホームで勝ちを逃したわけで2ポイントを積み損ねたことになるが、その2ポイントはどこかで取り返せばよい。アウェイで2試合引き分けに持ち込んでも取り返せる。 この日行われたオーストラリアVSカタールは4-0でオーストラリアが勝ったので、11月19日のアウェイ(ドーハ)でのカタール戦は、勝点4同士(カタールのほうが1試合消化が多いのだが)の戦いになる。 アウェイだから引き分けでもよいが(マスコミは絶対勝たなくてはならなくなった、とまた煽るだろうが)今回の引き分けで、負けは絶対NG! にはなった。 それはそうだ。 そして今から心配なのが、来年2月11日のホームでのオーストラリア戦だ。 いつも言っているように2月というのは日本サッカーはオフ明けであり、コンディションができていないし試合勘が鈍っている時期だ。この時期にどのように準備をしていくのか、今回ばかりはしっかりやってもらわないと困る。 それにしても…。 このウズベキスタン戦前の週末(10月12日)には全国各地で天皇杯の3回戦が行われていて、サンフレッチェ広島VS大阪体育大学の試合をTVで観ていたのだが、あの“ドラゴン”久保竜彦が今シーズンはサンフレッチェに戻っていて、途中出場してすげぇゴールを決めたシーンを見た。 Youtubeに上がっているので、よかったらどうぞ。 http://jp.youtube.com/watch?v=n8WvLyHw2hM&feature=related (試合全体のダイジェスト映像(8分近く)なので、久保のゴールシーンは4分過ぎです) 確かに大学生チーム相手とはいえ、こんなシュートを見ると、つくづく久保は惜しかったなあと思ってしまう。 久保は2002年のワールドカップをめざしていたトルシエ・ジャパンでも一皮剥けてくれることを期待し続けられてきたが結局に間に合わず、2006年のワールドカップをめざしていたジーコ・ジャパンではようやく2003年暮れ頃から本領を発揮してくれるようになったのだが、その時間・期間はあまりにも短すぎて…腰の持病があるのでね。 もう1つ、今年のゴールだがJ2の試合とはいえ、こんなゴールだって見せてくれるんだぜ。 http://jp.youtube.com/watch?v=wzR1jPEW-PY いや〜ストライカーだよ。ヨーロッパ的なゴールだよな。久保クラスのフォワードが出てこないのかねー。 (2008/10/19) |