ハリウッド流離婚スタイルのあれこれ

カオリ・ナラ・ターナーさんが、第55回エミー賞のメーキャップ部門で最優秀賞を受賞しました!
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その1:離婚後もいい関係? デニス・クエイドとメグ・ライアン

人体の中を旅する奇想天外なSF映画『インナースペース』に出ていたデニス・クエイドと、日本のテレビCMでもおなじみのメグ・ライアンのふたりが知り合ったのは1988年のこと。時にはデート現場を目撃されたりしながらも付き合いは順調に続き、3年後の1991年2月14日のバレンタインの日。大勢の人たちに祝福され無事、ゴールイン。やがてひとり息子のジャックも生まれ、誰もがうらやむ夫婦のはず……だった。

ところが2001年、突然の離婚宣言。ライアン39歳、クエイド47歳。分別ある中年夫婦にいったい何が!? と芸能マスコミを騒がせたが、結局真相はわからず終い。ジョークさえ飛び出す離婚会見でわかったことといえば、夫・妻ともおたがいに金銭的なサポートを求めない。9歳の息子ジャックの養育責任は 50対50で同意ということだけ。

離婚後もほとんど毎日会話を交わし、愛車チェロキーも共有したまま。そして、ついにはこんな出来事まで目撃されてしまった。それは2002年7月19日のこと。モンタナ州のリゾート地バラダイスバレーで元夫のデニス・クエイドが『ザ・シャーク』とロックを演奏していると、その曲に合わせて踊っている観衆の中に、ひときわ激しく頭を振るひとりの女性がいた。そう元妻のメグ・ライアンだった。

クエイドと離婚後『Proof of Life』で共演したラッセル・クロウと熱愛か!? と新聞に書かれておよそ1年が過ぎていた。そして、9歳の息子ジャックは母親とひとしきり踊ったあと、舞台に上がり父親と一緒にピアノを弾き、楽しい時間を過ごしている。それなのに、クエイドの曲を2、3曲聴いただけでライアンは息子や女友達とさっさと帰ってしまった。その後、クエイドは「彼女を愛していた。だけどもうすべて終わった」という内容の『イッツ・オール・オーバー』を歌い観衆から慰められる始末。

不思議なのは、このときライアンはクエイドが所有するモンタナの牧場に2週間ほど息子と滞在し、近所の美術館を訪ねたり、プールで泳いだりしているのをたびたび近所の人たちに目撃されている。それはまるで「普通の家族のように見えた」そうだ。

ふたりが離婚して間もなく2年。離婚当時、ライアンがロケで家を開けることが多く、すれ違いの日々がクエイドには相当なストレスになっていて、それが離婚の原因、といわれたが本当のところは当人にしかわからない。共同所有していたニューヨークのアパートも処分しライアン自身は自分の家を購入。ふたりはよりを戻すのでは? なんていわれた時期もあったけれど、今はいい関係の中で、それぞれに別の恋人と素敵な日々を送っているらしい。ただし、どちらも真剣に結婚を考えてはいないようだ。息子に対する配慮もあるし、何より13年ともに暮らした絆はそう簡単には断ち切れない?

その2:ニコール・キッドマンとトム・クルーズには険しい道

アカデミー賞授賞式のとき、ふたり仲良く手をつないで出演したのも今は昔。男女の仲ってホントにわからないもの。別居を経て、ようやく離婚にこぎつけたトム・クルーズとニコール・キッドマンのふたりだが、離婚成立まで相当の泥仕合を演じてしまった。

普通は夫婦どちらからか「離婚しよう」と言いだすものだが、この夫婦に限ってはそうではなかったのだ。妻キッドマンが夫トムからの離婚申し立てを知らされたのは、なんとキッドマン自身が雇っていた顧問弁護士からだった。つまり、このあたりから、もうすでにふたりの間には険悪な雰囲気がジワジワと漂いはじめていた、というわけ。

そんなわけだから、幼い娘と息子の養育権や財産分与についてもことごとく対立。3月に流産したばかりのキッドマンには納得のいかない離婚劇だが、トムはひたすら沈黙を続けるばかり。この離婚劇、いったいどうなるのか? と芸能マスコミが騒ぐ中、離婚前年(2000年)に予約を入れていたフィジーのワカヤ・クラブリゾートに出かけたのだった。1泊約1500ドル(日本円で約16万円)のこのリゾート。なんと前半の1週間は妻のキッドマンがふたりの子どもと一緒に利用。途中、新しい恋人と噂されたラッセル・クロウ(メグ・ライアンのときも登場したモテモテ男)も加わり何やら怪しい雰囲気。ただしキッドマン曰く「彼は頼りになる長年の友人」だそうだ。

そして、妻とその友人たちが立ち去った2日後。今度は夫トム・クルーズが友人たちを引き連れ同じリゾートにやって来た。いったい、この夫婦どういう神経をしているのか。離婚後も息子のために家族団らんの休暇を取った、メグ・ライアンとデニス・クエイドの爪のアカでも煎じて飲ませてやりたい……といったら言い過ぎ?

妻が流産という悲しい知らせにも、夫クルーズは慰めにも来なかった。さらに「離婚の理由は彼女にもわかっているはず」とクルーズはいうが、彼女にはなぜ夫が離婚を望むのかわからなかった。結婚10周年のクリスマス・イブにふたりは改めて“結婚の誓い”をしていたのだから。

ところでトム・クルーズとニコール・キッドマンの離婚がこれほどこじれた理由に、おたがいが譲らない点が多々あったといわれている。たとえば、子どもの養育問題に関しては、妻キッドマンは自分が主要な後見人になることを希望したが、夫クルーズはふたりが平等に後見人となることを主張。また、離婚後の扶助料についての論争では、夫トム・クルーズはカリフォルニア州の法律“10年以上結婚していた場合には扶助料が必要になる”という条文を持ち出し「結婚生活は 12月で終わっているから9年11か月」と主張。一方、妻ニコールは2月まで結婚が継続していたのだから10年以上になると主張。2月の流産の事実を指摘した。

さらに共有財産の取り分に関しても妻は50対50、つまり折半を主張。これに対して夫は75対25を主張。具体的にはロサンゼルスのマンションが430 万ドル(約4億5000万円)、キッドマンの故郷、オーストラリア・シドニーの家が400 万ドル(約4億4000万円)。そして、今後も仕事上の関係は維持するが、なるべく顔を合わさないように……が調停の条件。

2001年。トム・クルーズとニコール・キッドマンは離婚。トムは今、女優のペネルペ・クルスと、そしてキッドマンはかつて交際していたオーストラリア人俳優のマーカス・グレアムと再会。まだ結婚までは考えていないが、ようやく状況に慣れて人間的に強くなったと言う。
カオリ・ナラ・ターナー
日本人初のメイクアップ・アーティスト・ユニオン正式会員であり、ハリウッドで働くメイクアップ・アーティスト。アカデミー賞受賞作品『アメリカン・ビューティー』や人気テレビ番組『アリー・myラブ』などで活躍する他、後進の日本人の指導にも精力的にあたっている。