はじめての着物の選びかた

着物なんて成人式の振り袖以来…という方も多いのでは? 今さら20歳の時の振り袖を着るのも恥ずかしいし、でも、呉服やさんは敷居が高くて入りづらい。そんな着物選びの悩みについて、札幌の呉服店いとう屋の若女将・伊藤和佳子さんに聞いてみました。来年のお正月こそ、着物にチャレンジしてみませんか?

LADYWEB:最近、着物に興味を持っている若い女性がすごく増えたと思うのですが、まず最初に買う着物は、どんなものを選んだらいいのでしょうか?

伊藤さん私のおすすめは、訪問着ですね。訪問着は未婚・既婚を問いませんし、準礼装ですから、ちょっとしたおよばれはもちろん、改まった席など、幅広く着ていただけると思います。やはり、普段の生活で着物を着こなす、というのはなかなか難しいでしょうから、フォーマルなものから揃えてみてはいかがでしょう。

LADYWEBせっかくの着物だから、なるべくいろんなところで着られるものがいいですよね。結婚式の時だけ着るのは、少しさみしいかも…。

伊藤さんそうですね。もっと気軽におしゃれを楽しみたいということでしたら、小紋もおすすめですよ。小紋でも柄を選べば、充分およばれにも着ていけます。

LADYWEB:柄はどんなものがおすすめですか?

伊藤さん:好みもありますけど、私は新しい感覚の柄はあまりおすすめしないんですよ。どちらかといえば、古典的な柄をおすすめしています。流行の柄はやはり一過性なところもありますし、そういった柄はお洋服でも取り入れられますから。着物は大切に扱っていただければ、とても長く着られます。飽きがこないという意味でも、たとえば江戸小紋や、細かい地模様なら無地感覚で着られますし。30代ぐらいの方なら、地模様の生地に上から柄がのっているものも華やかでいいですよ。

LADYWEB:柄を選ぶ上で注意することはありますか?

伊藤さん:着物も季節があるんです。たとえば桜とか、季節の花がありますよね。そういう季節を象徴する柄を、その柄にぴったりな季節ではなく、少し早めに取り入れるのがおしゃれと着物ではいわれます。でも、そうしてしまうと、その柄は少しの期間だけしか着られません。ですから、こういった着方は着物の上級生になってからにして、着物初心者はひとつの柄だけが目立つものではなく、いくつかの柄が入ったものを選ぶようにしましょう。そうすれば、たとえ桜が入っていても、季節問わずに着ることができます。あと、お花でしたら松竹梅。これはおめでたい柄なので、比較的季節を問わずに着ることができます。お正月に着るのでしたら、梅など素敵ですよね。

LADYWEB:やっぱり着物でビビッドな色は避けた方がいいんですか?

伊藤さん:あんまりビビッドな色もどうかと思いますが、地味な色合いよりは、明るい華やかな色をおすすめしますね。お洋服だとモノトーンとかダークカラーを好む方も、たとえばピンクや若草色、山吹色など、普段お洋服じゃ着ないようなやわらかい明るい色のほうが、着物では映えるんです。でも、ピンクといっても本当に様々なピンクがあります。その方の顔の肌色によっても似合うピンクが変わってきますから、呉服屋さんでいろんなピンクを試してみてほしいですね。反物は、顔の近くにあててみないと似合うかどうかなんて、絶対わかりません。畳の上に広げてもらって、きれいね、と思ってもそれが似合うかどうかはまた別の話。呉服屋さんに行ったからって、必ず買わなくてもいいんです。お洋服を試着するように、いろんな反物を見に行くだけでもいいんです。いい着物をひと揃えこしらえるとなると、やはり20万円弱くらいはかかってしまうもの。すぐに購入を決められなくても当然ですから。でも、お洋服でもそうですけど、着物が似合うようになりたいと思ったら、たくさん着て着慣れる、ということも必要だと思います。着物の似合う女性は、やはり素敵ですよね。街で着物を上手に着こなせている女性とすれ違うと、女性の私でもはっとしますから。

LADYWEB:着物を着こなすポイントはどんなところにあるんでしょう?

伊藤さん:ひとつは姿勢。それから、胸元でしょうか。この半襟の開き具合がポイントですね。重ねすぎても野暮ったいし、開きすぎても下品。気をつけていても難しいところなんです。でも、ここを上手に調整できるころには、きれいに着物を着こなせるようになっていると思いますよ。着物は慣れ。慣れてしまえば、普段でも自分で楽に着られるようになります。

LADYWEB:たくさん着てみることが大事なんですね。毎回、美容室で着付けてもらうのも大変だから、ちょっと着付けでも習ってみようかな。

伊藤さん:一度きちんと覚えて、あとは何回も自分で着てみて、慣れることです。来年のお正月にはぜひ、着物で初詣にでかけられるように頑張ってみてくださいね。