2003年4月14日

いよいよ最終回である。先週、体調を崩したこともあり、久し振りに400g減という快挙を成し遂げた私は、翌日には日本を発ち、カリフォルニアの海辺沿いの町へ出かけた。

400gも痩せた自分へのご褒美…と言いたいところだが、以前から決まっていたことで、ロスに住む兄のところへ遊びに来たのだ。

「アメリカでジャンクなものばかり食べて太ったりしないように!」
ダイエット塾の七尾先生からはキツく言い渡されていたのだが、何と! 太るどころか600gも体重が減ったのだ。ということは、今回の目標である1kgを達成したということである。最初の連載で目標を達成して以来、9か月ぶりの快挙だ。

今までまったく痩せなかったのに、ここに来て連続の減量。この結果に捏造疑惑を感じる人もいるかもしれないが、これはうそ偽りのない事実である。兄の家では普通に食事をし、外食は多くても1日1回、七尾先生の心配をヨソに、まったくダイエットに問題なしの生活をしている。

1歳を過ぎたばかりの甥っ子は一日中走り回っており、それを追いかけまわしているだけでかなりエネルギーを消費する。ロスの兄宅に着いてすぐ、体重を測った。こちらは表示がポンドで、1ポンドは450g、最初に測ったときの体重は日本を出るときの体重とほぼ変わっていなかったので、今週の食事日記に書かれている数値に間違いはないと思う。

そして連載最終日である今日の朝、52.6kgになり、見事ピッタリ1kg痩せたのだ。

ロスに来てしばらくは、環境が変わったせいか便秘になり、多少体重が増えた日もあったが、便秘が解消されて消費エネルギーが増えたら、あっさり目標をクリアしてしまった。

ここ3回の連載では、まったく不甲斐ない結果しか残せなかった私にとって、たった1kgでも「目標を達成できた」ということはとてもとても意味のあることで、すごく嬉しい。

今までにも何回も書いてきたが、普通の人にとって、200gや400gなど、簡単に減らせる数字だと思う。私自身、太っていた頃でも200gの増減など、しょっちゅうあった。けれど10kg近く痩せた後の200gを減らすことは、経験していない人にはわからないくらい難しい。

そして1回1回の減っていく数字は200gという小さい数字でも、それが5回続けば1kgの減量となり、10回続けば2kgの減量になる。太っていた頃の私なら、「200gなんて、1食抜けばすぐ痩せられる」と言っていただろう。けれど例え1食抜いて痩せたとしても、それは一瞬でしかない。次の1食で戻ってしまう、はかない数字だ。

けれど毎日の食生活や運動の成果によって減らした200gは、簡単には戻らないし、それが自分の体重だと体が認識すれば、今度はその数字からまた200g減らすことができる。

マックスに太っていた頃の私は、ちょっとの努力で1kg減らすことができた。けれど「ぽっちゃり」くらいの太りかたになった私は、派手に数字を落とすことはできなくなり、「今すぐ10kg痩せたい!」と思っている人の参考にはならなかったかもしれない。

でもはっきり言うが、「今すぐ10kg痩せる」のは、絶対に無理だ。薬や何かの力を借りて、簡単に痩せる方法があったとしても、それも一瞬でしかないはずだ。その薬をやめた途端、体重はすぐに元に戻るだろう。

「努力」「継続」「根性」

私はそんな言葉とは無縁に生きてきた。その結果が太った自分だったと言っても過言ではない。もしもこの連載が、ものすごい努力や根性を要求するようなダイエット方法だったら、私はきっと途中で挫折していたと思う。

ほんの少し生活習慣を変え、ほんの少し食生活を変え、そして毎日少しだけ運動する、というメニューだったからこそ、大きなリバウンドもなくやり遂げることができたのだと思う。

私は小さな努力しかしなかった。
だけど、気がつけばちゃんと、10kg痩せることができた。カリフォルニアの空の下を、ノースリーブで闊歩する自分の姿を、誰が1年前に想像することができたであろうか。

おしゃれをしたり、人に会うことが楽しくなった。着られなくなっていた昔の服が、ほとんど着られるようになった。息切れせずに階段を登れるようになった。初対面の人に会うときも、堂々としていられるようになった。小さな努力を続けた結果、私が手に入れたものは果てしなく大きい。

「今すぐ10kg痩せたい」
そう考えている人はとりあえず、今日痩せた200gを、明日も維持することから始めてみてはどうだろうか。私もせっかく減った10kgを維持しつつ、もう少しスレンダーな体型を目指す。そして生涯ダイエッターとして、小さな努力を続けていくつもりだ。

ダイエッターの諸君!
これからもお互い、頑張っていきましょう。