ものすごい夢を見た。私は素っ裸で体重計に乗っている。デジタルで表示された数字がどんどんどんどん大きくなり、私の目の前で「54kg」と大書きされて止まる。私はその数字に喜び、すぐにもダイエット塾の七尾先生に知らせなくては! と思うのだが、もう一度体重計に乗って、数字を確かめようとすると、デジタルの表示がどんどん下がっていき、それとともに、私の飛び出た下腹部もみるみるへこんでいく。
「嘘!嘘!」と女子高生みたいな叫び声を上げているうち、体重計は「50kg」あたりで止まり、ついに40kg台が見られるというところで目が覚めた。目が覚めて私は、今見た夢のあまりの切なさに、苦笑をもらした。だって夢なのに、夢の中なのに、何で「54kg」なんだ? なぜ、40kg台を見る直前に目覚めたのだ?
夢なんだから、もっと非現実的な数字、例えば目標の「45kg」を達成したという内容でも、全然構わないではないか。にも関わらず、「54kg」とは。なんて現実的な数字。停滞期に苦しむ私にとって、次に目指している小さな目標。たった800g減るという、ささやか過ぎるくらいの夢。……切ない。
このような夢を見るくらい、私は「減らない」ことに苦しんでいるんだろうか? 夢診断のプロに聞いたら、なんて判断されるのだろう。「あなたの願望が現れています」って言われてもなぁ。そんなの「そりゃそうです」としか答えようがないよな。
100gとか200gとかしか減らず、すぐに停滞期に入って何週間も体重が変わらないという繰り返しを、すでに4か月近く続けているんだから、一気に800gも減ってくれたら、そりゃ嬉しいよ。でも、せっかくの夢なんだから10kgくらい減ってくれてもいいわけで、「願望」にしてはずいぶん小さい願いである。どちらかと言うと、「減らない」ということに対する私の苦しみが現れている夢かもしれない…と、ちょっと憂鬱になってしまった。
それにしても本当に、全然痩せない。このサイトにある体重グラフを見ても、最初の下降線に比べて、なんて緩やかな落ちかたなんだろうか。「緩やか」というより「平ら」である。どこで落ちたんだか、全然わからないくらいだ。この際いっそ、100g単位のメモリをもっと大きくしてはくれないだろうか。例えば100gで1cm。そのくらいでないと、まったく痩せたことがわからないって程度の下降線が続いている。こんなことで本当にいつか、夢の中のように40kg台を見ることができるのであろうか。
本来の予定なら、ちょうど今ごろ40kgのはずである。少なくとも年内に40kgを見られれば「予定通り」といったところか。なのに現実は、50kgまであと5kg以上ある。12月に入れば、忘年会だのなんだのと、飲む機会も増えるであろう。もちろんリバウンドしないように飲みかたやスケジュールの入れかたには気を使うつもりではいるが、「体重を減らす」ところまでいけるのかどうか、今から少々諦めムードだ。
ここ数年、私はほとんど人付き合いをしなかった。連載の最初にも書いたが、仕事柄家でほとんどのことが済んでしまうのと、「太った」ということが、人付き合いをしない理由だった。人に会うための「それなりの格好」ができないくらい太り、着られる洋服がなく、オシャレすることが億劫で、出かける気持にならなかった。
でも、ダイエットがある程度成功したことで着られる洋服が増え、気が付けばとりあえずスーツなんかを着て出かけられるくらいの体型になっている。そのせいで〔?〕出かける機会が増え、以前より人付き合いが増えてしまった。
太っているときは「太っているから出かけない」という理由で余計太り、痩せ始めたら「人と会うから外食が増えた」という理由で痩せられなくなってしまった。夢の中で見た数字が現実になる日は、まだまだ遠い。