2002年10月28日

ここ数年、「健康情報番組」といえるテレビ番組が増えている。TBSの『スパスパ人間学』などは、特に美容、健康と銘打っているわけではないが、以前に比べ、「ダイエット」をテーマにした回が多い。

○○の食材がダイエットによい、○○は肌を引き締める、○○は食べた油分を分解する…と、1時間かけてその効用・効果を紹介し、実際に痩せたりキレイになった人が登場する。さまざまな番組で取り上げられた食材は、次の日からスーパーなどで目立つところで扱われ、かなりの売上を出すらしい。

テレビの力は偉大だな〜と思う反面、痩せるにはこれ、肌にはこっち、引き締め効果はこの食材……と全部真に受けて食べていたら、それって結構な量になりゃしないか? と、私はいつも疑問に思う。

テレビに登場する、恐ろしいほど太った人が、1週間、テーマにあった食材を食べただけで目に見えて痩せるのを見ると、確かに効果があるということは納得できる。それは食材に限らず、世間に溢れているダイエット法やダイエット茶、サプリメントなどの商品にもいえることだろう。それなりの研究者たちが作り出し、臨床結果がある以上、それ自体が相当怪しいものじゃない限り、その謳い文句に嘘はないと、私は思っている。

特にダイエット商品はたいてい、「今まで通り食べていても痩せる」というものがほとんどで、今まで食欲を抑えられなくて太り続けた人にとって、これほど魅惑的な言葉はないだろう。

が、しかし、そんな安易な方法で、本当に正しく「痩せる」ことができるのだろうか? というより、太った原因を一切無視して、「太った」という現象にのみ効果があるものを使用して痩せても、その商品を使わなくなったら当然、また太るはずである。だって、原因はそのままなのだから。

もちろん、一生その商品を使っていく…という手もあるし、とりあえず痩せるという目的を果たしてから、太らないように気を付けて生きていく…ということも可能ではある。

でもね〜、デブ歴の長い私が断言するが、太った原因には、「明日から食べないようにしよう」とか、「今日くらいいいや」という軟弱な精神によるものが多いはずなのだ。その精神を強硬なものにするには、そんな「痩せたから、もう太らないように気をつけよう」なんてレベルの気持ちではダメなのだ。それに、自分自身の肉体を維持するために、一生お金をかけて何かに頼っていくという心根自体が、そもそも太る人の持っている怠惰な性格を表しているではないか。

以前、美容雑誌であるタレントさんにダイエットの秘訣をインタビューしたところ、「根性です」と言われたことがある。短期間で20キロ太ったその人は、何をやっても三日坊主で終わってしまう自分の性格を治したいと、肉を一切食べないというダイエットにチャレンジし、これまた短期間で元の体重に戻したというのだ。

それまで大好きだったお肉を一切食べないということは、ものすごいストレスになり、本当に苦しかったけれど、「ここで辞めたら、また今まで通り、三日坊主の私になってしまう」と、自分を叱咤してやり遂げた。「だからダイエットは痩せるという目的だけではない。自分自身を鍛える意味がある」というその人の言葉通り、やはりダイエットとは、性格改善のひとつなのだ。

努力や我慢なしに痩せても、その商品が販売中止にでもなったら、そくまた太ってしまうのでは、まったく意味がない。もちろん、一瞬でも手に入れられる「スレンダーな私」というものが、どれだけデブな人にとって欲しいものか、私にもその気持ちはよくわかる。

だけどどうせ「スレンダーな私」を手に入れるなら、自分の力で、二度と太らない健康的な肉体として手に入れたいではないか。

「なぜ、太ったのか」

それを知ることこそ、本当の「痩せる薬」なのだと、私は思う。