「アメリカの20ドル紙幣をふたつに折って、それを紙飛行機の要領で三角に折ると9・11のテロにあい、炎上する国際貿易センタービルに見える……」こんな話を聞いたことがありますか? これは「都市伝説」のひとつとして知られてるエピソードですが、なぜこんな話がひとり歩きし、人から人へと伝えられていくのでしょうか。今回はそんな「都市伝説」の正体について探ってみました。

「都市伝説」って何?
そもそも“都市伝説”とはいったい何でしょうか? もちろん、これが「都市伝説」だという定義はありません。あえていうならば「人から人へ伝わった話、あるいは昔話のような伝承の一種だが、それほど古い話ではなく、せいぜい1980年代に出現した話である」といったところでしょうか。「都市伝説」は英語で言うと「urban legend(アーバン・レジェンド)」となりますが、この概念は1980年代初頭、アメリカの民俗学者ジャン・ハロルド・ブルンヴァンらによって提唱されたもので、日本ではそのまま“都市伝説”と訳されました。ただし「都市伝説」は必ずしも都市で広まった出来事ばかりではなく、あえて「地方伝説」や「田舎伝説」とはいわず「都市伝説」と呼ばれています。「都市伝説」にはどんなものがある?
「都市伝説」の典型として、まず「友達の友達」とか「バイト仲間の友達の弟」といった具合に割と身近な人が体験したり、目撃したりしています。ただし「友達の友達」は具体的に誰なのかは調べてみてもわからない。また、話そのものが非常に怖かったり、現実的だったり、実際にあった話かもしれない、と思わせる。たとえば「口裂女」や「ターボ婆さん」など、実際には存在しないがあっという間に広く知れ渡り、本気で信じてしまったりする人もいます。つまり「都市伝説」は一過性のものではなく、いつの間にか伝説化しているということが必要なのです。そして、「都市伝説」に欠かせない要素として、実際にある地名や商品名、店名などが登場してきます。たとえばM社のファーストフードのハンバーガーはミミズの肉が使われているとか、R社のファーストフードのハンバーガーは巨大な鼠の肉が使われているとか、M社やR社には迷惑な話ですが、「都市伝説」の特徴として、有名な店や商品が標的になることが多くあります。こうした「都市伝説」を逆手にとって、自社の商品に“幻のアイテム”や“幻のラベル”などと称して、売り上げを伸ばしている企業もあります。
現在「都市伝説」にはどんなものがある?
古くは「口裂け女」から始まって、人面魚、人面犬、コカ・コーラの秘密、死体洗いのアルバイトまでいろいろあります。カテゴリー別に調べても相当数あります。たとえば犯罪や事件に関する「都市伝説」では、子供が失踪してしまう東京Dランド誘拐事件、香港のブティックの試着室に入ったまま忽然と消えてしまった日本人観光客などがあります。人間の体や医療に関する「都市伝説」には、“死体洗い”“全身に金粉を塗ると、しばらくして皮膚呼吸ができなくなって死んでしまう”、“骨折治癒に効果のある薬の人体実験”など、おそろしげなものがたくさんあります。自動車、道路など交通に関する「都市伝説」もたくさんあります。“首なしライダー” “黄色い救急車”などが知られています。コミックやアニメ、メディアに関する「都市伝説」には“サザエさん伝説”や“ドラえもんの最終回”など、荒唐無稽なものがたくさんあります。また「都市伝説」には迷信や誤解から広まったものも少なくありません。“東京の井の頭公園の池のボートに乗ると離別する”“佐川急便のトラックに描かれている飛脚のふんどしに触ると幸運がやってくる”など、どこから出た話なのか不思議なものもあります。

「都市伝説」には死んでしまった人もよく登場する
エルヴィス・プレスリーは南米で生きている、という「都市伝説」がスポーツ新聞をにぎわせたことがあります。そのほか、ヒトラー、ケネディ、テレサ・テンなども生存説がまことしやかに流されています。また、テレビに出ていた人がちょっと出なくなると死亡説が流れることがあります。志村けん、高倉健、つぶやきシローなどが知られています。ちなみに志村けんは本人がテレビで生存を証明しました。この他にも街を舞台にした「都市伝説」、自然現象に関するもの、事故、政治など、さまざまなジャンルに「都市伝説」はあふれています。「都市伝説」の条件
「都市伝説」の多くは他愛のないものが多く、ちょっと調べれば根拠のない作り話であることがわかりますが、中には事実に基づいたものも混じったりします。「都市伝説」をあえて定義づけると、以下のようになります。
● マスメディアによるものではなく、最初は口伝えによる伝播であること
● タブーに触れたり、スキャンダラスなテーマを扱ったものが多い
● 現代の生活に即した、ニュース性、今日性がある
● 危険な要素や恐怖感、奇怪な印象を与えるものが多い
● さまざまな条件から、真偽が確認できない事が多い
● 「だからこうしたほうがいい」という行動の制約を示唆するものが多い
いずれにしても、信じるか信じないかはあなたしだい……というところでしょうか。
(2007.9.4 取材/ジャーナリスト・金子保知)