タバコは百害あって一利なし…愛煙家にもそれぞれ言い分はあるでしょうが、今、世界のすう勢は、タバコの追放に向かっているようです。タバコ問題を考える、後編はなぜタバコがいけないのかを考えてみました。

タバコを吸わない人にも害を及ぼす受動喫煙
タバコを吸わない人にとって、スモーカーの煙ほど迷惑なことはありません。実はタバコの煙にはいくつかの種類があります。タバコを吸ったときに口の中から肺に達する煙を主流煙といい、口や鼻の穴から吐き出される煙を呼出煙といいます。そして、火のついたタバコの先からモヤモヤと立ちのぼる副流煙があります。灰皿に置かれたまま立ちのぼる煙も、くわえタバコの先から立ちのぼる煙も、実は有害物質が多量に含まれています。このタバコの先からモヤモヤと立ちのぼる煙や、喫煙者が口から吐いた煙などを知らず知らずのうちにを吸い込んでしまうことを「受動喫煙」または「間接喫煙」といいます。たとえ本人はタバコを吸わなくても、周囲の人がタバコを吸っていて、こうした煙を吸い込んでしまうと発ガン物質がたまりやすくなったり、ガンになる確率が高くなったりします。たとえば夫が1日に20本のタバコを吸い、妻は非喫煙者だった場合、妻はタバコを吸わないけれど肺ガンに罹る確率は、タバコを吸わない人の2倍になるといわれています。乳幼児のいる家庭でタバコを吸う人がいる場合、乳幼児は喘息や気管支炎などに罹る危険性が高くなるといわれています。小さな子供やお年寄りのいる部屋でタバコを吸うのは絶対にやめたいものです。
タバコの害はこんなにある
今や誰もが知っているタバコの弊害といえばガンです。肺ガンなど、何らかのガンの原因の3割は喫煙だといわれています。喉頭ガン、肺ガン、口腔ガン、食道ガンなどは喫煙が密接に関連しているといわれています。ガン以外でも、喫煙によって全身の動脈が硬くなってしまい、血管が詰まったり破裂し、心筋梗塞や狭心症、大動脈瘤、クモ膜下出血、脳血栓などを引き起こすといわれています。その他、喫煙によって慢性の気管支炎や肺気腫などになる確率が高くなります。また、最近の研究で、タバコは歯周病とも密接な関係があることがわかってきました。タバコを吸う人も吸わない人も、喫煙が全身の病気と関連が深い、ということを忘れないようにしましょう。

タバコは女性にとっても非常に深刻な影響を及ぼします。タバコに含まれているニコチンは女性ホルモンの分泌を抑えてしまいます。その結果、肌にツヤ、ハリがなくなり、シミ、シワができやすくなります。また、顔全体にちりめんジワが増え、年齢よりも老けて見えたり、肌の透明感がなくなり頬のあたりがこけてしまう、いわゆる“タバコ顔”といわれる顔つきになることが少なくありません。
もうひとつ、女性にとってタバコが怖いのは妊娠したとき。自分はタバコは吸わず夫がタバコを吸っていただけでも、流産や早産、低体重児出産の危険があります。妊婦本人が喫煙している場合は、なお危険性が高くなるのは当然でしょう。そのうえ、生まれた赤ちゃんが気管支炎や喘息、肺炎などになる可能性もあります。女性にとってタバコはいいことはひとつもありません。
タバコ病とさよならするのは禁煙するのが一番!
もちろん、タバコは集中力を高めたり、気分をゆったりさせるなど、悪い面ばかりではありません。でも、それを上回る悪影響があるため、世界中が禁煙を勧めているのです。最新の研究によれば、たとえ30年間タバコを吸いつづけていても、50歳で禁煙したなら、効果があるそうです。60歳でも病気になる確率は下がるそうで。もしあなたのお父さんやお母さんが長年のスモーカーでも、ガンや心臓病になる確率が下がるという結果が出ているのですから、今すぐ禁煙を勧めてください。若いあなたもすぐにタバコと縁を切ってください。ところで、禁煙はとても難しいといわれています。その理由は、タバコに含まれているニコチンは麻薬やアルコールと同じく、依存症を引き起こす薬物だからです。
現在、タバコ依存症は病気と認められていて、健康保険が適用となりましたので、近くの禁煙外来で治療を受けるのが一番の近道です。禁煙外来は多くの場合、専門医によるカウンセリングの後、ニコチンパッチやニコチンガムなどを使った治療法が決められます。こうした方法は、きちんと治療スケジュールが決められているので、それに従ってプログラムをこなす必要があります。きちんと続けていけば、禁煙の苦しみやイライラも極力少なく、高確率で禁煙に成功するということです。

今日から禁煙に挑戦してみよう
禁煙の難しさは途中1本でも吸ってしまうと元にもどってしまうこと。たとえ3週間がんばったとしてもたった1本のタバコで3週間は無駄になってしまうのです。奈良県大和高田市立病院の内科医長・高橋裕子先生が考案した禁煙9つのコツは、そうした禁煙したくてもできない人のための禁煙プログラムです。平均年齢45歳で、1年以上の禁煙率は驚異の70パーセント。さっそくあなたもトライしてみてください。1(日曜日)冷たい水か熱いお茶を少しずつ飲む。冷やしたコップには氷水。お茶は沸騰したお湯で入れたてを飲む。冷たいほど、熱いほど効果的。
2(月曜日)深呼吸をする。腕を大きく動かして。
3(火曜日)体を絶えず動かす。散歩、入浴、おしゃべりなどがお勧め。ゲームなどはNG。
4(水曜日)場所を変える。食後はすぐに立ち食堂に居すわらない。
5(木曜日)歯を磨く。ていねいにブラッシングしよう。
6(金曜日)野菜を食べる。胃腸が元気になり食用モリモリ。
7(土曜日)酒の席に注意。最初の2週間は外で飲まない。喫煙者の隣には座らない。
8(祭日)煙の多い場所にはいかない。パチンコはなどもってのほか。
9(祝日)気楽な気持ちで禁煙期間を延ばしていく。肩肘をはらない。
当然、タバコやライター、マッチ、灰皿などは近くに置かない。このとき、家族や職場の人間のサポートがとても重要だと高橋先生はおっしゃる。禁煙の強制はよくないそうだ。
このプログラムをできるだけ長く続けて、みごと禁煙に成功しましょう。
(2007.5.29 取材/ジャーナリスト・金子保知)