BRICs(ブリックス)という言葉をご存じですか。なんだか飲み物の名前みたいですが、実は経済成長が著しく発展している4か国のことなのです。
BRICsってどこの国のこと?
BRICsとは、ここ数年経済的に目ざましい成長をとげているブラジル、ロシア、インド、中国の4か国のことで、それぞれの国の頭文字をとってBRICsと呼んでいます。あまり聞き慣れない言葉ですが、もともとはアメリカの投資会社が、これからの有力な投資対象国として投資家向けに発表した造語で、今では広く使われるようになりました。この4か国は国民一人あたりのGDP(国内総生産)はそれほど高くはありませんが、どの国も人口が多く、消費や生産など近い将来、世界経済の中心的な役割を果たすと期待されています。また、この4か国で世界の3割の国土を占めているのも大きな特徴です。
ブラジルは、次世代エネルギーとして有望視されているエタノールの原料となるサトウキビなどの農産物をはじめ、鉄鉱石など豊富な地下資源も魅力とされています。ロシアは広大な国土に加え、原油や天然ガスなどエネルギーを供給する国として躍進著しいものがあります。インドはIT技術者の供給国として先進国に欠かせない存在であり、中国は90年代から豊富な人材をもとに「世界の工場」として成長を続けています。

BRICsはどこまで巨大になる?
BRICs4か国は、これまでは供給国として工業製品をはじめ農産物、人材などを先進国に送っていましたが、今後は外貨を獲得し裕福になるに従い、巨大な消費国として成長・拡大するだろうと予想されています。BRICsという言葉の生みの親であるゴールドマン・サックス社は、BRICsが2050年には現在のG7(アメリカ・日本・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダ)を上回る経済規模になると予測しています。GDP総額で比べても、2000年はBRICsが2.7 兆米ドルに対してG7は22.2兆米ドル。それに対して2050年にはBRICsが84.2兆米ドルと31.2倍の伸び、G7は67.3兆米ドルとわずか3倍の伸びにとどまると見られています。この成長率を国別で見ると、ブラジルが約8倍、ロシアが約15倍、インドが約59倍、そして中国は実に約41倍にまでなると予想されています。
これらの4か国は国土も広ければ人口も多いのが特徴で、2006年現在で約27億人と世界の人口の4割以上を占めていますが、2050年には33億人になると予想されています。少子高齢化が進む先進国に対し、BRICsの国々は若年層が多く労働力としても魅力があります。現在はBRICsの先頭を走る中国でも経済規模は日本のほぼ3分の1。それが2050年には日本やアメリカを抜いて世界一に躍り出ると予測されています。おそるべしBRICs、といっところでしょうか。
BRICsはいいことばかりでリスクはない?
投資家にとってBRICs4か国は魅力がある反面、まだ発展途上の国という認識があります。経済成長が著しい新興国には政治的に不安定な面もあり、それ相応のリスクを覚悟しなければなりません。かつてアジアの通貨危機やロシアの財政危機などでは株価が大きく変動したこともあります。BRICs4か国は今後、巨大なマーケットとして期待されていますが、それに見合った国内の法整備や産業基盤、インフラ整備がまだまだ整っていないという点が指摘されています。これらの点が改善されればより投資も増えると思われます。いずれにしてもBRICs4か国への投資はハイリスク、ハイリターンであることを認識しておくことが大切です。

BRICsの次はどこの国?
ポストBRICsとして有力なのは「VISTA」と呼ばれる地域です。具体的にはベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチンの5か国のことで、BRICsの次に経済成長が見込まれています。また「IBSAC(イブサック)」として、インド、ブラジル、南アフリカ、中国の4か国を挙げるエコノミストもいます。2050年。日本のGDPは果して何位にいるでしょうか。2005年はアメリカに次いで世界第2位でしたが、その50年後には中国、アメリカ、インドの次が日本という予測もあります。注目していきましょう。
(2007.4.10 取材/ジャーナリスト・金子保知)