原発はほんとうに安全なの!?

最近、あちこちの原発で過去の不祥事が明るみに出ています。日本の原発は安全といわれていますが、本当なのでしょうか。改めて原発とは何かを考えてみました。



そもそも原子力発電所(原発)ってなんだろう?

現在、日本には50基以上もの原子力発電所があり、私たちが使っている電気の3分の1を作っています。日本はもともと資源のない国ですから、火力や水力とともに原子力による発電は安定して電気を供給する大切な役目を担っています。その理由としてまず挙げられるのは、原子力発電の燃料となるウランは、少ない量で大きなエネルギーを得られるという点です。火力発電は石油や天然ガス、石炭などを燃料として使っていますが、原子力発電は発電コストに占める燃料費の割合が小さく、地球温暖化の原因ともなっている二酸化炭素を排出しないなどの利点があります。またウランは資源として安定しているほか、備蓄量も豊富なため、重油価格の高騰による電気料金の値上げ、といった私たちの生活に影響することが少なくて済む、などさまざまな利点があります。

一方、事故による環境や人体に対するリスク、放射性廃棄物の処理など、原子力発電にはまだまだ解決しなければならない問題がたくさんあります。もちろん電力各社による事故隠蔽などはあってはならないことなのです。

日本で最初の原発はどこにある?

1966年7月。日本原子力発電の東海発電所(茨城県)がイギリスから輸入した機械を使い、日本で初めて原発の営業運転を開始しました。1970年代前半。日本の家庭で使う電気の量は約500億キロワット時/年でした。ところがそれ以降消費電力は急カーブを描いて上昇しました。エアコンや大型冷蔵庫など消費電力の大きい電化製品の普及が主な理由でした。そして、それに合わせるように電力が慢性的に不足し、原発の建設が急がれるようになりました。

そんな中、日本原子力発電の敦賀1号(福井県)、関西電力の美浜1号(福井県)、東京電力の福島1号(福島県)などの原発が月々と建設され営業運転を始めました。以来30年と少し。1986年数百万人が被害を受けたといわれている、チェルノブイリ原発事故や大小さまざまな事故を起こしながらも、日本列島に50を超える原子力発電所が作られ、毎日電気を作っています。

原発はどうやって電気を起こす?

原発に限らず、火力発電所や水力発電所などを見学したという人はそう多くはないはず。いったい発電所では何が起こっているのでしょうか。今、日本では火力発電や水力発電それに原子力発電など、いろいろな方法で電気を起こしています。その方法はどれも似たようなもので、エネルギーを燃やして水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回し発電機を動かし電気を作ります。火力発電では重油、石炭、天然ガスなどをボイラーで燃やして蒸気を作りますが、原子力発電では石油や石炭の代わりにウランを使い、ボイラーの代わりに原子炉を使っています。



原子炉の中では何が起こっているのだろう

中学校の理科で勉強したことを思い出してください。私たち人間を含めすべての物質は、「原子」でできています。「原子」が集まると分子になり、水や空気や金属をつくり出します。「原子」が発見された当時は、「これ以上分割できない最小の単位」というような意味で、「原子」と名付けられましたが、現在の科学では、それ以上に細かい粒子に分割できることがわかっています。

さて、この「原子」ですが、中央に核となる部分があります。その核は「陽子」と「中性子」というものでできており、その核の周りを「電子」の雲が覆っています。この「原子」は、分裂したり、融合したりするときに凄まじいエネルギーを生み出すという性質があり、この性質を応用したのが核爆弾です。そして、原子炉は、原子核が分裂するときに生まれるエネルギーを、上手にすくいあげるシステムと考えてください。

原子力発電に使われる燃料は、核分裂を起こしやすいウランが使われます。ウランは天然に存在する物質で、外部から「中性子」が飛び込んでくると大変不安定になり、ふたつの原子核といくつかの中性子に分かれます。これが核分裂です。この核分裂でできた中性子は、また他の原子にぶつかり、次々と核分裂が広がっていきます。こういった連鎖反応の中から生まれるエネルギーは、高熱を発し、水蒸気を作り出してタービンを回します。これが原発が電気を起こす仕組みです。

ニュースになった制御棒って何?

核分裂が次々と繰り返すとどうなるでしょうか。当然、エネルギーも限りなく出続けることになり、核分裂は拡大し、必要以上のエネルギーが生み出されます。この過剰なエネルギーをコントロールするのが、「制御棒」です。原子炉は、ほどほどに働いてくれればよいのですが、ウランの核分裂は、始まるととまらなくなり、放っておくと炉心を溶かしてしまいます。旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故は、核分裂が止まらなくなり大量の水蒸気が発生し、ついには原子炉が爆発してしまい、大量の放射線物質が外に放出されてしまいました。



「制御棒」は、長さ4.4メートル、重さ100キログラムほどの棒で、中性子を吸収する素材で作られています。核分裂がどんどん進み、エネルギーが過剰になると、この「制御棒」を原子炉に入れ、核分裂を鎮めます。つまり「制御棒」は、原子力発電所の安全には欠かせないものなのです。

ところが最近、この「制御棒」に事故が相次ぎ、問題となっています。「制御棒」は原子炉の中を通っているパイプの水を利用して上下させる仕組みとなっていて、パイプの弁を開いたり閉じたりして動かします。つい最近発覚して問題となった、8年前の北陸電力志賀原子力発電所1号機の事故は、閉めなければならないパイプの弁を開けてしまったり、元の弁を閉めてしまったりと単純なミスをおかしてしまい、「制御棒」が落ちてしまいました。その結果、ウランの過剰な核分裂(臨界)が始まってしまいました。このときは15分ほど臨界状態が続いただけで大事には至りませんでしたが、最悪の場合、放射能が外に漏れたりして重大な被害が出たかもしれません。

その後、「制御棒」が落ちる事故は、他にも7か所の原子力発電所で発生しているのが判明し、改めて電力会社のモラルと原発の安全性が問われています。

(2007.4.3 取材/ジャーナリスト・金子保知)