ICタグという言葉を聞いたことがありますか。これは1ミリ以下のごく小さなICチップとアンテナで構成される、いわば電子荷札です。これからの社会にICタグはどう利用されるのでしょうか。

ICタグが内蔵され、話題になった愛知万博の入場券
ICタグってどんなもの?
ICタグとは、集積回路(IC)とアンテナで構成されたタグのことをいいます。大きさは1ミリ以下とごく小さく、ゴマ粒ほどしかありません。そんな小さなものですが、情報量は大きくバーコードの次世代版として期待されています。バーコードは商品や書籍などに直接印刷されたもので、入れられる情報の量も決まっているうえ、新しい情報を書き込むことはできません。それに対してICタグは、バーコードの数百倍の情報を保存することができまるうえ、書き込みもでき、繰り返し使えるのが特徴です。ICタグに書き込まれた情報は、搭載されたアンテナを通じてリーダ(読み取り機)やライタ(書き込み機)で読み書きできます。また、ICタグは用途に応じてカード型、スティック型、ラベル型、コイン型などいろいろあり、数ミリから数メートルの距離まで通信が可能です。JR東日本の電子マネー「Suica」や私鉄、地下鉄などで使える「PASMO」などもほぼICタグと同じテクノロジーが使われています。
ICタグはどんなことに使われる?
ICチップは偽造しにくいため、クレジットカードや「Suica」「PASMO」などにはすでに使われていますが、将来的にはさまざまな分野での応用が可能と考えられています。たとえばスーパーで売られている野菜にICタグをつけることによって、野菜の生産者、生産地、収穫日時、消費期限、価格あるいはその野菜を使った料理のレシピなど、多くの情報を消費者に提供することができます。また、ICタグを付けた商品なら、バーコードのようにレジ係の人がひとつひとつ商品の値段を読み取る必要はなく、カートに乗せたまま瞬時に会計が済んでしまうという利点があります。
その他、交通部門では目的地への誘導や現在位置の確認などがたやすくできるため、子供たちを犯罪から守ることにも応用できます。また、有価証券や紙幣の偽造防止にも期待がよせられています。医療の分野ではカルテや投薬の管理、医療ミスの防止などにもICタグは威力を発揮すると考えられています。

ICタグはいいことばかりですか?
将来的にはICタグによって、私たちの生活も変わってくることは間違いありませんが、実はICタグは価格的にまだ1個10円程度といわれていますが、もっと普及させるためには1個1円程度にまで価格が下がらないとならないようです。こればかりは開発する企業の研究を待つしかないようです。また、ICタグは住民基本台帳カードや電子マネーのカードのほか、金融機関の本人確認にも使われているため、個人情報の取り扱いをより慎重に行うことが求められています。ICタグは商品の万引き防止などにも役立つと期待されています。総務省が発表した「ユビキタスネットワーク時代における電子タグの高度利活用に関する調査研究会」の報告では、今後ICタグによる経済効果は最大31兆円にもなるとされています。
(2007.3.13 取材/ジャーナリスト・金子保知)