今一度チェックしておこう、鳥インフルエンザ

宮崎県と岡山県に相次いで鳥インフルエンザが発生し、たくさんのニワトリが死にました。特に宮崎県は東国原新知事の就任に合わせたように次々と発生し、対策に追われています。安全とはいえ、ニワトリの卵や肉は私たちの食卓には欠かせない食材だけに、ちょっと心配です。



「高病原性鳥インフルエンザ」ってどんな病気?

今回、宮崎県や岡山県で養鶏場のニワトリ多数に感染、次々と命を奪った鳥ウイルスはH5N1型といって、毒性が強いのが特徴で高病原性鳥インフルエンザと呼ばれます。ニワトリ、七面鳥、うずらなどがこのウイルスに感染すると、全身症状を起こし、神経症状、呼吸器症状、消化器症状が現れ次々と鳥類は死亡します。今回、宮崎県と岡山県で発生した鳥インフルエンザに対しては、それ以上被害を拡大させないため、徹底した駆除と消毒で封じ込めています。日本では2003年に大分県や京都府などで鳥インフルエンザが発生しましたが、対策が功を奏し大事には至りませんでした。

H5N1型ウイルスってどんなウイルス?

鳥インフルエンザウイルスは1ミリの1万分の1という大きさですから、電子顕微鏡を使わなければ見ることはできません。このウイルスにはタンパク質でできている2つの突起物があります。ひとつはヘマグルチニンと呼ばれるもので「H」で表記され、現在までに16種類が確認されています。もうひとつはノイラミダーゼと呼ばれるもので「N」で表記されます。現在までに9種類が確認されています。それぞれHとNの組み合わせでウイルスの特徴があり、H5N1型は毒性が強く「高病原性ウイルス」と呼ばれています。

このウイルスはニワトリからニワトリへと次々に感染しますが、人間へと感染することはあまりありません。過去に大量にウイルスを吸い込んだため死亡した例はありますが、それほど心配することはないようです。それよりも、今世界中で危惧しているのが、この鳥インフルエンザが変質し、ヒトからヒトへと伝染する新型インフルエンザウイルスになってしまうことです。

未知のウイルスとなれば世界中で何百万人、何千万人の人が感染するかわからない上、死ぬ人の数もまったくわからないのが現状です。一説には日本だけでも数十万人の死者が出るだろうと言われています。



鳥インフルエンザを予防する方法はある?

鳥インフルエンザに対する有効なワクチンはまだ研究・開発の段階です。万が一の感染を避けるために、また付着したウイルスを他の地域のニワトリに拡げないために、鳥インフルエンザの流行が見られている鶏舎などへの出入りは、用事のない限り避けてください。用事があって鶏舎に出入りするときは、手袋、医療用マスク、ガウン、ゴーグルなどの着用、手洗いの励行などの、基本的な感染予防対策が必要ですが、現段階では鳥インフルエンザウイルスに関する特別な予防を行う必要はありません。また、ペットとしてニワトリや鳥を飼っている場合でも特に心配はいりません。

これまでの科学的知見によれば、鳥インフルエンザがニワトリやアヒルの他にも、さまざまな種類の鳥に感染することが知られていますが、国内で鳥インフルエンザが発生したために、これまでペットとして家庭で飼育していた鳥が直ちに危険になるということはありません。

鶏肉や鶏卵を食べて、感染することはない?

東国原宮崎県知事も言っていましたが、怖いのは鳥インフルエンザによって、卵や鶏肉が売れなくなることです。仮に鳥インフルエンザにかかったニワトリが産んだ卵や肉を食べてもうつることはありません。食品としての鳥類(鶏肉や鶏卵)を食べることによってヒトが感染をした例は世界でもありません。

日本では、これらの病原性の高い鳥インフルエンザは、家畜伝染病予防法上、家畜伝染病(法定伝染病)として位置づけられており、発生した場合は、鳥の間での拡大を防ぐために発生の届出、隔離、殺処分、焼却または埋却、消毒等の蔓延防止措置が実施されることになります。したがって、これらの感染鳥やその卵が食品として市場に出回ることはありません。なお、WHO(世界保健機関)によると、ウイルスは適切な加熱により死滅するとされており、一般的な方法として、食品の中心温度を70℃に達するよう加熱することを推奨しています。



冬はインフルエンザにも気をつけよう

普通のインフルエンザウイルスと高病原性鳥インフルエンザウイルスに同時に感染すると、両者の間でウイルス遺伝子の再集合がおこり、新型インフルエンザが発生する可能性があります。このため、高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥と接触する人については、通常のインフルエンザに感染しないよう、インフルエンザの予防接種を受けることが求められます。

また、感染したトリの殺処理に従事するなど、特別なリスクが予想される場合には、予防的に抗インフルエンザウイルス薬の投与を受けることが望まれます。今年は暖冬でインフルエンザの流行も遅れているようですが、本格的なインフルエンザのシーズンを前にもう一度、家族や職場で予防や治療について話し合いましょう。

外国でも鳥インフルエンザが発生しているようだけど、海外旅行は大丈夫?

現段階では、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由に発生国への渡航の自粛、中止などの必要はありません。また、国内の旅行、移動も同時に、鳥インフルエンザウイルスの発生を理由にその土地への旅行や移動の自粛、中止などの必要はありません。ただし、不用意、無警戒に流行地の生きた鳥類のいる施設への立ち寄り、接触などは行わないほうがよいでしょう。

外出から帰ったら手洗い・うがいを忘れずに。インフルエンザは予防が第一!

(2007.2.13 取材/ジャーナリスト・金子保知)

鳥インフルエンザ参考サイト
厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/
国立感染症研究所 http://www.nih.go.jp/