LADYWEB 他にU-22で課題はありますか。

KOH先生 何試合もテストマッチを行っていますが、山本監督がどういう意図で試合に臨んでいるのかわからないんですよ。これはブラックジョークですけどね、パッと寄せ集めて戦術練習もそこそこに「じゃ君たち、可能性を試してみろ」といって試合しているならわかる。戦術の確認をしてピッチに送り出しているように見えないんですよ。その都度その都度、パッと集まって「どのくらいできるか、やってきて見ろ」・・・そういう感じ。本当にそういう意図で臨んでいるんなら、それは立派。立派だけど、選手は明らかに戸惑ってますよね。

LADYWEB 監督が精神論ばかり言うような感じなんでしょうかね。

KOH先生 そういうわけではないはずです。山本監督は、トルシエの時のアシスタントコーチをやっていた人ですし、これまでも何度もU-20ワールドユースで好成績をあげてきた実績もあります。

LADYWEB では、具体的な戦術もあるわけですね。

kOH先生 当然あるはずです。トルシエの時に、トルシエ自身が自分の戦術は何百ページもあると言っていたのに、そんなにあったように見えなかった。トルシエの戦術に足らなかった、もしくは実は存在しなかったページを、山本監督が足しているつもりなのかもしれません。でも、その足しかたがその都度違うんですよ。山本昌邦さんのチームづくりっていうのが、本人の中では明確なのかもしれないけど、その都度実験をしちゃってるように見てとれて・・・違うかもしれませんよ。でも、そう見えてしまうんです。

例えば、トルシエ監督はフラット3と呼ばれる浅い守備ラインでしたよね。それが、よく裏をとられて失点をした。だから、山本監督はちょっと深めに守備ラインとるとかね。深めにとるのはわかるんですが、最終ラインを深めにとることによって、中盤が、日本のどの世代でも共通の持ち味である中盤の細かいパス回しと、中盤での労を惜しまないプレス、これが機能できなくなっているということはあると思うんです。

それはもはや日本フットボールの文化であり、伝統的な特徴なんです。フル代表も、ジーコ監督になってそこが乱れてきている気がするんだけど・・・綿々たる歴史の中で自然に培われてきた、勤勉な労を惜しまない中盤でのプレスと、中盤での早いパス回し。それが最終ラインを下げることによって、できない。できないから、中盤の底の選手もボールを預けられても奪われる危険が高くなるし、周囲の選手も怖いから預けられない。そればかりか、中盤と最終ラインとの間のスペースも空いてしまうので、中盤の底の選手がそのスペースを埋めようとしてさらに引いてしまう。そうすると、さらに中盤の人数が足らなくなってしまう。だから大きく前線へフィードするだけになっちゃう。

山本監督は、ボールを奪ったら15秒で速攻と言っておられるようなんですが、今の状態だと中盤ができてないから、余計に中盤省略でボコンボコンとボールを前に蹴り出すだけになっちゃうんですよ。これじゃ日本は勝てないですよね。日本の長所や特性は生かせない。いくら15秒でゴールを目指すんだといっても、そこのプロセスにおいて、日本のよさが生きる、選手たちのよさも生きる、日本の文化が生きる、そうでなくては難しいと思うんです。山本監督と選手たちの理解度にも、もしかしたらズレがあるのかもしれない。

LADYWEB そこで、細かいパスをつないでいくような戦術をする監督だったら、もっと違ったということですか。

KOH先生 さっきも触れましたが、ボールを落ち着かせる選手がいないと、それも難しくなりますよね。山本監督の、トルシエ時代のものにプラスしてこうしていこうという理想と現実とのギャップが、生じてしまっているように感じます。

いずれにしても、アテネ・オリンピックのアジア最終予選が来年早々にあるんですけれども、なんとかなるのかもしれないし、ならないかもしれない。他のスポーツと違って、アジア予選からしてサッカーはどの国も手強いです。予選に参加する国の数自体、他のスポーツとは比べものにならないくらい多い。どの国もサッカーには力を入れていますからね。とはいえ、オリンピックのアジア予選は、サラリとクリアしてほしいものですけど。

LADYWEB というわけで、今回はJリーグの中でも、U-22の若い選手たちのことを聞いてみました。