アジア・チャンピオンズリーグのことも書かないわけにはいきますまい

ヨーロッパ・チャンピオンズリーグのファイナルの顔合わせは、アーセナルVSバルセロナとなりました。ファイナルは一発勝負で5月17日、今年はパリで行われます。今から楽しみです。

ともに攻撃力のあるチーム同士で、ド派手なスペクタクルへの期待も高まりますが、逆にジリジリするような展開になう可能性も。ま、どちらにしても見所満載の一戦になるでしょう。

さて、アジアにもチャンピオンズリーグはあります。

しかしこれが、なかなかキチンとした形にならないので、日本サッカー協会の川淵会長(キャプテン)がアジアサッカー連盟(AFC)のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)改革担当になったとか。

現在開催されているACLには、2005年のJリーグチャンピオンのガンバ大阪と、2004年度の天皇杯チャンピオン(2005年1月1日のファイナルでの勝者)東京ヴェルディの2チームが出場しています。

はっきり言って、ACLに出場したからといって何のメリットもありません。
まあ、昨年12月に第1回大会が開催された世界クラブ選手権(今年から「クラブ・ワールドカップ」と呼ぶらしいですが)への出場権が得られるというだけ。いや、それは大きいでしょう…とおっしゃるかもしれませんが、どうでしょうねぇ。過度な負担と不利益があまりに大き過ぎてね。

だって出場するだけで物凄い赤字ですよ。大会の価値が低いものだから、スポンサーもつかないわけですよ。それと、あまりにいい加減な運営が本当に問題。国内リーグがしっかりしている国のチームには、負担のほか何物でもないでしょうね。一部には「罰ゲーム」との声もあるくらいだから。

とは言え、「Jリーグのチームはまだグループリーグを突破できないでいる」なんてマスコミや一部の人たちに言われるのも癪に障るので、ちょっと詳しく説明しましょうね。

ACLが始まったのは2003年です。その前は、各国リーグチャンピオンによるアジアクラブ選手、各国カップ戦チャンピオンによるアジアカップウィナーズカップが開催されていました。そして、クラブ選手権とカップウィナーズカップ双方のチャンピオン同士によるアジアスーパーカップが開催されていました。これらを統合するという形でACLが生まれたことになっています。

ACL以前には、日本のチームも悪くない戦績です。1999年にはジュビロ磐田がクラブ選手権で優勝し、スーパーカップでも勝ち、当時ドタキャンされて消滅した世界クラブ選手権への出場権を獲得しました(覚えてる? 大会そのものが開催されなかったヤツ)。カップウイナーズカップでも、1995年に横浜フリューゲルスが、1996年にベルマーレ平塚(現在は湘南ベルマーレ)が、2000年には清水エスパルスが優勝しています。Jリーグ発足前でも、1987年に古河電工(ジェフ千葉の前身)が、1988年に読売クラブ(東京ヴェルディの前身)がクラブ選手権で優勝していますし、1992年と1993年には日産(もうこの時点では横浜F・マリノスと言ったほうがよいのかな)がカップウイナーズカップで優勝しています。

ね、別に全然勝ったことがないわけじゃないゾ。

ただまあ、ACLになってからは、2003年は鹿島アントラーズと清水エスパルスが、2004年と2005年は横浜F・マリノスとジュビロ磐田が、グループリーグを突破できなかったのは事実だけどね。

また、レギュレーションが本当に謎。不可解。

参加24チームを7つのグループに分けて、ホーム&アウェイのグループリーグを行い、各グループ1位しか次のラウンドへ進めないという酷さ。1位になればいいんだろ? と言われるかもしれませんが、ワールドカップ本大会でも行われるグループリーグは、普通上位2チームが次のラウンドへ進めるもの。これは、総当りリーグ戦によって本当に力が上のチームでないと勝ち残れないということとともに、一発勝負のトーナメントにある番狂わせによって実力のあるチームが消えて行くことを極力排除する仕組みなわけです。運営の質が不安定過ぎるアジアの大会で1位チームしか次のラウンドへ進ませないなんて、それだけで充分に大会の価値を下げていますよ。

いえ、たとえ1位チームしか次のラウンドへ進めないとしても、グループリーグの顔ぶれがバランスよく構成されていればまだ救いがあると言うもの。ちなみに、ガンバ大阪は、中国の大連実徳、韓国の全北現代、ベトナムのダナンと同じグループ。物凄い落差のある「3強1弱」。そういうグループもあるかと思えば、クラスの落ちる顔ぶればっかしのグループもあったり、これじゃあね。

ま、そんな中でも1位になればいいんじゃないか! と言われそうですが、最後の大問題はアウェイではとても素敵な判定(ジャッジメント)が待ち受けているということです。過去のACLを見ていると明らかなゴールも取り消される、さしずめ2002年ワールドカップみたいなもんですかね。

そんな中で、ガンバ大阪は全北現代と大連実徳とのアウェイ戦を両方とも落としてしまいました。残るは2戦。全北現代とのホーム戦とダナンとのアウェイ戦です。グループリーグで2敗しちゃうと厳しいですね。特に4月26日の大連実徳とのアウェイ戦は、ホームで3-0で勝った相手に0-2じゃあね。酷い試合環境だったようで、とっても非常にやりにくかったと思うけど。

ともかく残り2戦をきっちり勝って、他のチームの推移を見守るしかないですね(ヴェルディ? ま、触れなくてもいいじゃないですか)。

ガンバには酷いグループリーグではあるけど、勝ち抜いて欲しかったんだけど…。

ま、ACLはそういう感じです。
Jリーグのチームを擁護するような内容になったかもしれないけど、擁護するつもりもない。ただ、ACLはそういうもんだということ。Jリーグは弱いとか、あまりにゴチャゴチャ言う連中もいるもんだから。

JリーグのチームがACLに臨むにあたってはまだまだ複雑なハナシもありますが、それはまたの機会に書きましょう。(2006/4/30)