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J1リーグ(Jリーグdivison1)も開幕して10試合(10節)を終了し(カップ戦やJ2も並行して進んでいますが)各試合ともそれぞれに面白く、興味深い内容が展開されています。ゴールデンウイークは毎度恒例の過密スケジュールになるのですが、私は4月28日・5月1日・5月4日とスタジアム観戦してきました(どこのスタジアムに出没したかは秘密…)。 とはいえ、やはり気になるのはワールドカップ・アジア最終予選の行方。6月8日に予定されていたアウェイでの北朝鮮戦が第三国で観客なしの開催に変更になるのか、気になる状況でもあります。J1リーグ公式戦も5月14〜15日の第12節から中断し、キリンカップでの2試合(5月22日のペルー戦・27日のUAE戦)を経て、アジア最終予選のアウェイ2連戦(6月3日のバーレーン戦・8日の北朝鮮戦)に臨むことになります(その後さらに、ドイツで開催されるコンフェデレーションズ・カップにアジア・チャンピオンとして参加します)。 そこで今回は、ちょうど半分の3試合を消化したアジア最終予選のここまでを振り返ってみたいと思います。 ●現在の順位をどう見るか…? 現在、日本は2勝1敗の勝点6ポイントで2位につけています。首位は2勝1引き分けで勝点7のイラン。この順位に関しては、まったく悪くない結果と言えるでしょう。アジア最終予選というのは、ワールドカップへの出場権を獲得することが目的の戦い。グループ1位になる必要はありません。アジア・カップのような優勝者を決めるトーナメントではないのです。もちろん、1位抜けすれば気分は最高ですが、2位抜けだろうと、要は出場権を得ればよいのです。 ただ、まだ日本全体としてそうした意味合いが充分に理解・浸透しているとは言えないので(何しろアジア最終予選を勝ち抜いた経験は過去一度しかないのですから)グループ1位でないとあれこれ騒がしい(やかましい)向きも出てきます。ちゃんとサッカーを見つめていく私たちは、ガタガタせずに出場権獲得を願っていきましょう。 ●今後の展望は…? 6月のアウェイ2連戦が天王山であることは言うまでもありません。ここで出場権獲得が決まる可能性もありますし、バーレーンとの2位争いに拍車がかかってしまう可能性もあります(バーレーンは現在1勝1引き分け1敗の勝点4)。 3月30日のホームでのバーレーン戦はたいへん苦労しましたが、6月3日のマナマでのバーレーン戦は、今の日本代表チームの状態であっても(良い準備ができれば)私は結構イケるのではないかと思っています。ピッチ状態が良くないらしいなど、心配な要素はいくつもあるのですが。もしアウェイでバーレーンに勝つようなことになると、それでほぼ決まりでしょう。ただ、バーレーンに敗れるようなことになると、シビアな状況になります。 ●ホームでのバーレーン戦にオウンゴール勝ちはいかがなものか…? 確かにちゃんと自力でゴールマウスをこじ開けて欲しかったですね。それは正直なところです。バーレーンを押し込んでいただからこそオウンゴールを誘発できたのだ…などという声もありますが、それには率直に同意できないですね。ただまあ、勝点3ポイントを幸運にも獲得できた、ということです。 自力でゴールを奪えなかったのはフォワードだけの問題ではないとはいえ、日本のフォワードのシュートの下手さ、凄みのなさには正直困ったものです。もっと何かできるはずなんですけどね。それに、能力のあるフォワードの選手はもっと他にいるでしょうに。 それにしても、バーレーンの守備も見事だったと思います。試合後あらためてビデオで何度か見てみたのですが、バーレーンも3−5−2のフォーメーションだったと思われますが、日本の2トップを常に最終ラインの3人が囲むようなディフェンスで、スペースをまったく与えていませんでした。日本の攻撃がペナルティエリアに近づいてくると、日本の2列目やサイドアタックに対しても、中盤の選手が協力して常に数的優位を保っていた印象です。相当に日本チームを研究してきていましたね。 ●アジア最終予選にこんなに苦労するとは思わなかった…? 昨年夏のアジア・カップで優勝したばかりの日本が、こんなに苦戦するとは思わなかった…という向きもあるかもしれません。確かに、日本はアジア・チャンピオンです。ですが、以前も書いたことがあるように、世界のフットボール(サッカー)の世界では、ワールドカップこそが最重要イベントであり、その出場権を争う予選(ワールドカップ予選)こそが、最も熾烈な本気(超・本気)の勝負・戦い(戦争)なのです。ワールドカップ予選の前では、アジア・カップの成績だろうと、アジア・チャンピオンであろうと、そんなものは何の意味も価値ももたらしません。各国が国を挙げて挑んでくる…それこそがワールドカップ予選なのです。このことは、ヨーロッパでも南米でも北米でも、どこの地域でもまったく同じです。 同時に、充分に他国(相手チーム)の分析・研究も行い対策を練って臨んできます。ましてアジア・チャンピオンになった日本チームなど、イランやバーレーンの日本戦での戦い方を観ていると、明らかに相当に研究してきていると感じさせられます。ということは、すなわち、アジア最終予選に臨むに当たっては、さらに一段階チーム力をアップさせることが不可欠だったということです。 思い出してみて下さい。日本が初めてワールドカップ出場を果たした1997年のアジア最終予選。この時も本当に苦しい戦いになりました。アジア最終予選以前はFIFAのランキングでも20位以内にまで上昇したこともありましたし、日本代表チームの戦績は非常に良かったのです。それが一転して大苦戦。その前年にアジア・チャンピオンとなって臨んだ1993年のアジア最終予選(いわゆる「ドーハの悲劇」)でも同じでした。 ですから、最終予選にはさらにプラスα(アルファ)の要素が絶対必要。プラスαの要素とは何か端的に言えば、すなわち新戦力の台頭です。1997年にも中田英寿の台頭がありました。現在の日本チームには、それがまったくありません。海外組?日本組の問題などといった、そういうレベルの話ではないのです。新戦力は、ただ待っていて出てきてくれるものではありません。Jリーグの中でも、有望な選手たちはたくさんいます。彼らを試さなきゃ。海外でも、フランス2部のル・マンで活躍中でチームを1部昇格目前まで引き上げている松井大輔などにも、ぜひ着目して欲しいものです。 ●ジーコ監督に望むことは…? もはや戦術のことを求めるつもりまありません。就任以来、それは無理、ないものネダリとわかっていますから。 ジーコは選手たちの「自主性」を求めていると“擁護”する向きもありますが、「自主性」と「放任」はまったく違います。そんな監督で良いのか?…などという議論は今は止しておきましょう。日本サッカー協会がお決めになったのですから。 ただ、残されたわずかな時間で、ジーコに望みたいことがあります。それは、キリンカップ2試合とコンフェデレーションズ・カップで、新しい選手を多く使って欲しい!…ということです。アジア最終予選のためでもありますが、今さら最終予選のためでもありません。最終予選以降の日本サッカーのためです。 試してみるべき所はいくつもあるでしょう。特に両サイドバック(ウイングバック)は三都主アレサンドロ(浦和レッズ)と加地亮(FC東京)の完全固定席になっていますが、それで良いはずがありません。3月25日のイラン戦では三都主がサスペンション(累積警告)のために三浦淳宏(ヴィッセル神戸)が出場しましたが、Jリーグを見ていても今の三浦淳宏が適任とは思えないのです。左サイドも右サイドも、ハツラツとした良い選手が何人もいるではないですか。絶対に使って欲しいものです。中田英寿(フィオレンティーナ)、中村俊輔(レッジーナ)、小野伸二(フェイエノールト)、稲本潤一(ウエストブロムウィッジ)、福西崇史(ジュビロ磐田)、遠藤保仁(ガンバ大阪)、小笠原満男(鹿島アントラーズ)らで顔ぶれが決まってしまっている(人材豊富と言われる)中盤センターでも、今キレあるパフォーマンスを見せている選手が何人もいます。ぜひ試すべきです。 いつもの顔ぶれのキリンカップは観たくありません。コンフェデレーションズ・カップにしても、ブラジル代表ですら新戦力を試す機会ととらえていると聞きます。キリンカップのメンバー発表は5月9日です。珍しくとっととブラジルに帰国しないでJリーグの試合をそこそこ観戦しているらしいジーコに、これまでとガラリと違うメンバー発表を期待しています。 でも、きっとそんな望みは不発に終わるんでしょうけど。(2005/5/5) |