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いよいよ2006年ドイツ・ワールドカップのアジア最終予選がスタート。ご存じのように、2月9日にホーム(さいたまスタジアム)で北朝鮮と対戦した日本は、辛くもロスタイムの決勝ゴールで2−1で振り切り、勝点3ポイントを獲得しました。でも、この試合の日本チームのパフォーマンスは、はっきり言って酷いもの。とにかくゴタクを並べる前に、このコラムを参考に(?)大手スポーツ紙も始めた「通信簿」に早速行ってみましょう。 ![]() (フォーメーションは3−5−2=トップ下を置いた3−4−1−2。途中から4−4−2へ移行します) ゴールキーパー:川口能活(ジュビロ磐田) 5.0点 *失点の場面、旧来メディアではほとんど指摘がないようですが、あれは完全に川口のミス。確かに強烈なシュート(おそらく相手選手はシュートか、シュート性の速いクロスを蹴ったと思います。それが偶然ややアウトにかかったと思われます)でしたが、ニア(ボールに近いサイド)を抜かれるのは基本を忘れた「やってはいけない」プレー。川口自身がいちばんわかっているはず。このような試合で、ああいうプレーをやってもらっては困ります。 3バック右:田中誠(ジュビロ磐田) 5.0点 *特に後半は相手チームのこのサイド(相手から見れば左サイド)からの攻撃に手を焼いていた感は否めません。失点の場面もこのサイド。マークが遅れるシーンが多いのも気になりました。やはりスピード不足か。 3バック中央:宮本恒靖(ガンバ大阪) 5.0点 *特に大きなミスはなかったように見えますが、ディフェンスラインの統率は粗(あら)が見えっぱなし。自身はボール際のせめぎあいに軽いプレーが。中東チームを相手にした時、スピードも高さも身体能力もない宮本がセンターバックでよいのでしょうか。 3バック左:中澤佑二(横浜F・マリノス) 5.0点 *キックオフ直後にバタバタして連発したクリアミスに、最終予選緒戦の重圧の前では中澤でもこうなるんだ〜と思ってしまいました。その後も終始「らしくない」パフォーマンス。安心していられたのはヘッドのクリアのみ。 右ウイングバック:加地亮(FC東京) 5.0点 *この試合の前のテストマッチ2試合(カザフスタン戦・シリア戦)で、縦への突破に新境地を開拓しつつあるとサポーター・ファンに驚きを与えていた加地。この試合でもその片鱗は見せましたが、所詮付け焼き刃。それよりも大問題だったのは、ディフェンス面でのポジショニングの酷さ。すっかり右サイドが「穴」になってしまっていました。 中盤底:福西崇史(ジュビロ磐田) 5.0点 *ボール際にいつも足先だけで行く、軽すぎ。ポジショニングも深すぎて中盤プレスなし。だから相手ゴールへの距離も遠すぎて、期待された得意のヘッドのゴールも見せられないわけです。私は試合序盤で中盤底の出来が悪いなあ、と呟いてしまいました。最後の大黒の決勝ゴールに繋がった押し上げ・ダイレクトパスだけが救い。 中盤底:遠藤保仁(ガンバ大阪) 5.0点 *いくつかのインターセプトはありましたが、それだけ。ボールを落ち着かせることもタメを作ることもできず、ボールを散らす展開力も力量不足で、まったくプレーメイクできず。遠藤と福西による中盤の底は、やはり「アジア・カップ」仕様止まりでしょうか。 左ウイングバック:三都主アレサンドロ(浦和レッズ) 5.0点 *相手に警戒されて、左サイドを2枚(2人)で塞がれてしまって何もできず。それどころか、相手へのプレゼントボール(パスミス)が多すぎ。勘弁して欲しい。中村俊輔が入ってからややクリエイティブな機能を発揮し始めましたが、とても帳消しにはなりません。 トップ下:小笠原満男(鹿島アントラーズ) 5.5点 *先制ゴール、その後のいくつかのプレーで世間では比較的好評価のようですが、相手ゴール・エリア近辺でシュートを打たずにパスしたり、判断遅くてチャンスを逃したり、出来は不満。 フォワード:鈴木隆行(鹿島アントラーズ) 4.5点 *ポストもできず、得意のファール・ゲッターぶりも発揮できず。後半立ち上がりから退いてもよかったくらいの出来。 フォワード:玉田圭司(柏レイソル) 5.0点 *相手のマークをすり抜ける動きは流石でしたし、鈴木の分までポスト役を果たそうと奮戦していましたが、可能性を感じるシュートは1本のみ。何度も汚く削られて嫌気さしちゃうよね。それには同情しますが、そんな中でも本来のクオリティを見せるようになって欲しい。 途中出場:高原直泰(ハンブルガーSV) 5.0点 *同点にされた直後、後半20分頃に鈴木に替わって出場。積極的に相手ゴールに迫る姿がありましたが、あの状況では至極当然。それでも決定的なゴールチャンスを決められず。大事な試合でゴールを決めたことがない、などと非難されているのをご存じですか? 途中出場:中村俊輔(レッジーナ) 6.0点 *高原投入直後に、田中に替わって出場。4バックに移行して小笠原とともに2列目に入り、攻撃のリズムを見違えるように活性化。自身では決定的なプレーはなかったものの、貢献度は大きいと思います。 途中出場:大黒(ガンバ大阪) 7.5点 *ありがとう、大黒。相手ゴールを背にして、振り向きざまのダイレクトシュートはストライカー本来の「芸」のひとつ。後半33分頃に玉田に替わって出場。 ジーコ監督 6.0点 *海外から呼び寄せたのは中村と高原だけで、スタメンは「国内組」だけというチョイスは正しいと思います。こんなに苦戦したのはベンチワークというよりも、コチコチの選手たちの問題。まさかの同点を許した後の迅速な対応は当然の動きですし、大黒まで投入したのは「なりふり構わず」の姿勢の現れだったと思います。それが結果的に功を奏したのですから、及第点をつけさせていただきました。 試合内容 5.5点(この採点は甘すぎるかも) *TV各局がサッカーとは本質的に関係ない部分でワイドショー的なハシャギ方をしたために、視聴率は想像以上、1993年の「ドーハの悲劇」や1997年の「ジョホールバルの歓喜」に匹敵するほど凄いことに。でも、はっきり言わせていただきましょう、最低でも3−0で勝てる(勝たなくてはならない)相手。私は4−0かと思っていました。ボールが足につかない、全体的に動きが悪い、凡ミスで不用意にボールを失う等々、選手たちの緊張から来るドタバタぶりは目を覆うほど。実はこの前のテストマッチの2戦め(シリア戦)でもそれを感じていたのですが、本番でも引きずるとは思いませんでした。とにかく絶対に欲しかった勝点3ポイントを獲得したことが、最低限の収穫。劇的な盛り上げを作るのはTV的には結構なことでしょうが、見る側の身にもなって欲しい。私たちの最終予選に臨む姿勢は「1試合ごとに一喜一憂しない」こととわかっていても、この日の試合は心身によくないです。 ![]() ワールドカップ予選、しかも最終予選となれば本当に何が起こるかわからない、やはりアジア・カップとは違うわけです。それをあらためて痛感しました。グループで最も力が落ちる北朝鮮にこれほど苦労するとは、正直思いもよらなかったです。まあ、それでも何とか最低限の結果を残したので、とにかく次へ向かいましょう。 同じ日にバーレーンのマナマで行われたバーレーンVSイランは0−0のドローに終わりました。両チームとも勝点を伸ばせなかったのですから、日本にとっては望ましい結果と言えるでしょう。ただ、バーレーンも含めた三つ巴の混戦になったりすると厄介なことになる、ということも記憶しておくべきです。 次は3月25日にアウェイでイランと対戦し3月30日にホームでバーレーンと対戦する2連戦が待ち受けています。ここが非常に重要になります。イランはもちろんアジアでトップクラスの強豪ですが、サッカーとしては熟成度があるというか形があるので、日本にとっては実はそれほどやりにくくないのではないかと思います。バーレーンのように荒削りで直線的に仕掛けてくるチームの方が、やりにくいかもしれません。バーレーン戦はホームですので、どうしても勝点3ポイントが欲しいところなのですが。 イラン戦は、田中と三都主がサスペンション(累積警告)で出場できません。ディフェンスラインについては、松田直樹(横浜F・マリノス)も茶野隆行(ジュビロ磐田)も坪井慶介(浦和レッズ)もいますので、どういう最終ラインを構成するかはジーコ監督の腕の見せ所となります。左アウトサイドは三浦淳宏(ヴィッセル神戸)が間違いなく入るでしょうが、三浦が90分プレーできるのかどうか心配です。左アウトサイドについては、これまでもっと他の選手をテストしていなかったツケが回って来なければ良いのですが。 3月はJリーグも開幕していますし、選手たちのコンディションも上がってきます。3月の2連戦こそ、内容よりもよい結果を期待したいものです。私はこの2試合で最低勝点4ポイント獲得(3試合消化で勝点7ポイント)を望みます。 それでは、また。(2005.2.12) |