ワールドカップ・アジア一次予選…アウェイで全勝を守り、10月13日の大一番へ

ヨーロッパでも2006年のドイツ・ワールドカップ予選が始まり、まさに全世界で、2006年に向かっての長く熾烈な戦いが本格化してきました。今回は、9月8日にインドのコルカタで行われたワールドカップ・アジア一次予選のインド戦の通信簿です。

ハーフタイムに停電になって後半のキックオフが30分も遅れるなど、色々なことが起きるのがアウェイゲームとは言え、まあとにかく意表を突く出来事を見せてくれるものです。日本はこれまで全勝をキープしていますがオマーンも勝点3ポイント差で追走してきていますので、ポイントのロスは許されず、3ポイント獲得が絶対条件です。6月の日本でのインド戦を観た印象では、この試合も上手くいけば5点は穫れるかも、と期待したのですが結果は4−0で、私の勝手なノルマには1ゴール足りなかったもののグループ1位を守りました(ちなみにオマーンはインドにアウェイで5−1で勝っています)。

システムは、最近の試合ではいつものとおり3−5−2でスタートしました。

ゴールキーパー:川口能活(ノアシェラン) 6.0点
*守備機会はなきに等しかったのですが、唯一とも言えるピンチに得意の果敢な飛び出しも見せてくれました。

3バック右:田中誠(ジュビロ磐田) 5.5点
*ベタッと引いた相手に対して攻撃のビルドアップの意識は見られたように思いますが、効果的なプレーはなかったように思います。後半なかばに4−4−2にシステム変更するために途中交替。

3バック中央:宮本恒靖(ガンバ大阪) 6.0点
*この日は落ち着いたパフォーマンスに見えました。終了間際には追加点のゴールも。

3バック左:中澤佑二(横浜Fマリノス) 6.0点
*相変わらず安定したパフォーマンス。むしろゴールがなかったのが不満??

右ウイングバック:加地亮(FC東京) 5.0点
*一人で突破していくタイプではないことはわかっているものの、周囲と連携して相手陣内に深く侵入していくわけでもなく、守備で効いているわけでもなく、サイドでボールを落ち着かせる役割を果たすわけでもなく、ポジションングも含めてすべてが中途半端。試合終了間際の鈴木への決定的なクロスがなければ、もっと低い点数に。

中盤底:福西崇史(ジュビロ磐田) 6.0点
*この日も1ゴールで、今年に入ってから代表でも持ち前の得点能力を発揮しています。ただ、守備面で軽く済ませてしまう場面が時折見られるのが福西の特徴であり悪い部分かも。まあ、攻撃的な(意識の強い)選手ではあるのですが。それと展開力があれば、さらに素晴らしいパフォーマンスが見られるようになると思います。

中盤底:小野伸二(フェイエノールト) 5.5点
*後半に入っての2点目のFKゴールでチームは落ち着きました。でも、チーム全体をコントロールするプレイメーカーとしてのパフォーマンスに関しては、残念ながら物足らない出来。

左ウイングバック:三都主アレサンドロ(浦和レッズ) 5.5点
*鈴木の先制ゴールに繋がったシュートと、福西のゴールを生んだクロスだけ。2点に絡んだとはいえ、その他のプレーにはまったく不満。今の三都主以上のFKという武器がある三浦淳宏(東京ヴェルディ1969)を使ってもよかったのでは。

トップ下:本山雅志(鹿島アントラーズ) 5.0点
*本山をトップ下に起用した意図を考えた時に、例えば中田英寿や中村俊輔や小笠原のトップ下に期待されるのは主には彼らのパサー能力によるゲームメイクでしょうが、本山のトップ下は変則3トップ的にアタッカーとしてゴールを奪ってくれることを意図したのではないでしょうか。そう考えると、この試合での本山はシュートもなく、機能しなかったと言わざるをえません。

フォワード:高原直泰(ハンブルガーSV) 4.0点
*前半のどフリーの決定的なシュートを決められず、仕事できず。ハンブルガーSVでも最近はフォワードでは使われなくなったようです。今の高原を無理にスタメンで使う必要はないと思います。

フォワード:鈴木隆行(鹿島アントラーズ) 5.5点
*前半をノーゴールで終えようかという時に、貴重な先制ゴール。でも、それ以外はまったく不満。特に試合終了間際の加地のクロスを外してしまったシーンは大減点。おかげで5点穫って終わるはずが4点止まりに。

途中出場:久保竜彦(横浜F・マリノス) 6.0点
*高原に替わって後半20分過ぎに出場。ゴールこそありませんでしたが、クラスの違うパフォーマンスの片鱗を随所に見せてくれました。スタメンで行けるコンディションに戻してくれることを期待します。

途中出場:藤田俊哉(ジュビロ磐田) <採点なし>
*田中に替わって後半30分近くに出場。4−4−2に変更して、中盤をスクエア型にして本山とともに2トップの下に。ただ、目立ったプレーはなかったので採点なしとさせていただきます。

途中出場:小笠原満男(鹿島アントラーズ)) <採点なし>
*後半終了近くに本山に替わって出場。本山でなくて小笠原をスタメンで起用したほうが機能的だったかも。ただ、直後のJリーグの試合(9月11日)を見た感じでは、トップフォームではない様子。

ジーコ監督 6.0点
*アウェイできっちり勝点3ポイントを獲得。注文も多々ありますが選手起用や選手交替も、まあまあという感じ。4点しか穫れなかったのは起用された選手の問題。もっとも、そろそろ他の選手と入れ替えて欲しいスタメンは何人かいますけど。特にまずは右サイド! 他に良い選手もいるでしょうに。

3点目を穫った後に、3バックを1枚減らして藤田を入れ4−4−2に変更してさらに攻撃的にしたものの、両サイドバックが引き過ぎたためか逆に押し込まれていたのは残念。中澤を前線に上げてゴールを狙う手を使うかと思ったのに、それもやらず。やればよかったのに。とにかく、停電中のハーフタイムに警備員の求めに快くサインに応じる余裕の姿に対して6.0点を差し上げます。

試合内容 6.0点
*本当に何が起こるかわからないアウェイで、きっちり3ポイント獲得は良かったですが、得点は4点止まり。アウェイではどこが相手でも難しいので4−0は上々の結果という考えもあるでしょうが、スコアよりも勝点3ポイント獲得が最重要事項ではあったのですが相手を崩したシーンも少なく、物足らない内容(崩してのゴールは3点目だけ。たとえゴールにならなくても、この相手ならもっと崩してみせて欲しかった)。何よりも前半にゴールを奪うのが遅すぎ。6.0点は甘いかも。


この試合の前まで得失点差でオマーンに1ポイント下回っていたので、この日の結果でようやく得失点差でもオマーンを1ポイント上回りました。でも、もしオマーンに1点差で負けると勝点で追いつかれ、得失点差も1ポイント下回ることになるという微妙な状況。それだけに5点目は必要だったのですが、どフリーだったのにゴールマウスを外してしまった鈴木のヘッドにはガッカリ。あれは相手ゴールにキーパーがいなくても外していたでしょう。鈴木にはぜひとも挽回してもらわなくてはなりません。

オマーンも取りこぼしすることなく日本について来ているので、10月13日のアウェイでのオマーン戦は大一番になりました。引き分け以上で一次予選突破が決まりますが、負けるとややこしいことになります。今年に入ってオマーンとは一次予選のホームゲームとアジアカップと2度戦って、いずれも1−0で振り切る展開でした。特にアジアカップでの試合では主導権を握られっぱなしで、アウェイでのオマーン戦に不安を持つ方も多いと思います。

まあ、普通にやれば負ける相手ではありません。ですが、状況が状況だけに、ゆめゆめタイヘンな事態にならないように周到な準備をしていただきたいものです。「もしも」のことがあると、本当に悔いを残しますよ。何しろ、一次予選は1位にならないと最終予選に進めないのですから。代表選手たちの頑張りだけでなく、日本サッカー協会の万全の態勢を期待します。

ではまた。
(2004.9.12)