イギリス遠征2連戦からワールドカップ予選の通信簿

6月9日のホームでのインドとのワールドカップ予選の前に、日本A代表はイギリス遠征を行いました。まずは、アイスランド、イングランドと2連戦したイギリス遠征出場選手の通信簿、そしてワールドカップ・アジア一次予選、ホームでのインド戦出場選手の通信簿です。

●アイスランドVS日本(5月30日:イギリス・マンチェスター)

試合開始早々にゴールを奪われながら、久保のビューティフルな2ゴールで逆転。後半立ち上がりに追いつかれるも、PKで勝ち越して勝利。スタメンは3-5-2で臨み、後半開始からメンバーを5人入れ替えて4-4-2にシステム変更。後半は練習試合の趣きになった感じで実質的な戦いは前半だけだったので、採点も前半出場メンバーだけにします。

ゴールキーパー:楢崎正剛(名古屋グランパスエイト) 5.0点
*セットプレーからの2失点、しかもよくない時間帯での失点はいただけません。特に1失点めはパンチングミス?

3バック右:坪井慶介(浦和レッズ) 5.5点
*稲本への曖昧なパスにはウェ〜! と叫んでしまいました。前半だけで交替。

3バック中央:宮本恒靖(ガンバ大阪) 5.0点
*セットプレーから2失点では、この採点も仕方なのでは? 特に2失点めは完全にヘッドで競り負け。フル出場。

3バック左:中澤佑二(横浜Fマリノス) 5.5点
*後半開始からの4-4-2へのシステム変更に伴い、宮本とともにセンターバックに。後半のほうが目立っていた感じ。でも、特によかったというわけではない。フル出場。

右ウイングバック:加地亮(FC東京) 5.5点
*序盤の切れ込んで久保に合わせたクロスは素晴らしかった。その後は相手に警戒されてしまい、序盤だけが好印象。後半は右サイドバックに入ってフル出場。

中盤底:稲本潤一(フルハム) 5.5点
*4月のチェコ戦から比べると低パフォーマンス。小野のクロスをダイレクトで叩いたミドルシュートだけの印象。前半だけで交替。

中盤底:小野伸二(フェイエノールト) 7.0点
*中盤の深い位置からの見事なゲームメイク。久保の2点めに繋がった右足アウトでのロングパスには痺れました。

左ウイングバック:三都主アレサンドロ(浦和レッズ) 5.5点
*前半の攻撃は右サイド偏重で蚊帳の外? またフル出場で、もしかしてジーコ監督になってから最長時間出場?

トップ下:中村俊輔(レッジーナ) 4.5点
*何にもせず、いなかったも同然。前半だけで交替。

フォワード:久保竜彦(横浜Fマリノス) 7.5点
*ビューティフルな2ゴール。1点めは、相手ディフェンダー網を巧みなステップで突破。前半だけで交替。

フォワード:玉田圭司(柏レイソル) 6.5点
*ゴールはなかったけれども、相変わらずよいパフォーマンス。前半だけで交替。

ちなみに、後半の4-4-2システムでは、スクウェア型の中盤の前めが小笠原満男と本山雅志(ともに鹿島アントラーズ)で、福西崇史(ジュビロ磐田)と遠藤保仁(ガンバ大阪)が中盤の底。2トップは鈴木隆行と柳沢敦で、前のほうはすっかり<鹿島アントラーズ化>。

ジーコ監督 <採点なし>
*練習試合みたいなものだったので、採点なしとさせていただきます。。

試合内容 <採点なし>
*不用意にセットプレーでゴールを奪われる悪い展開。久保の2ゴールと小野のゲームメイクは素晴らしかったです。相手の中盤のプレッシャーが緩々だった点を際し引いても、小野をもっと攻撃の中心にするべきであることを再確認。それと、日本はトップ下を置く必要はないのでは? 何もしないトップ下を置くよりは3トップ気味にして、左右サイドバックにもっと中盤から後ろのバランスを意識させるのも、手かもしれません。


●イングランドVS日本(6月1日:イギリス・マンチェスター)

明らかにイングランドは合宿疲れのご様子でしたが、そんなイングランドでもアウェイでドローに持ち込んだのだから、正直なところ気分は悪くはないです。稲本→久保→加地→中村俊輔→三都主→小野と流れるようなパスワークで決めたゴールは本当にファインゴール。

ゴールキーパー:楢崎正剛(名古屋グランパスエイト) 5.5点
*ジェラードのシュートを弾いてしまってオーエンに決められたシーンは、「サンドニの殺戮」(2001年3月、フランスに0-5で大敗)の再現かと頭をよぎりましたが、その後はまあまあ落ち着いて対処。でもミスは大減点。

3バック右:坪井慶介(浦和レッズ) 6.5点
*その特長である「追いかけてのタックル」で相手フォワードに対抗。そのスピードは強豪相手には通用してしまうみたい。

3バック中央:宮本恒靖(ガンバ大阪) 6.0点
*ラインコントロールもまあまあよかったんでしょう。ラインは深めだったような気がしますが。

3バック左:中澤佑二(横浜Fマリノス) 6.5点
*守備のことよりも、前にスペースがあったらオーバーラップしていく感覚を身に付けた(?)ようなのが評価の対象。

右ウイングバック:加地亮(FC東京) 5.5点
*ちょっと目立たなかった印象が。

中盤底:稲本潤一(フルハム) 6.0点
*アイスランド戦よりはよい出来。ロスタイムでのケガは本当に気の毒。

中盤底:小野伸二(フェイエノールト) 7.0点
*見事なゴール、風格あるパフォーマンス。やっと小野が中心となるチームの萌芽?

左ウイングバック:三都主アレサンドロ(浦和レッズ) 6.5点
*きわどいシュートもあり、存在感あるプレー。小野のシュートを呼び込んだクロスは、やっぱりサイドを深くエグルと決定的なラストパスになることを確認。これからも意識して欲しいです。

トップ下:中村俊輔(レッジーナ) 6.5点
*トップ下のパフォーマンスとしては全然物足りませんが、イギリスの皆さんには印象が残ったでしょう。ゴールシーンの三都主へのスルーパスは見事でしたけどね。

フォワード:久保竜彦(横浜Fマリノス) 6.0点
*ゴールはあげられなかったけれども存在感あり。ゴールシーンでも、相手ディフェンダーを引き連れてニアに動き、小野の2列めからの飛び出しをサポート。

フォワード:玉田圭司(柏レイソル) 6.0点
*イングランド相手にも全く怯むことなく、いつものパフォーマンスを見せてくれたことが嬉しい。

途中交替:鈴木隆行 6.0点
*後半15分に久保に替わって出場。決定的な場面はありませんでしたが、相変わらずのファウルゲッターぶりで、強豪相手には必要な存在。

途中交替:柳沢敦 5.0点
*後半15分に玉田に替わって出場。相変わらず動き出しは素晴らしい。でも、相変わらずそこまで。もう1段階のプラスアルファが加わらなければならないのでは? そんなタイムリミット。

途中交替:福西崇史(ジュビロ磐田) <採点なし>
*稲本の負傷で急遽ピッチに。遠藤保仁でなかったのは意外。

ジーコ監督 6.0点
*今回は採点をつけさせていただきました。コンセプトのわからない4バックでなく今のチームならベターと思われる3バックを選択し続けていることや、選手のセレクトや起用にも一定の成長(?)変化(?)が見られるので。ただ、最近のヨーロッパ遠征が結果だけ見ればイイ感じだからといって、これからもジーコ監督で行ってよいかどうかは全く別問題。チームが出来上がってきた、順調に仕上がってきたなんて、錯覚してはいけません。

試合内容 6.0点
*試合開始から20分くらいは押されっぱなしで一体どうなることかと思いましたが、徐々に慣れていったのか互角の攻防に。イングランドは後半から大幅にメンバーを替えてくるとばかり思っていたら、試合終盤までスタメンのメンバーでプレー。イングランドを本気させた証なのか、それは不明。お疲れイングランドの照準はヨーロッパ選手権であり、このフレンドリーマッチではないということ。

日本にとっても、いくらアウェイで強豪に勝ったり引き分けたりしても、肝心なのはワールドカップ予選。強豪との対戦も、フレンドリーマッチは所詮フレンドリーマッチ。シャレの効かないワールドカップ予選は全く別物。


●ワールドカップ・アジア一次予選:日本VSインド(6月9日:さいたまスタジアム)

では、本番の真剣勝負、インド戦の通信簿です。この試合で私の(勝手に)引いた最低ラインは5-0、及第点は6-0、上手く行けば8-0…というものでしたが。

ゴールキーパー:川口能活(ノアシェラン) 6.0点
*仕事は最初と最後の2度くらい?

3バック右:坪井慶介(浦和レッズ) 5.5点
*別に危ないシーンはなかったのですが、相手FWにポストさせ過ぎでは? それと足元が不安。

3バック中央:宮本恒靖(ガンバ大阪) 5.5点
*ボールをカブってしまうシーンは、ちょっとご勘弁願いたいです。

3バック左:中澤佑二(横浜Fマリノス) 6.5点
*後半2ゴールをあげたのだから一応、高得点。でも、序盤の決定的なシュートを外してしまったシーンは、ちょっと許せないくらい。2ゴールでも帳消しにできません。

右ウイングバック:加地亮(FC東京) 5.5点
*スペースがなかったか、状況判断の問題か、技術の問題か、随分中途半端なプレー。小笠原のゴールに繋がるパスだけ。ここも人材不足?

中盤底:福西崇史(ジュビロ磐田) 6.0点
*小野のサポートについては、まあまあ? ゴール前にも積極的に飛び出してAマッチ初ゴール。

中盤底:小野伸二(フェイエノールト) 6.0点
*この試合を仕切っていたのは小野。これからも、その調子でやっていただきたいです、中田英寿が戻ってきても。

左ウイングバック:三都主アレサンドロ(浦和レッズ) 6.0点
*後ろを心配しなくてもよいので結構やりたい放題? 1対1を挑んでばかりいたようですが、確かに攻撃にメリハリは与えていましたけど、でも持ち過ぎでは?

トップ下:中村俊輔(レッジーナ) 6.0点
*1ゴール、2アシスト、さらに2点の起点になったのだから一応、高得点。でも、全然トップ下ではないし、シュートの意識も低い。セットプレーは威力充分だけれども、ゴールとなったフリーキックは別の相手なら防がれていたのでは?

フォワード:久保竜彦(横浜Fマリノス) 7.0点
*前半だけの出場も、素晴らしい先制ゴールと1アシスト。嫌な雰囲気を断ち切ってくれました。

フォワード:玉田圭司(柏レイソル) 6.0点
*積極的にゴールを狙うプレーは評価できます。ゴールがなかったことだけが残念。

途中交替:鈴木隆行 5.5点
*久保に替わって後半開始から出場。玉田のシュートが当たってラッキーな得点1。でも、ちゃんとした得点は奪えず。その予感もなし。

途中交替:小笠原満男 6.0点
*後半17分に宮本に替わって出場。(3バックを4バックに変更)やっと見せてくれたAマッチ初ゴール。

途中交替:藤田俊哉 5.5点
*後半25分に小野に替わって出場。中盤の低い位置に入ったようですが、ちょっと低過ぎて持ち味が発揮できず?

ジーコ監督 6.0点
*結果を残したのだから合格点。後半途中で宮本に替えて小笠原を投入して3バックを4バックに変え、さらに攻撃の意識を高める采配も見せました。それでも7点止まり(この日、たまたまオマーンがシンガポールに7-0で勝ったからではなく…)。小野を下げて中村俊輔を残した交替は不納得。この試合の柱は小野でなかったのでしょうか?(お役御免という感じの交替でもなかった)

試合内容 6.0点
*私の及第点クリアの7-0でしたし、これまでのワールドカップ予選のモタモタ試合を吹き飛ばすゴールラッシュ…と言いたいところですが、いかんせん相手のレベルがレベルなので、決して喜べる内容ではなかったと思います。引いた相手を崩すプレーができたかと言うと、何とも評価が難しいところ。

ところで、宮本が下がる時に小野にキャプテンマークを渡したところまではよかったのですが、小野が下がる時に、小野は福西に渡し、福西は中村俊輔に付けさせようとし、しぶしぶ中村俊輔が巻いたところで藤田が入ってきて、ホッとしたように中村俊輔が藤田にキャプテンマークを渡し…生中継でミットモナイ場面だったと思ったのは私だけでしょうか?
(2004.6.15)