東アジア選手権、A代表選手たちの通信簿

12月4・7・10日に、東アジア選手権が日本で開催されました。この大会は、本来ならば5月下旬に開催されるはずだったのですが、諸事情により延期され、年末のこの時期に行われました。来年2月からワールドカップのアジア1次予選も始まりますし、来年7月には中国でアジアカップ(前回レバノンで開催された2000年大会は日本が優勝)も開催されるという状況では、ほとんど意味のない大会になってしまいました。日本・韓国・中国のシード3か国に、予選を勝ち上がってきた香港の4か国のリーグ戦で優勝を争います。

今回は、東アジア選手権の3試合に出場したA代表(フル代表)の選手たちの通信簿です。

●12月4日:東京・国立競技場:中国戦(日本 2-0 中国)

ゴールキーパー:楢崎(名古屋グランパスエイト) 6.0点

3バック右:中澤(横浜F・マリノス) 6.5点
*身体能力に優れた中国選手の前に頼もしい立ち塞がり方で、シャットアウトに貢献。

3バックセンター:宮本(ガンバ大阪) 5.5点
*またバックパスで危ないシーンが・・・。

3バック左:坪井(浦和レッズ) 5.5点
*前半、相当危ない場面があったので減点。

右ウイングバック:山田暢久(浦和レッズ) 5.0点

左ウイングバック:三都主(清水エスパルス) 5.5点

ミッドフィルダー:遠藤保仁(ガンバ大阪) 5.5点

ミッドフィルダー:福西(ジュビロ磐田) 5.5点

ミッドフィルダー:小笠原(鹿島アントラーズ) 6.5点
*中田英寿や中村俊輔がいなくても小笠原がいる、と思わせてくれたチャンスメイクぶりは見事でした。

フォワード:久保(横浜F・マリノス) 7.5点
*やっと目覚めてくれた大器。これまでの代表Aマッチ無失点を吹き飛ばす2ゴールで勝利の立役者に。ただ、ハットトリックもできたはず。

フォワ―ド:大久保(セレッソ大阪) 5.0点
*これほど長い時間使ってもらっているのに、いい加減にゴールを決めていただきたいです。

途中出場:本山(鹿島アントラーズ) 6.0点
*後半30分過ぎから大久保に替わって出場。久保の2点目をアシスト。

ジーコ監督 6.5点
*あれほどこだわっていた(?)4-4-2システム(中盤スクエア型の4-4-2)を、今回いきなり3バック(3-5-2)に変更。Jリーグのチームで慣れている選手が多いためか、これが結構機能してしまいました。アジア相手だと、より中盤の支配力を上げられるので3-5-2もよいのかもしれません。

試合内容 6.0点
*中国に思ったほどの手ごたえがなく、UAEで開催中のU-20ワールドユースのほうが面白い感じもしましたが、とりあえず初戦をシャットアウトで勝利したので、及第点。


●12月7日:さいたまスタジアム:香港戦(日本 1-0 香港)

ゴールキーパー:楢崎(名古屋グランパスエイト) <採点なし>
*ほとんど攻撃らしい攻撃を受けなかったので、採点なし。

3バック右:茂庭(FC東京) <採点なし>
*試合終盤にクロスバーを直撃したヘディングシュートは惜しかった。決まっていればA代表初ゴールだったのに。

3バックセンター:宮本(ガンバ大阪) <採点なし>
*楢崎と同じく、採点なし。

3バック左:坪井(浦和レッズ) <採点なし>
*上に同じ。

右ウイングバック:山田暢久(浦和レッズ) 4.5点
*浦和レッズでもこのシステムで同じ位置をやっているはずなのに、何をしていいのかわからない様子がアリアリ。

左ウイングバック:三都主(清水エスパルス) 6.0点
*頭脳的なPK奪取を自ら決めて決勝点を奪う。久々に鋭いクロスが炸裂していましたが、これくらいの相手ならばチームの大きな武器になることがわかりました。

ミッドフィルダー:遠藤保仁(ガンバ大阪) 5.0点
*コンディション不良なのか、相手を軽く見ているのか、中国戦よりもさらに悪い出来。得意のミドルシュートもなし。

ミッドフィルダー:福西(ジュビロ磐田) 5.0点
*もっと攻撃的に行ってもよかったのではないでしょうか? 守備や中盤のバランス取りも、何だか中途半端に見えました。

ミッドフィルダー:小笠原(鹿島アントラーズ) 5.5点
*存在感はありましたが、決定的な仕事はできず。

フォワード:久保(横浜F・マリノス) 5.0点
*この試合の出来にはガッカリ。

フォワ―ド:大久保(セレッソ大阪) 5.0点
*立ち上がりの決定機を相手GKにぶつけてからは、運もなし。ゴールもなし。

途中出場:山田卓也(東京ヴェルディ) <採点なし>
*遠藤保仁に替わって後半20分過ぎに出場。今シーズンのJリーグでは得点能力を兼ね備えた中盤として活躍も、その一端を見せられず。

途中出場:奥(ジュビロ磐田) <採点なし>
*ケガをした小笠原に替わって後半25分に出場。もっと早めに投入していただきたかった。

途中出場:石川(FC東京) <採点なし>
*山田暢久に替わって出場も、あまりに時間が短すぎたA代表デビュー。

ジーコ監督 5.0点
*PKだけの1ゴールの責任は監督だけにあるのではありませんが、終盤に交替選手を投入するごとにチーム(特に中盤)のバランスがどんどん崩れていったのは、手腕と意図に疑問符。遠藤保仁に替えて山田卓也を投入するのなら、奥と福西を中盤の底にして、その前に山田卓也を置くほうがよかったのではないでしょうか。

試合内容 5.5点
*10月下旬にU-22がアウェイで1-0で勝った相手に、ホームでこの結果では…。おかげで、韓国とは勝点・得失点差でも並んでしまい、総得点の差で2位に。優勝するためには、最終戦の韓国戦での勝利が絶対条件になってしまいました。


●12月10日:横浜国際総合競技場:韓国戦(日本 0-0 韓国)

ゴールキーパー:楢崎(名古屋グランパスエイト) 6.5点
*前半、危ういシーンもありましたが、その他は安定感あり。

3バック右:中澤(横浜F・マリノス) 6.0点
*やはり高さがあると安心感が。10人になってしまったことによる戦術的理由で、前半で交替。

3バックセンター:宮本(ガンバ大阪) 6.5点
*集中力あるよいパフォーマンス。

3バック左:坪井(浦和レッズ) 6.0点
*やはり軽い守備が気にかかります。

右ウイングバック:山田暢久(浦和レッズ) 5.0点
*申し訳ありませんが、普通ならばスタメン出場はもうないのではないでしょうか。他にもっと選手はいるはずです。

左ウイングバック:三都主(清水エスパルス) 5.5点
*チームの武器になるような、ならないような・・・何と言えばいいのでしょうか、どうもはっきりしません。

ミッドフィルダー:遠藤保仁(ガンバ大阪) 5.5点
*ポジショニングは流石と思わせましたが、軽いプレー目立ったような気がします。

ミッドフィルダー:福西(ジュビロ磐田) 5.0点
*対人プレーの強さは流石でしたが、中盤の底として物足らないです。中澤と同じく、前半で交替。

ミッドフィルダー:小笠原(鹿島アントラーズ) 5.5点
*体を張ったプレーぶりは見事でしたが、決定的な仕事はできず。ただ、これからも使って欲しいです。

フォワード:久保(横浜F・マリノス) 5.5点
*緒戦で2ゴールも、その後は尻すぼみ。この日のような試合でも、相手にとって脅威になっていたのですから、1ゴールねじ込む迫力を見せて欲しいものです。それでもようやくAマッチでゴールをあげてくれて、本格的なストライカーとして期待大。

フォワ―ド:大久保(セレッソ大阪) <採点なし>
*20分も経たないうちにイエロー2枚で退場、試合をぶち壊し。確かに2枚目のイエローは、シミュレーションかどうか微妙なところで可哀想でしたが、問題は1枚目のほう。

途中出場:藤田(ユトレヒト) 5.5点
*後半開始から出場も、時間がたつにつれて、中盤のバランス取りとパスの繋ぎに入ってしまい、決定的な仕事はできず、

途中出場:本山(鹿島アントラーズ) 6.0点
*後半開始から出場。本来のキレはなかったように思いますが、何度も惜しいシーンを作り出す。

途中出場:黒部(京都パープルサンガ) <採点なし>
*出場時間が短すぎました。

ジーコ監督 5.5点
*早々と10人になってしまったにもかかわらず、3バックを4バック(実質2バック)に変更し、再び3バックに変更するなど、後半の仕掛けはなかなか見応えあり。その甲斐もあって終盤は韓国を圧倒し、初めてベンチワークらしいものを見せていただきました。ただ結局、総得点で1点足らず、ホームで開催される大会に優勝できなかったのも事実。よって減点。

試合内容 6.0点
*内容的には6.5点をつけたいところですが、押し込みながらも結局ゴールを奪えずに優勝を逃したので減点。

なお、この試合のMVPは、もちろんメインレフェリー。大久保への2枚目のイエローカードは、ファウルかもしれないしシミュレーション対象かもしれないし微妙なところではありますが、あそこで2枚目のイエローカードを出して試合をぶち壊しにしてしまう時間帯ではありません。それ以降も、ズルッとずっこけさせてくれるジャッジを多発。試合終盤では、そのジャッジに可笑しささえ感じてしまいました。

(2003.12.15)