日本A代表、カメルーン戦出場選手の通信簿

11月19日のインターナショナルマッチ・デイ(国際Aマッチ・デー)に、日本代表(A代表)は大分スタジアムでカメルーン代表と対戦しました。結果はスコアレスドローに終わってしまいましたが、カメルーンも勝負にこだわって積極的なパフォーマンスを挑んでくれたこともあって、なかなかスリリングな好試合だったと思います。この一戦を振り返ってみることにしましょう。

今回は趣向を変えて、海外のメディアがやっているように、日本代表の出場選手を10点満点で採点してみたいと思います。国によって、メディアによって、10点満点もあれば5点満点や3点満点もあるようですが、イタリア等のメディアと同じように10点満点にしてみます。10点満点の採点の場合は、6点が及第点といったところです。物足らないパフォーマンスだと5点とか5.5点。ゴールをあげたり、ゴールに直結するプレーや、目につく活躍があれば7点。2ゴールも3ゴールもあげたり、きわめて重要な局面で試合を決定づけるプレーがあれば8点。超・大活躍で9点という感じでしょうか。10点満点は、まずありえません。0.5ポイント刻みで採点します。

ゴールキーパー:楢崎(名古屋グランパスエイト) 6.0点
*強豪・カメルーンを相手に無失点に抑えたので、まずまずの出来と言わざるをえないでしょう。ただ、幸運に救われたシーンもいくつかあったことと、味方のバックパスを無造作にキックミスしてタッチラインを割ってしまうようなプレーは止めていただきたいものです。

右サイドバック:山田(浦和レッズ) 5.0点
*左サイドの三都主が狙われるかと思っていたら、山田の右サイドが何度も破られて危ないシーンを生んでしまいました。オーバーラップによる攻撃参加もほとんどできず。ただ、中盤(特に中田英寿)のポジショニングのあおりを受けた感もあり、身体能力に優れたカメルーンの選手2人と常に対峙させられることになり、同情する余地もあり。それでも、もっと右サイドの攻防に応戦できる能力とセンスを身に付けて欲しいものです、日本代表なんですから。

センターバック:宮本(ガンバ大阪) 5.5点
*一応、無失点に抑えたのだから及第点のはずなのですが、ほとんど目立たなかった感が。以前のAマッチでも見られましたが、最終ラインからのフィードを安易に相手に渡してしまう悪いクセ(?)は今回も気になりました。

センターバック:坪井(浦和レッズ) 6.0点
*いくつか対人プレーの甘さからヒヤリとさせられる場面もありましたが、まずますの出来だったと思われます。ただ、その後のJリーグのプレーを見ていると、対人プレー、相手選手のマークの仕方や体の寄せ方など、まだまだ随分甘さがあることがわかります。ワールドカップ予選などのまったく洒落の効かない真剣勝負で、その甘さが致命傷にならなければよいのですが。

左サイドバック:三都主(清水エスパルス) 5.5点
*もっと左サイドをやられるかと思っていたら、カメルーンが日本の右サイドを中心に攻略してきたので、思いのほかボロ(?)は出ず。かといって、攻撃面で威力を発揮したかというわけでもなし。もっと鋭いアーリークロスを持っているはずだったのですが…フリーキックも蹴りたがるのは結構ですが、それならば、もっと凄いやつを見せて欲しいもの。

ミッドフィルダー:稲本(フルハム) 5.5点
*最近のAマッチ同様、攻め上がりを自重して中盤の底の地味な仕事に徹した感が。ただ、稲本の得点能力は非常に捨て難いものがあるので(実際、昨年のワールドカップではそれで得点を奪っていったのですから)、何とか活かす方法を本気で検討して欲しいものです。ボランチを小野とコンビを組むと、こういうプレーになることもわかるのですが(遠藤保仁とコンビを組んでも、最近はこういうプレーぶりでしたが)。

ミッドフィルダー:小野(フェイエノールト) 5.5点
*悪くないパフォーマンスだったと思いますが、もっともっと中心的な存在になって欲しい。直接フリーキックも、他の選手に蹴らせないで自分で蹴って欲しい。右足のフリーキックなら、いちばんゴールの可能性がある一人であることは間違いないのですから。

ミッドフィルダー:中田英寿(パルマ) 5.0点
*リーダーシップといい、フィジカルの強さといい、確かに印象には残りました。試合序盤の得点機の演出も見事。だが、その後はどんどんポジショニングが中央に偏っていって、右サイドを攻略される遠因にもなったように思われます。マークがきつかったのかもしれませんが、ほとんど効果的なゲームメイクはできなかったように思われます。ホームでノーゴールの状況に、なんとかしてくれる選手になって欲しいのですが。

ミッドフィルダー:藤田(ユトレヒト) 5.5点
*中村俊輔に代わって起用された藤田は、この試合のいちばんの注目でした(なぜ藤田が選ばれないのか、ここ何年も異論を唱えるファンが多かったわけですが)。なぜならば、パス出し役を得意とする中村俊輔と違って、ペナルティエリアに飛び込んでいくシャドーストライカーが持ち味だから。でも、他の中盤の選手との兼ね合いからか、サイドや空いたスペースで起点になることはあっても、ペナルティエリアに飛び込むシーンは皆無。持ち味を発揮できず。ただ、こういうシャドーストライカー・タイプは、中田英寿や小野がやらないので不可欠です。

フォワード:高原(ハンブルガーSV) 4.5点
*なにしろ、中田英寿と柳沢のワン・ツーで作った序盤の決定機を決められなかったのは非常にイタイ。相手ゴールキーパーと、ゴール中央で1対1なのにトラップしてしまうとは…あそこはダイレクトシュートでしょう。その後も、相変わらず中盤まで下がってボールに触ろうとするクセが目につきました。もっと、相手ゴール前で仕事をしていただきたいものです。

フォワ―ド:柳沢(サンプドリア) 5.0点
*動き出しの速さはカメルーン相手にも充分見所に。ただ、ダイレクトシュートするべき場面や強引に突破を試みて欲しい場面でトラップをしたり、そうした辺りは相変わらず柳沢でした。でも、その次の場面では、反省したのか果敢なチャレンジを試みる姿勢も。反省をすぐに実行に移す点は、高原よりも見所があるかも。

途中出場:大久保(セレッソ大阪) 5.0点
*後半20分過ぎに柳沢に替わって出場、フォワードの位置に。この試合もノーゴールで、残念ながら、最近のフォワードの選手のA代表無得点記録をさらに更新してしまいました。なぜか使われ続けるのですが、まだ国際Aマッチでプレーする力量は備わっていないのでは?

途中出場:遠藤保仁(ガンバ大阪) 5.5点
*後半35分に藤田に替わって出場、稲本と並んで中盤の底に。TVで見ていた感じでは小野が高い位置に入ったように見えたのですが、ベンチの指示では3ボランチだった模様。遠藤らしい攻め上がりとミドルシュートも見せたが、ゴールに直結するプレーは残せず。


ジーコ監督 (採点不能)
*遠藤保仁を投入したのは正しい戦術と思いますが、全体的に選手の自主性(…といえば聞こえはよいですが)に任せているというよりも、戦術性が感じられません。毎度の大久保投入もハンで押したかのごとく。しかも、高原に替えるのかと思ったら、ボールを引き出していた柳沢に替えるとは…よって、採点不能とさせていただきます。


大分スタジアムのピッチ状態 4.0点
*芝の状態は見るからに良くなく、滑る選手も続出。開閉式屋根を持つビッグスタジアムは結構ですが、肝心の芝の状態が良くないのでは…。


試合内容 5.5点
*本気印のカメルーンのおかげで、単なる興行試合にならず、緊張感のある好試合に。本来ならば6.0点をつけたいところですが、ホームの日本がノーゴールというのは、やはり減点。よって5.5点。


以上、カメルーン戦の採点でした。

日本代表は、12月には東アジア選手権(4日・国立競技場、7日・埼玉スタジアム、10日・横浜国際総合競技場)に臨みます。この大会はインターナショナルマッチ・デイに該当しませんので、海外クラブは選手の派遣(召集)を拒否することができます。海外でプレーする選手たちが何人帰国できるかわかりませんが、私は無理に帰国する必要はないと思っています。いつもいつも強引に海外でプレーする選手たちを招集するのでなく(それは海外でプレーする選手たちにとっても迷惑なのではないでしょうか?)、Jリーグでプレーする選手たちだけで十二分な戦いを見せて欲しいと思います。

また、Jリーグ(J1)のチャンピオンシップ(12月6日および13日)が開催された場合は、Jリーグの選手の招集にも制限が生じます。

そんな状況で臨む大会ですが、ホームで開催されるのですから、当然それなりの結果を普通に残して欲しいものです。ジーコ監督のお手並み拝見といったところです。

また、間もなくU-20ワールドユース選手権大会がUAEで開催されます。1999年には準優勝(その前は連続してベスト8)を果たした日本代表ですが、2年前の大会ではグループ・リーグで敗退してしまいました。今回も強敵揃いのグループ・リーグですが、奮闘を期待したいものです。

では、また。
(2003.11.26)