ヨーロッパのクラブチームのフットボール・シーズンは、初秋(8月下旬〜9月)に幕を開け、翌年の5月頃に幕を閉じます。毎年、春が到来する時期から一気にヒートアップ、実に目の離せない展開になるのです。それは、各国のリーグ戦だけでなく、ヨーロッパ・カップ戦と呼ばれるスリリングな戦いが、クライマックスを迎えるからなのです。ヨーロッパ・カップ戦は、ウィークデイの夜(日本時間の早朝)行われるので、私たちも毎朝、眠い目をこすりながら観戦しています。そりゃもう、毎日朝の3時とか4時に起きるのは、苦行というもんです(そのおかげでデイタイムは頭がボ〜として、仕事もままならない?)。 もちろん、各国のリーグ戦も終盤を迎え、ヒートアップしています。優勝争いだけでなく、2部への降格争いも実に熾烈です(いや本当に、熾烈なんてもんじゃないくらい、凄まじいんです)。各国リーグ戦と並行して行われてきた各国のカップ戦(トーナメント戦)も、いよいよファイナルを迎えつつあり、リーグ戦ほどの重みはないものの、こちらも注目されます(イタリアのカップ戦では、中田英寿が所属するパルマが、ファイナル(決勝)に駒を進めています)。
各国リーグ戦がヒートアップするのは、優勝争いや降格争いだけでなく、上位争いというものが存在するからでもあるのです。少しでも順位を上げよう、ということです。つまりは、3重の熾烈な戦いになるわけですね。なぜ上位争いが存在するかというと、各国リーグ戦の上位チームに、ヨーロッパ・カップ戦への出場権が与えられるからなのです。ヨーロッパ・カップ戦へ出場できれば、選手たちは過密スケジュールになってタイヘンですが、クラブとしては、莫大な収益を上げることができるのです。したがって、各国のどのクラブとも、ヨーロッパ・カップ戦には、ぜひとも出場したいところなのです。だからこそ、その出場権を賭けた戦い(=各国リーグ戦の上位争い)もまた、熾烈になるのです。
ヨーロッパ・カップ戦は、2つ存在します。 もう1つは「UEFAカップ」(ウエファ・カップ)。各国リーグ戦の上位チームで、チャンピオンズ・リーグ出場権を得る順位の次の順位(クラス)のチームが、出場権を得ることができます。この点からも、UEFAカップよりもチャンピオンズ・リーグのほうが「格が上」であることが、おわかりいただけるでしょう。また、UEFAカップには、チャンピオンズ・リーグの1次リーグ戦で敗退したチームも、回ってくるという仕組みにもなっています。 チャンピオンズ・リーグではベスト8が、UEFAカップではベスト4が出揃って、今週から来週にかけて、それぞれクオーターファイナル(準々決勝)、セミファイナル(準決勝)が行われます。とにかく、その顔ぶれを見て下さい。 チャンピオンズ・リーグのクオーターファイナルの対戦カード(ベスト8)は、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)VSレアル・マドリッド(スペイン)、ラ・コルーニャ(スペイン)VSマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)、リバプール(イングランド)VSバイヤー・レバークーゼン(ドイツ)、パナシナイコス(ギリシャ)VSバルセロナ(スペイン)です。どれも見たいカードですねえ。イタリアのローマもユベントスも、イングランドのアーセナルも、クオーターファイナルに進めなかったのですから、そのレベルの高さが伺われるでしょう。 セミファイナル(準決勝)まではホーム&アウェイで行われ、ファイナル(決勝)のみ、1発勝負で行われます。ホーム&アウェイでのドラマも数々生まれますが、このファイナルの1発勝負がまた、ホーム&アウェイとは違ったドラマを生み出すのです。今年のファイナルは、5月15日、イギリス(スコットランド)のグラスゴーで行われます(開催地は毎年持ち回りです)。いったい、どんな対戦になるのでしょうか? ワクワクします。 UEFAカップのほうは、セミファイナルの対戦カードが、インテル・ミラノ(イタリア)VSフェイエノールト(オランダ)、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)VS ACミラン(イタリア)となりました。小野伸二が活躍するフェイエノールトが、ベスト4進出です。しかも、UEFAカップの今年のファイナルは、5月8日、オランダのロッテルダム、フェイエノールトの本拠地(デカイプ・スタジアム)で行われます。これは本当にラッキーです。だからこそ、小野にはぜひファイナルに進出して、UEFAカップ優勝の栄光を獲得して欲しいものだと思います。(2002.4.5)
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