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さて、いよいよワールドカップ・アジア最終予選、オーストラリア戦が目前となりました。いつも言っているように、年明けから2月というのは日本のフットボールシーンはシーズンオフで、いっつも2月のワールドカップ予選の試合は苦戦していますよね。 しかしね、日本サッカー協会会長が論理背景もないまま強硬に主張している「秋春制」(秋にシーズン開幕して春に終了)に移行したとしても、この問題は解決にはならないよ。 ヨーロッパなどでは正月三が日でも国内リーグをやっている…日本ではたとえ「秋春制」になったって、年末年始は相当期間にわたって中断するだろう? 寒いし、スタジアムでの観戦の足は遠のくし、そもそもそれが日本の風土だ。 だからヨーロッパでプレーしている選手たちのようにはコンディションは良くはならない。 でもって、自分の所属クラブの練習開始よりも何週間も早く始動している代表選出の選手たちは、本当に気の毒だし御苦労なことだ。 そんな中で、まずは1月20日にイエメンとの「アジアカップ」最終予選を熊本で戦った。もちろんヨーロッパ組抜きの国内組で。 「アジアカップ」の予選なんぞは負けてもいい、と書きましたが、この試合では比較的新しい顔ぶれを起用してスコアは2-1。 イエメンはたった1本のシュートで1点を奪い、日本チームは25本(以上?)ものシュートを打って2点という効率の悪さで、ずいぶん接近したスコアになってしまった。ま、ポストやクロスバーに嫌われたシュートが何本もあったし、シーズンオフの試合としてはこんなもんじゃないか。 もちろん良くは全然ないが、ま、こんなもんだろう。 続いて1月28日はバーレーンまで出張、いや遠征して、バーレーンとの「アジアカップ」最終予選。これが十数年ぶりに生中継なしということで(旧来メディアが大袈裟に騒ぎ立てるほど別に大したことじゃない)ネット中継を見ていたら、なんとまぁ0-1の敗戦。 「アジアカップ」の予選なんぞは負けてもいいと書いてきたが、負け方ってもんがある。 新しい顔ぶればっかりでチャンレンジして、それで負けならいいよ。しかし、中途半端にワールドカップ予選の最近の中心的メンバーをそこそこ起用して、しかも中身の全然ない内容で、あれで負けちゃうのかよ? やられっぱなしというわけではないが、ろくに相手を崩せてはいなかったな。それでも、選手たちのアドリブで惜しいゴールチャンスはいくつかあった。 内容はボロボロでもその1つくらりは決めて、ねじ込んで、せめてドローには持ち込めよな〜、まったく。 失点だってセットプレーに対する緩慢な対応によるものじゃないか。そのセットプレーを与えたシーンだっけ。 あ、私がウダウダ言うまでもなく、まだネットで無料で見せてくれるらしいので、よろしかったらどうぞ。 5分のハイライト版もあるし、フルタイム版もまだあるみたい。無料です。 こちらです。→「LiveSports.jp」 続いて2月4日はフィンランド代表とのテストマッチ。こりゃ参考にならん。 私は2月1日にフィンランド代表が湘南ベルマーレと行った公開練習試合を観てきたが、予想どおり全然スパーリングパートナーにならないチームだった。 そのフィンランド戦だが、相変わらずゴールキーパーが穴だなぁ。 楢崎と川口が負傷していて、その代役がいないとかゴチャゴチャ言っているけど、要は楢崎と川口にとって代わるキーパーを試してこなかったツケじゃないか。 川島(川崎フロンターレ)だって、もっとたくさん使わなきゃ。 しかし、フィンランド戦では川島でなく都築(浦和レッズ)を起用したということは、オーストラリア戦も都築なのか? そりゃ賭けだなあ…ぽろぽろファンブルばっかしだからなあ。パンチングも中途半端だし。西川(大分トリニータ)も昨シーズン後半にケガしたんでね…でも復帰してきたらもう西川でいいよ。 この試合では2列目からの岡崎の飛び出しでの2ゴールが良かったが、いずれも後方からの相手ディフェンスラインの裏に落としたボールによるもの。オーストラリア相手でもこのようなコントロールフィードができるかどうか、裏へ走り込もうとしても体をぶつけられて阻止されないか、確証は持てないよね。 それと攻撃面では、前のほう(前の選手)だけで崩したシーンがあまりに少ない。それと、難しいことというか、複雑なパス回しや繋ぎをやろうとし過ぎじゃないか? また、やはり気になるのは守備で、最終ライン前、バイタルエリアでの相手選手へのチェックが甘い。それに、後方からの長いボールに対してゴール前で頑張って競っても、要はボールの出どころに対してプレッシャーをかけないと、いいボールが入ってしまったら完全に封じることは不可能なわけで…そこがまだ非常に緩いなあ。主に中盤の選手たちの運動量や集中力、察知力の問題になるのだろうが、シーズン中なら普通にもっとできていることも、シーズンオフでは試合勘も運動量も戻っていないのでね。そこが心配だな。 あと、終盤に安田(ガンバ大阪)を途中出場させたが、左サイドバックの長友(FC東京)との交替ではなく長友の1列前、左サイドハーフに入れてきたね。 以前にも書いたことがあるが、本来は安田は中盤の選手なんでね。 ガンバ大阪ではコンバートされて左サイドバックで起用されているわけで。 左サイドハーフは頑固に香川(セレッソ大阪)を起用している位置だ。 香川もなぁ、ま〜いいんだけどな、ファイティングがないからなあ。 安田と長友の絡みは面白かった。香川と長友よりも全然面白い。もっと見たいね。 さて、2月11日のオーストラリア戦だが、オーストラリアからしてみれば、ここまで3戦して3勝(しかもアウェイで2勝)しており、今回の日本戦はどうしても勝点3ポイントが欲しい試合ではないだろう。 一方の日本だが、グループ順位争いを見ても既にオーストラリアと日本が抜けつつあり、こちらもどうしても勝点3ポイントを獲得しなければならない試合ではない。 しかし負けは困る。 第2グループの追撃に巻き込まれることになるからだ。そう考えると、1-1もしくは0-0の引き分けといったところが妥当な予測だろうか…オーストラリアだって確かにヨーロッパでプレーする選手ばかりだが、アジア予選ではぶっちゃけそれほど大した戦いぶりでもないし、本来ならばホームで充分勝てる相手だと考えられる。 しかし現在の日本チームの状態では、オーストラリアに90分間ゴールを与えないことも、オーストラリアから2ゴール奪うことも難しい相談だ。 しいて言えば後者のほうが可能性あるか…もちろんホームの試合だし是非とも勝って欲しい。 しかしそれよりも重要なことは、これはワールドカップの予選であり、最終的にグループ2位以内に入って本大会出場権を獲得すること…したがって負けだけは絶対NGだ。 そのあたりを選手たち、そしてベンチワークが、現状のコンディション・状態の中でどのようなキレをみせてくれるのか。シーズンオフで様々なコンディションが不充分な中で迎えるこの一戦は、選手たち個々の底力と、現在の日本代表チームの底力が試される戦いになるだろう。 内容よりも結果よりも、そっちのほうが見物(みもの)だ。 寒風吹きすさぶ極寒の2月夜の試合ではあるが、チケットは早々に完売だ。 ところで、2月5日に仙台でサウジアラビアVSタイのテストマッチが行われてたって知ってた? サウジアラビアは2月11日に北朝鮮とのアウェイ戦があるので、仙台で調整していたらしい。どれくらい観に行った人がいるのか知らないが、私なら観に行っちゃっただろうな。 最後に、このウインターブレイクにドイツのフォルクスブルグに移籍した大久保について。 先週ウインターブレイク明け初戦のリーグ戦で、1点ビハインドの展開で後半途中起用されて確かに攻撃を活性化して、アウェイで1-1のドローに持ち込むことに貢献した。しかし、2度あったシュートチャンスに決められなかったのは残念。特に2度めはポストにぶつけてしまって逆転ゴールを決め損ねた。 海外デビュー戦でポストやクロスバーにぶつけてしまった日本人選手は、これまでの例ではその後パッとしないのだが…名波も柳沢も。 そして昨夜はスタメンで起用されて60分間プレー。動き出し自体は悪くないが、まだまだ周囲と呼吸やタイミングが合わないところもあるだろう。 しかし、ディフェンスラインを抜け出そうと動き出したところにボールが来たのにトラップミスをしてしまったシーンがあった。 ああいうチャンスをしっかりモノにして、早くゴールを決めて欲しい。 ドイツでも、大久保のスピード、動き出しの早さは充分通用するというか、他の選手にはない特徴・長所なので監督には重宝されるはずだ。 しかし、スーパーサブ的な扱いになる可能性もある。スタメンを勝ち取るには、出場機会に巡ってきたシュートチャンスをきっちりモノにすることだ。元々、大久保はシュートの上手い選手だったはず。 それがプロとして時間を送っていくうちに、なんだかシュートを決めるのが下手な選手になってきた感じ。 トラップが大きくなったり、ボールが足につかなかったり。技術が落ちたとも思わない。たぶんメンタル的なものだろう。意識過剰というか、硬くなってしまうというか。 ドイツのブンデスリーガで、能力的には充分通用するのだから、その辺の勝負強さというか、そういうものを身につけて行って欲しいものだ。でないと、出場機会が減っていくだけ。 しかし、昨夜の試合で大久保がフォワードでなく2列目(もしくは1.5列目)で起用されるという情報を入手した日本のスポーツ新聞は、口を揃えて「大久保、司令塔で出場へ」だって。 は? トップ下とか1.5列目はなんでも「司令塔」(ゲームメイカーもしくはプレイメーカー)なんですか? …どこの位置にいても司令塔は司令塔だし、トップ下でもゲームメイカーとは限らないし、そもそも今どきゲームメイカーはトップ下には置かない。大久保がトップ下の位置で起用された場合、役割はシャドーストライカー(セカンドストライカー)だ。 「トップ下」「1.5列目」=「司令塔」という素人丸出し、もしくは時代錯誤の記事を、2009年にもなってよく書けるもんだな、噴き出してしまった。 新聞社というよりも配信している通信社の人間に問題があるのかもね。 そういう部分でもフットボールネーションへの道のりは遠いね。 (2009/2/8) |