衝撃!! U-20ワールドカップ出場権を逃す!!!

昨夜(11月8日)は、サウジアラビアで開催されているAFC U-19選手権のクオーターファイナルが行われ、グループリーグを2勝1引き分けの1位通過した日本代表は、韓国にいいところなく0-3で破れ、7大会連続で出場していたU-20ワールドカップ(U-20ワールドユース)への出場権獲得に失敗してしまいました。

これは極めて重大な問題です。

今回のU-19日本代表ですが、2年前にU-16で優勝したチームから柿谷(セレッソ大阪)や水沼(横浜F・マリノス)らが加わってきているとはいえ、元々危惧されていたのです。

チームづくりの手腕に早くから疑問符が付けられていた。

しかもグループリーグは、イエメン、イラン、サウジアラビアと同組にされ、グループリーグ突破も心配されるありさまだったのだ。それが、イエメンには5-0、イランには4-2、サウジアラビアには1-1と実にスムースな展開…心配が杞憂に終わったとも言えるのだが、しかし内容は決してよくなかった。特にイラン戦など、たまたま4ゴールも奪えてしまっていた、って感じだったし、ディフェンス面の脆弱さはウイークポイントになりそうだった。

それだけに、2連勝してグループリーグ通過が決まったところでクオーターファイナルの対戦相手を選ぶ戦略を立ててもよかったのではないか。

その時点で既に、2位で通過すればUAE(そっちのグループ1位が決定していた)と、1位で通過すれば韓国VSイラクの勝者(勝ったほうがそっちのグループ2位になることになっていた)と対戦することがわかっていた。

それも何の工夫もなく…1位で通過するのは結構だが、前回対戦した時は3-0で勝った相手に全くいいところなく0-3の敗戦って、そりゃチームマネジメントの失態だよ。

それに日本サッカー協会のU-19選手権に臨む姿勢はどうだったのか?

その極めつけが、フル代表の試合にも既に出場している香川(セレッソ大阪)を今大会召集しながら、当初より「グループリーグのみ」というワケのわからない召集で、しかもグループリーグを終わると本当に香川は帰国してきちゃった。8日はJ2のセレッソ大阪の試合(アウェイでのヴァンフォーレ甲府戦)に出場して大活躍(前半0-2だった試合を3-2と逆転勝ち。香川は2ゴール)してる…はぁ? なにそれ。

今大会、グループリーグさえ突破すればイイということだったわけ? だって、出場権はグループリーグ通過の後のクオーターファイナル(準々決勝)に全てかかってるんだぜ?

おっかしいな〜おっかしいゼ。

それに、先日のナビスコカップのファイナルでも活躍した金崎(大分トリニータ)もこのチームには必要な選手なのに、

「ナビスコカップの決勝戦で得られるものも大きい」とか協会の誰かが言ったとかで召集せず。

じゃあ、ナビスコカップが終わったら(11月1日終了)召集すればいいじゃねーか、U-19選手権は10月31に始まったばかりなんだ。大竹(FC東京)も召集してないし、山田(浦和レッズユース)も召集してない。

アジアの戦いを軽くみているんじゃないか?

フル代表とかクラブチーム単位のACL(アジアチャンピオンズリーグ)とか、そういう世間で目立つところだけ上手くいけばいいと思っているとしか感じられない。

そんなのは必ず大きなしっぺ返しが来るゾ。

日本が近年これだけ躍進してこられたのは、Jリーグ発足以前からの氷河期から(氷河期においても)若年層の育成に、その当時としては地道に懸命に取り組んでいた基盤があったからこそ、だ。それを日本サッカー協会はいつの間にか忘れてしまっている。

「サッカーバブルに浮かれておかしくなっている」という指摘や危惧が囁かれていたが、これは本当にそのようだな。

思っていた以上に根は深そうだ。ヤバイぞ、日本サッカー。

日本サッカー協会の会長、そして強化担当責任者、すぐにでも記者会見を開いて、一体どう考えているのか明らかにせよ!

「たかがU-**で世界大会へ行かなくても平気…」とか何気に思っていそうな気がする。おい、そうだろう!?

日本は長らく、中学生から高校生にかかるU-17(もしくはU-16)世代で苦戦をしていました。それが、前回のU-17ワールドカップにも出場でき、つい先日も来年のU-17ワールドカップへの出場権を獲得したわけで、少し改善が見えてきました。それなのに今度はU-20(U-19)でこの失態とは…かつては何度もベスト8にも進出し、1999年には準優勝したU-20ワールドカップ(U-20ワールドユース)への出場を果たせなかったことは大問題。

もうよくわかっただろう…選手は伸びているし層も厚くなっているしタレントも出てきているのだ。競技人口は野球を抜いてトップだ。

それに対して指導者のほうはどうなのか。

日本人指導者は質量ともチープ。日本人指導者は「無能」と言い切る人も少なくない。私もU-23オリンピック代表チームの監督のことで以前書いたように、とっかえひっかえいろんな人間にやらせてみているけれどロクな人材がいないことは明らか。ましてやユース年代の指導者ではなおさら。ユース年代は一番成長する時期だろう? 海外じゃ、20歳前後でフル代表に頭角を現そうという人材がどんどん出てくる。日本はそうでないのはなぜか? 日本人選手が国際的に比較して晩成型が多いのは日本人のメンタリティや風土や文化の問題もあるだろうが、やはり育成に問題があると思われるのだ。

選手が伸びてこない。
だからこそ外国人の指導者を招聘して欲しい。


ギャラが高くない指導者で優れた指導者なんてゴロゴロいるだろう。そうしてユース年代の育成をもっと有機的なものにしないと、フル代表の世界の舞台での戦いもいつまで経っても現状レベルから脱却できないのではないか。

一方で、現在ニュージーランドで開催中のU-17女子ワールドカップでは、日本代表がイマジネーション溢れる魅力一杯の攻撃で、アメリカに3-2、フランスに7-1、パラグアイに7-2の3連勝でグループリーグを圧倒的な強さで突破。

地元の観客からの人気もどんどん高まっているのがTVを通じてはっきりわかった。大柄な対戦相手に対して、速いパスワークと流動性・連動性ある動き、技術レベルの高いドリブルや個人技で、美しい突破の連続。シュートの意識も全員高いし、特に目を引いいたのは、相手ゴール前でダイアゴナルに走り込んでくる(斜めに走り込んでくる)動きが多いことだ。

FIFA(国際サッカー連盟)の公式Webでも日本チームを特に称え「優勝候補」とまで賞賛していたのだが、クオーターファイナルで2-2からイングランドにPK負けは惜しかった。

まあ、それだけ「美しいサッカー」をやっていると相手も研究してくるし、連戦による疲労もたまってくる。日本だけが異次元のフットボールをやっていて(やろうとしていて)他の国はゴリゴリのガチガチの玉蹴りをやっているに過ぎないのだが、トーナメントに入ると、そういうチームにこういう敗退の仕方はよくある話。ワールドカップの歴史も、その大会で最も美しいフットボールのチームは優勝できないことを物語っている。

ベスト8で敗退してしまったが、U-17女子日本代表チームにはそれでも大きな希望と期待がある。今夏の北京オリンピックでの「なでしこジャパン」といい、女子はこんなにもファンタスティックなパフォーマンスを見せるのに、男のほうは一体ナンなんだ?

さて、11月1日のナビススコカップのファイナルは大分トリニータが清水エスパルスとの間で争われ、トリニータが優勝。リーグ戦、カップ戦を通じて、初めて九州から優勝チームが出たことになるし、Jリーグ全体としてもたいへん素晴らしい出来事だ。試合前はこのところ好調のエスパルスが有利と思っていたが、どうもエスパルスのチーム状態はピークを過ぎてやや下降線に入ったところだったようだ。昨日(8日)のJリーグの試合を観てもそう思われる。トリニータは、いつもながら中盤底の2枚のブラジル人選手、ホベルトとエジミウソンが効いている。これは昨年からそうだが、中盤底の2枚をこのようにブラジル人で構成してしまうという使い方もあるわけだ。

ナビススコカップのファイナルは東京の国立競技場での1発勝負なのだが、関東圏のチーム同士でないカードにもかかわらずチケットは Sold Out になったことも素晴らしい。

地上波TVの視聴率はちょっと低過ぎるが、TV視聴率は各局が横断的に毎日扱わないと(これを「煽り」ともいう)数字は出てこない。

ところで、ナビスコカップの優勝チーム(チャンピオン)はトリニータになったわけだが、国際的には通常カップ戦のチャンピオンは「カップウイナー」と呼ぶ。「チャンピオン」もしくは「チャンピオンチーム」と呼ばれるのは、リーグ戦の優勝チームだ。ま、それだけリーグチャンピオンが最も重要視されるということ。それが国際標準です。

そして、ガンバ大阪が挑むACL(アジアチャンピオンズリーグ)のファイナルだ。第1戦は5日にガンバのホームで行われ、これも素晴らしい内容でアデレードを寄せつけず3-0の快勝。これで絶対的に有利になった。

11月12日にはアウェイでアジアチャンピオン“決定”を目指す。

この試合、4-5-1にして、中盤底は橋本と明神でおさえ、その前に佐々木、遠藤、二川の3人を配したようだが、特に佐々木を右サイド高い位置に入れた西野監督の選手起用は見事というべきだろう。速いボール回しによる柔軟で攻撃的なフットボール…加えて、やたらと急いでばかりでなく臨機応変にポゼッションしてゆったりしながら周囲がさらに動き出して加速する緩急ある攻撃…これでしょ? 日本のフットボールは。私は録画してとりあえず残して保存している。

12日はくれぐれも油断しないように。

まだ何が起きるかわからない。それでも常識的に考えて優勝は決まったも同然…でも、ゆめゆめ取りこぼしのないように。

(2008/11/9)