2008年10月28日〜あの「ドーハの悲劇」からちょうど15年目の日

前回、フル代表の中盤底の「守備専」の候補としてガンバ大阪の明神をあげたが、浦和レッズの細貝はどうでしょう、という意見をいただきました。

ええっと、はい、細貝をうっかり忘れておりました。

ここのところ非常に伸びてきている22歳の細貝はファインゴールも見せてくれるし、確かにフル代表で試してみたい選手だ。他には、もう26歳になったが鹿島アントラーズの青木も候補だが、青木は8月のウルグアイとのテストマッチでスタメンで試されている。この時の青木はぶっちゃけよくないデキで、それから呼ばれていなし。U-23の頃もそうだったけど、代表のユニフォームを着ると本来のパフォーマンスが出ない性質なのだろうか…しかしJリーグではアントラーズのチームの要になっているのは実際だ。

中盤底の「守備専」といえども、守備だけしかできないのでは「×」なわけで、大きな展開力、正確なロングパスにミドルシュートが不可欠。

細貝にしても青木にしても、ようやくそうした部分を備えた選手が出てきた。それまでは「守備専」といえば本当に「守備だけ」だったから。

それから、以前から私が注目している、清水エスパルスの21歳の枝村が最近イイ。

もっともエスパルスのシステムがやや変わり最近はトップ下に入って、ゴールも増えてきている。

さて、10月22日のACL(アジア・チャンピオンズリーグ)のセミファイナル第2戦、浦和レッズVSガンバ大阪の一戦は、なかなかに見応えのある試合だった。レッズにとってはアウェイだった第1戦を1-1で切り抜けていたので、「アウェイゴール」を考えれば普通にレッズ有利。

しかし、最近のレッズは全くの不調。

元々個人プレー頼りで組織の完成度・成熟度が低いのだが、それに輪をかけて最近のデキは酷い。もちろん試合内容も面白くない(元々面白くないが)…そんなレッズだが、この試合では前半から見違えるようなパフォーマンスで(それだけ気が入っていたのだろうけど)先制点も奪ってしまう。

こうなればますますレッズのファイナル進出が見えてくるのだが、それは自らを鼓舞するかのような“飛ばしすぎ”だったか…ガンバはそれも折り込み済みだったかのように着実・的確な選手交替と戦略で慌てずに押し返していく。特に、中盤底の遠藤を1列前へ出してからはレッズのほうがそれに対応できず、いや、むしろ余計な対応をしようとしてバランスを崩していったというべきか。レッズはやはり徐々に動きが止まってきて、それでも試合終了まで各選手は懸命に運動量をキープしていたが、セットプレーから同点、逆転され、さらにはフォワードの枚数を増やしていっそうバランスを悪くしてしまって追加点(ダメ押し点)を奪われて1-3。ガンバの快勝。

レッズは自らの不調とチームとしての未成熟さによる自信の欠如から、ガンバの戦略に対応しようとしてかえって墓穴を掘ったような感じもする。

レッズは確かに日本を代表するチームであろうが、やはりそろそろ、それに相応しい試合内容、パフォーマンスを見せられるチームへと改造しなくてはならないのではないか。

個人プレー頼りでなんとなく凌いできた感が強いが、もうそれは限界だろう。

監督をはじめコーチングスタッフを一新して、チームを構築し直すべきだろう。

それにしても、Jリーグ同士の対戦となったこの試合、非常に見るべきところが多かった。

これを地上波TVで放映しない、放映しないにもかかわらずAFC(アジアサッカー連盟)主催試合の放映権を相変わらず独占し続けている(今年が更新だったのに契約延長を獲得しやがった)某テレビ朝日は、たぶんサッカーがフル代表以外の試合でも注目されることを回避するために独占契約を維持し続けている(あえて「買い殺し」している)のだろう、というのが通説(?)だ。

さて、これでACLのファイナルはガンバ大阪とオーストラリアのアデレードの対戦となった。アデレードはクオーターファイナルで鹿島アントラーズを第1戦(アントラーズのホーム)では1-1、第2戦(アデレードのホーム)は1-0で降しているのだが、ぶっちゃけ特に脅威に感じるところはないチームだ。

ただ、選手がデカい。

それを生かしてパワープレーに持ち込んでくる(それしかない?)ので、ガンバがそれに付き合わずに自分たちのプレーができれば、フットボールの質・クオリティからして勝つべき相手だ。それと、そういうわけでデカいので、ゴールチャンス、シュートチャンスにリーチの長さを生かしたディフェンスが厄介ではある。

しかし相当苦労するだろうな。

鹿島アントラーズも、もちろん選手層の厚さ、選手層のクオリティの高さではJリーグのトップクラスだが、もう一方で、Jリーグの中ではフィジカル勝負の側面も持ち合わせていることに気づく。

そのアントラーズが、アデレードにはフィジカル勝負で上回れなかった。

アントラーズの好調のフォワード、マルキーニョスもアデレードのディフェンスに対してはJリーグの試合におけるようなパフォーマンスは発揮できず、むしろ中央のディフェンスを避けて、サイドに位置取りしてチャンスを伺うような気配が見えた。そういうアデレードの壁をガンバがどう崩すか。もちろん2年続けてのJリーグのチームの優勝を期待したいものだ。

ファイナルもホーム&アウェイ。第1戦はガンバのホームで11月5日、第2戦はアウェイで11月12日だ。

Jリーグ(J1)も10月25・26日の試合を終えて残り4戦となった。残り試合の対戦相手を考慮に入れて、なおかつチーム状態や安定度を考え合わせれば、小笠原満男がケガで離脱したとはいえ、鹿島アントラーズが最も優勝に近いと思われた。

しかし、26日はFC東京がアントラーズを撃破。
これでまたわからなくなった。


この試合、東京スタジアム(味の素スタジアム)でのFC東京のホーム試合だったが、TVで観ていても素晴らしい雰囲気の中での凄い熱戦で、先のACLの浦和レッズVSガンバ大阪の一戦ともども、こういう試合をいつも見せていればJリーグの人気も魅力も増大するのにな、と思わずにいられない。

しかしアントラーズは、右サイドバックの内田のオーバーラップを徹底的に突かれていた。

アントラーズと対戦する他のチームもやってね。
そうしないと面白くない、内田も成長しない。


FC東京の長友は、この試合では実にアグレッシブでよかった。

この他にもJ1の残留争いの試合も凄かった。

特に大宮アルディージャVSジェフ千葉だな、熱く濃密な90分間だったのは。

それと、J1への昇格を争うJ2の戦いが例年のごとく凄まじい。既にサンフレッチェ広島が昇格を決めているので、あとは自動昇格できる2位か、J1の16位と入れ替え戦に臨める3位か、ここに滑り込むための熾烈な争いだ。

25・26日を前に、モンテディオ山形が勝点65、ベガルタ仙台が勝点62、湘南ベルマーレが勝点59、サガン鳥栖が勝点58、セレッソ大阪が勝点57で、ここらあたりまでだろうな、3位以内に滑り込める可能性があるのは。

そして25日にはサンフレッチェ広島のホームでサガン鳥栖が「勝点3ポイントを得るためにリスクを犯してゴールを奪う」ためのガチンコ勝負を挑んでいった。

いや〜、J2ではそのパスワークと流動的・連動性あるパフォーマンスでイマジネーション・ワンランク上のサンフレッチェに対して果敢に前へ前へと押し上げ、前半は非常に拮抗した勝負を展開していたが…やはり後半は、サガン鳥栖の足が止まったとか運動量を落ちたというわけではないのだが、さすがにサンフレッチェが段々と攻略を成功させていって5ゴール。サガン鳥栖も1ゴールを返して意地を見せたが玉砕。これでサガン鳥栖の昇格可能性はもうなさそうだ。

26日は、これも、ここで勝たなくては昇格可能性が消えそうなセレッソ大阪がホームでベガルタ仙台と対戦。ベガルタに先制を許したが、タレント豊富なセレッソが前半で3ゴールを奪って逆転…しかし後半は、ベガルタが中盤底を厚くするとセレッソの攻勢はピタリと止み、それにメンタル的なこともあるのだろう…もちろんもう1点奪って止めを刺そうと頭ではわかっているのだろうが、それに身体とメンタルが伴っていかないというか、やはり前半で3-1とリードしてどっかで安心するところがあったのだろうな…ベガルタに逆に3ゴールを奪われて3-4の逆転負け。

ベガルタは、これまでムラの多かった(観ているほうとしては物足らなかった)攻撃の若い選手たちがこの日は頼もしいパフォーマンスで、ラストスパートへのエネルギーを感じさせた。

そして26日はモンテディオ山形のホームで湘南ベルマーレが対戦。どうしても勝点3が欲しいベルマーレだったが、やや余裕のあるモンテディオのゴールをこじ開けられず、このままドローかと思われたロスタイムにモンテディオの決勝ゴールが生まれて1-0。J2もあと4試合だが、自動昇格の2位はモンテディオ山形とベガルタ仙台の争いになるのだろうか。

ベガルタ仙台には久しぶりのJ1復帰を果たして欲しい(あの仙台スタジアム、現在はユアテックスタジアム仙台というべきか…のフットボール専用の全席屋根付きの素晴らしい雰囲気をまたJ1で楽しませて欲しい)が、

もう一方で「J1復帰」のチームばかりでなく、まだJ1へ上がったことのないチームの昇格も見たい。

そういう意味ではモンテディオ山形の昇格も見てみたいものだ。チーム運営、クラブ経営の基盤や能力からして間違いなく1年でJ2へ降格にはなるだろうが、実はモンテディオ山形の組織形態は「社団法人」で、そういう新たな組織形態でのJ1クラブというのも、また意味なり意義なりがあるのではないだろうか。

代表チームばかり(だけ)追っかけるのも自由だし魅力あるかもしれないけれども、その基礎・基盤はJリーグ。

Jリーグが面白くなければ代表チームも面白くないわけで、身近なところに(J1であれJ2であれ)Jリーグのチームがあること、Jリーグをめざすチームがあることは、やはり実に幸せなことだ。

「ドーハの悲劇」…時々不意に思い出して「あれがなかったらどうなっただろう」「あれがあったからこうなれたんだ」などと感慨に浸ることがある。「ドーハの悲劇」がなければ、2002年のワールドカップは日本の単独開催だったと思うし。まだ2002年の段階ではワールドカップの単独開催は早すぎたとも思うし。

その「ドーハの悲劇」は15年前の今日。

(2008/10/28)