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6月2日に行われたオマーン戦、私はロースコアでの接戦になると書きましたが、まったく危なげない試合展開で、ゴールも着実に積み重ねて3-0の快勝となりました。 たいへん申し訳ありませんでした! ま、日本チームが「普通に」やれば3-0くらいにはなるハナシなのだけれど、なにしろプレッシャーのかかるワールドカップ予選だし、相変わらずチームづくりができてないし、ということで、そのような予測をしたのでした。 特に、遠藤を中盤の2列めでなく2.5列めに置いたのが非常に効果があって、遠藤はほとんど相手チームからのプレスを受けることなく気持ちよくプレー、中盤底からのプレイメイカー、コンダクター役として自在にボールを散らしてましたね。 もっとも、オマーンもそれに全然対処してこない(対処できない)し、そんなものだとも思うし、でもこれは岡田監督の采配・判断が良かったと言うしかないでしょう。褒めるときは褒める、認める時は認める、というわけで。 ただ、遠藤は元々ここですよ。なぜか代表ではもう少し高めに入れられてきていただけで。 フォワードはやはり玉田と大久保だったけれども、やっぱりあらためて思ったのは、粒(身長や身体の大きさのことではないよ)が小さいね。 こりゃ〜日本代表は「0(ゼロ)トップ」って言ったほうがいいな、って周囲に言いましたよ。 「0(ゼロ)トップ」というのは、知っている人は知ってると思うけど、数年前からイタリアのローマのシステムを主に指して表現される言葉。ローマといえばトッティだが、トッティはフォワード(トップ=最前線)が得意なわけではない。しかし、フォワードがいなくなってしまった時、監督のスパレッティ(名波がベネチアにいた時の監督だ。あのスパレッティがビッグクラブの監督だもんな〜世の中わからないものだ)はトッティをワントップに起用。 え〜トッティがワントップ!? と驚いたが、これが見てみるとやたらハマっていたのね。 まー、トッティのセンスなんだろうけど、当然トッティは普通のワントップに入った選手がやるようなプレーはできないのだが、それでもトッティ流に攻撃の起点、チームのターゲット役を見事にこなしていたのだった。ずばり、あまり動きすぎず、肝心なタイミングで動いて味方からのフィードを相手マークのチェックを激しく受けない状態で受け、それをワンタッチで落とす、はたく…それを味方の2列めが(2列めの選手たちがワァ〜と)猛然と拾い繋ぎ、そのまた後方からもどんどん味方が沸いてきて相手ゴールに迫る…というモノだったのです。現在のローマはそれがやや変形してきているけれども、それでも相変わらずその片鱗は見られるので、機会があったら着目してみてください。 というわけで、これが「0(ゼロ)トップ」。 で、日本チームはそれとはまた異なる「0(ゼロ)トップ」。 フォワードが1枚(ワントップ)だろうが2枚(ツートップ)だろうが3枚(スリートップ)だろうが、中盤がゲーム(攻撃)をつくり、中盤がフィニッシュする、2列めの位置から出て行ってのシュートを狙う(それが仮にフォワードの選手であっても、最前線よりも少し下がった位置からの走り込みが有効、というか、それでないとゴール確率が著しく低くなるような気がする)という形。 それはお気づきのとおり、フォワードがいない、ということなんだけどね。 オマーン戦も大久保がゴールを決めたけど、あれもそのような形でのゴールだったでしょ。ま、何でもいいや。日本らしい形なり独自性ということで。 この試合で怒りまくったのは玉田だ。 試合開始早々(3分経過くらい)後方から闘莉王がロングボールを入れ、それを大久保が相手ディフェンダーと競ってこぼれたボールに玉田がフリーで走り込んできたのはよいが、なんと! クロスバーの上にフカしてしまった!! 完全な1点モノ。何やってんだよ! 全速で走り込んできて、バウンドしているボールにインステップで合わせたら浮いてしまう危険があるに決まっているじゃないか。 なぜインサイドで叩かなかった? 千載一遇のチャンスだ! ゼッタイ決めてやるぞ!! っていう執念が不足してんだよ。 玉田に関してはもう1つ、前半30分過ぎに、右タッチライン際で松井が技巧的に相手ディフェンダー2人の間を縫って、スピンのかかった低い高速クロスを入れてきた。玉田はニアに走り込んできたのに合わせることすらできない…ファーには大久保も走り込んだが合わせられない…これも1点モノ。玉田のところではちょうどボールがバウンドするタイミングで難しかったとは思うが、技術的になんとかして欲しい。 あと、中盤底にいつもアンカーを1人入れるのに、この試合では鈴木啓太も今野も使わず、遠藤と並べるような形で長谷部を使ったのだけど、長谷部のデキはよくなかった。長谷部としてはアンカーが別にいたほうがやりやすいと思うので、ちょっと可哀相ではあったのだが。7日には今度はアウェイで再びオマーンと対戦するので、その試合では長谷部は危なくて使えないだろうな。 そうです、すぐにアウェイでのオマーン戦があるのですよ。 なんでも現地の日中の気温が40度を超えているとか。こりゃ、省エネで進めて、セットプレイで2点奪って、ケガなどせず、イエローカードなどもらわず、時計を進めて試合を終わらせたいね。オマーン戦に続いて、アウェイでのタイ戦がすぐに(14日)控えているのだ。 オマーン戦は日本時間で7日の22:15キックオフだ。現地は夕方17:15だ…まだまだ灼熱だろうな。 本当なら夜のキックオフだろうに、日本のTV放映(TVビジネス)の関係でこの時刻になっちゃうのだろうな。 選手たちは気の毒だな。私らは夜中でも観るけどね。地上波民放TVの莫大な放映権料が動くからね。どうしてもゴールデンタイムかプライムタイムでないと、これで商売したい向きには困るわけさ。 ところで、三次予選の他のグループだけど、日本だけでなく、ワールドカップ出場常連国が結構苦戦している。 全グループのスタンディング(順位表)はこちらが便利(「フォーリクラッセ」というサイト。通称「フォリクラ」)。ただし随時更新されていくので、あくまで最新内容が表示されるのでご注意を。 韓国は一応グループ首位をキープしているけど2連続引き分け(先日はホームで引き分けた)だし、サウジアラビアも現在2位、イランはなんと、まだ勝点が3ポイントしかない。昨年のアジアカップで優勝したイラクはグループ最下位だし。なかなか混沌としてます。 ところで現在、女子のアジアカップがベトナムで開催されているの、知ってた? 今年2月の東アジア選手権で、日本女子代表チームは、国際大会で初めて「優勝」したのは記憶に新しいところ。女子の場合、アジアでの戦いは実質、北朝鮮、中国、オーストラリアとの争いなので、日本はまだ優勝経験がなかった段階だっただけにどんな大会でもいいから一度優勝するとよかったのと、北朝鮮と中国を相手にする東アジア選手権で優勝したことは価値もあるし、女子代表の進化において大きな前進だと思いますよ。 とはいえ、初戦の北朝鮮戦では、この大会から採用している中盤フラットな4-4-2が全然機能していなくて、ラッキーにもドローに持ち込めたもの。内容では完敗だったし、相当差があったけどね。ただ、残りの韓国戦と中国戦では、中盤フラットな4-4-2が非常によく機能して連勝、優勝を勝ちとったのでした。 この「中盤フラットな4-4-2」だけれども、要は2列めの4人が、ダイアモンド型(ひし形)とか、スクエア型・ボックス型とか、台形とかに並ぶのでなく、横一線に並ぶもの。 ですから、最前線を含めてピタリと3列を構成するもの。Jリーグのチームでもこれを採用するチームが過去にも何度かあって(大宮アルディージャでの印象が割と強いけど。ただし今年のアルディージャは違う)、もしかしたら日本のチームには有効なシステム・フォーメーションになりえたりするかなぁ…などとボンヤリ思ったこともあります。主には守備を重視したシステム・フォーメーションかもしれないけれど、東アジア選手権での日本女子代表チームは、フラットな中盤4枚が攻撃の際には槍のようにどんどん前へ突き出して行っていて、それも結構見ごたえがあった。 そんな日本女子代表チームだったのだが、現在戦っている女子アジアカップでは、グループリーグの初戦の韓国戦を落としてしまい(←そういう取りこぼしはイカン!)、しかもグループリーグ最終戦がオーストラリア戦で、それも2点差をつけて勝たなくては決勝トーナメント進出ができないシチュエーションであったのに、なんと、オーストラリアを3-1で下したのですよ。それによって見事にグループリーグを1位で通過。 男子もできる? こんな風に追い詰められた状況で、難敵を倒すだけでなく注文どおりの点差をつけること。女子代表の逞しさを感じました。 決勝トーナメント(セミファイナル)の相手は中国とのこと。先の東アジア選手権では中国ホームなのに3-0で完勝して優勝したけれども、正直言って、え? 中国ってこんなに落ちたの? という内容だった。中国はもっともっと強かったからね。今回もそれを実証することになるかどうか。借りを返されることのないように願ってる。中国戦は今日(5日)だ。 (2008/6/5) |