ワールドカップ・アジア三次予選に臨むフル代表の現状を斬ってみよう…

6月はワールドカップ・アジア三次予選が4戦も行われることになって、Jリーグはまた長い中断。ヨーロッパ各国のフットボールシーンは、シーズン終了…。

そして、6月7日からは4年に一度のヨーロッパ選手権(EURO2008)が始まるね! ぶっちゃけ、ワールドカップよりもクオリティの高いユーロは凄い楽しみだ。

日本ではWOWOWが全31戦を中継するということだけど、見られない人も多いかもね。私は、また寝不足の日々が始まる。それでなくても、ヨーロッパ・チャンピオンズリーグのファイナルとか、U-23が遠征しているトゥーロン国際大会(フランスで開催)の観戦とかで、早くも寝不足なのに。

しかし、ま、Jリーグが毎度毎度長い中断が入るのはよいことではないのだがね。

国内リーグというのは、クラブチームにとって最も権威の高い戦いであって、それがそのような軽い扱いでは…ね。ま、カップ戦(ナビスコカップ)のグループリーグ残り3戦はこの間行われているので、ナビスコカップのほうがもっと扱いが悪いということになるがね。

J2は変わりなく行われているわけで、代表選手が抜けようが、私は国内リーグは中断なく開催されるべきと思います。

1997年9月から始まったワールドカップ・フランス大会のアジア最終予選は、急に全戦ホーム&アウェイに変更になった(当初はどこかでのセントラル開催の見通しだった)関係で今さら日程変更できず、代表選手抜きでJリーグは開催された。やっぱし観客動員数は低下していたけども。。。あの頃と今は違うので、それほど観客動員数は低下しないと思うけどね。

さて、3月26日にアウェイでのバーレーン戦で負けてしまった日本代表。ワールドカップ・アジア三次予選は残り4戦だ。

最終的にはグループ首位になるとは思うが、フットボールは何が起きるかわからない。どの国も真剣、どの国もワールドカップに出たい! のでね。

ゆめゆめ油断ないようにチームをつくらなくては。またそれは、すぐに始まる最終予選への準備でもある。

バーレーン戦直後の深夜に私は怒りのテキストを書きまして、その中で岡田監督の解任を強く希望しました。やはり解任ということはなされず、岡田監督のままでキリンカップ、そしてアジア三次予選に臨みます。

バーレーン戦で一番腹が立ったことは、いくら時間がないとはいえ、あんな試合への臨み方はないだろうということ。

明らかに舐めてたよね。勝てないまでも引き分けにはなるだろう、と。

ま、実際、悪くて引き分けの試合だったのだが、ゴールキーパーの川口のまるで素人みたいなミスで失点して負けてしまった、という次第。どう見たって、日本のほうが上回っているのにあんな試合をしやがって…しかも、バーレーン戦直前合宿で3バックをやっていると報道されていたので、オプションで練習しているのかと思っていたら、本番でも本当に3バックにしやがった。

いや、3バックでも4バックでもイイんだが、それまで4バックでチームをつくってきていて、いきなり3バックって何?

それも、日本のチームの3バックというのは、海外のチームのように“最終ラインを3人でカバー”するのではなくて、“センターバックが3人”なのであって、左右のサイドをウイングバック(3バックの場合はサイドハーフというよりも守備的なウイングバックという)が戻ってカバーしようというものなので“実質5バック”なのだ(だから、4バックのほうが攻撃的で3バックのほうが守備的と言われる。あまり知識のない人が聞いたら、なんで人数が多いほうが攻撃的で人数の少ないほうが守備的になるの? と思うだろうね)。

そんな守備的な、というか、臆病な戦い方をバーレーン相手にしなきゃいかんの? それが一番あきれたところでしたね。

ところで、ちょっと脱線するが…このバーレーン戦について、日本のメディア(旧来メディア)の中に「力負け」と見出しをつけていたものがあった。

あの試合内容のどこが「力負け」なの??? 負けたことは事実だが、負けたら何でも「力負け」なのか?? 見識を疑ったね。

それから、脱線ついでにもう1つ…スコットランド・プレミアリーグで中村俊輔の所属するセルティックが最終戦で優勝を決めて3連覇を達成したが、これについてもメディアの間抜けな報道が笑えた。実はセルティックは首位に立ってはいたものの、ライバルのグラスゴー・レンジャースの試合消化が非常に悪く4試合も試合消化が少なかったのである。

最終戦こそ同日・同時刻に開催されるのだけれども、それまでにセルティックがたとえ勝ち続けても、レンジャースが最終戦までの4戦を最低でも2勝2引き分けになってくれないと、そうなってくれてやっと勝点で並ぶ、という展開であったのだ。普通に考えれば、セルティックとレンジャーズの2チームだけが突出しているスコットランド・プレミアリーグで、2つ引き分けるなんて奇跡みたいなもので…そんなわけで我々はレンジャースの戦いぶりを固唾を呑んで(というと大袈裟だが)注視していたのだが、実に、本当に奇跡的に注文どおり2つ引き分けしてしまい、最終戦を残してセルティックとレンジャーズが勝点で並んだというわけ。

ま、背景はそういうことで、問題にしたいのはここだ…「セルティック勝点で追いつかれる」とメディアは報道したのですよ。。。違うだろう!!「4試合消化の遅かったレンジャーズが勝点を伸ばせず、セルティック奇跡的に首位をキープして最終戦へ」だろ。

まったく、記事書いた人、本当に試合見てる? 動きを自分で追っかけてる? これだけネットが進展している時代に、どんなに忙しくたって、実際の動きを把握することなんか、瞬間で済ませられるだろうに、ね。 

話を戻しましょう。

5月24日のキリンカップ(ま、テストマッチだよね)のコートジボワール戦を観ましたが、確かに前半のパフォーマンスはよかった。特に、ゴールを奪ったシーンは、これが日本の戦い方! という見事なものだった。

中盤でボールをポゼッションし(フランス・ルマンの松井だったか?)、動かし、その間に中盤の底から長谷部(ドイツ・ホルフスブルク所属)がタッチライン沿いを駆け上がり、そこへ今野(FC東京)から長いボールが出る、そして長谷部から低い速いクロス、それに大久保(ヴィッセル神戸)と玉田(名古屋グランパス)の2枚が飛び込み、玉田のダイレクトボレー。

こういうポゼッションと速いショートパスのボール回し、そして大きな展開、そして速くて“点で合わせる”フィニッシュ、そこには複数の選手の飛び込み…これだと思う。

TVのリプレイでは確認できなかったのだけど、大久保と玉田の2枚が飛び込んだ後ろに、中盤の選手も押し上げているよね?? それだったら、なお素晴らしい。

だが、ミスも多かったし(特に、見え見えのバックパスをカットされるシーンが多々見られたのは萎える)、コートジボワールは2日前にパラグアイと戦って中1日なので、ホームでの試合なのだから、後半もう1点入れて2-0の試合にして欲しかったものだ。

この試合、ゴールキーパーには川口でなく楢崎(名古屋グランパス)を起用したが、これはまったく当然至極のハナシで、私は川口を起用したら岡田監督はよほどどうかしていると考えざるをえないと思っていたのである。それは、Jリーグを観ていれば誰でもわかることで、現在の川口はナショナルチームに選ばれるレベルにまったくない。そもそも、選ばれていることのほうが謎だ。それほど、Jリーグでも川口のプレーはよくない。

だが、もしやコートジボワール戦は豊田スタジアムでの試合だったので地元チーム所属の楢崎を起用したのか?? もし次のパラグアイ戦は川口だったら…やっぱり岡田監督はよほどどうかしているということになるね。

また、中盤底のアンカーの位置に今野が起用されていたのだが、ここにはいつもは鈴木啓太(浦和レッズ)しか使っていなくて今野も使って欲しいと思っていたので、ようやくそうなったのだが、今野のデキは正直ナショナルチームのアンカーを任せられるものではなかった。こんなものではないと思うので、次回に期待したい。

あと、センターバックは中澤(横浜F・マリノス)と闘莉王(浦和レッズ)だったが、もうこの2人は計算できるのだから、他の選手を使ってバックアッパーを充実させて欲しいものだ。阿部(浦和レッズ)がよくここに使われるが、阿部は本来はセンターバックではないし、センターバックでの阿部の鋭い読みをベースとしたパフォーマンスはJリーグでは充分機能しているが、ナショナルチームのレベルではちょっと心配だ。

一方で、左サイドバックには長友(FC東京)をいきなりスタメン起用した。

今シーズンのJリーグでは若い選手で注目するべき選手が数多く出てきているが、長友もその一人。

積極的な動きとミドルシュートはよかった。あと、香川(セレッソ大阪)も途中出場ながら起用したのもよかった。一発、鋭いスルーパスがあったね。

こんな風に、若い選手をどんどん使ってみるのが非常に重要だし、新しい風にもなるし、観ているほうも楽しい。これまで、日本人の代表監督はこのような思い切った起用がほとんどなかったような印象がある。おそらく、使ってみたい気持ちはヤマヤマだったのだろうが、Jリーグのパフォーマンスだけではそこまで思い切れなかったのだろう。Jリーグの積み重ねがこういうところでも生きていると思うのだ。

27日はキリンカップのもう1試合、パラグアイ戦が行われる。コートジボワール戦にさらに積み上げのあるパフォーマンスを見せて欲しいものだ。

さて、クラブチームの戦い、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)はグループステージを終了し、鹿島アントラーズもガンバ大阪も勝ち抜き、9月から始まるノックアウトステージ(クオーターファイナル)は、ディフェンディングチャンピオンの浦和レッズとあわせて8チーム中3チームがJリーグのチームが占めることになった。

ノックアウトステージのドローも5月24日に決定したが、是非ファイナル(決勝戦)は、Jリーグチーム同士の対戦になるよう期待している。

このACLの話題や、北京オリンピックに臨むU-23については、またの機会に。

(2008/5/26)