フル代表・岡田監督の初戦を速攻分析

2008年がスタートし、日本代表は年始からワールドカップ予選(アジア3次予選)への準備に入っています。

そして1月26日にはチリとの国際Aマッチを敢行…内容は乏しくてスコアレスドロー。

あちこちから不安の声があがっているようですね(観戦に行かれたかたがた、本当にお疲れさまです。超・寒かったと思います)。

まあまあ、そんなに騒がずに行きましょうや。ぶっちゃけ、こんなものですよ。

シーズンオフからいきなり代表合宿で、それもわずか1週間ほど。ハイパフォーマンスを望むほうがどうかしてます。そういうことを踏まえて見守りましょう。

ワールドカップ予選が始まる時期(年)というのは、いっつも2月に(Jリーグが開幕する前に)ワールドカップ予選初戦があって、これって日本チームには相当難しい。

前年12月初旬までシーズンがあって、その後も天皇杯で勝ち進めば年末もしくは元旦まで試合が続く選手もいる。それからつかの間のオフ。

所属クラブの練習も始まっていない状況(段階)でいきなり代表合宿なんてムチャ。

しかも今年のワールドカップ予選初戦のタイ戦は2月6日ということで、これまで(これまでは2月下旬だった)よりもさらに2週間も試合日が早い。こういう場合は前年の日程を急遽変更するくらいの荒療治をやんないと…ダメだよ。

チリ戦の内容だけど、世間では前半がつまらなかったみたいな声が多いようだけど、私は逆ですね。

前半よりも後半のほうが面白かったという人たちは、惜しいシュートが飛んだからでしょう。

でも私は後半のほうが退屈だった…前半は実は結構楽しめたんですね。やろうとしているフットボールがどんなものか、観察することができたから。

おそらく岡田監督は、日本に対して守備を固めてくるアジアとの戦いを見据えて前(前線)に厚みをかけた攻撃型のチームづくりをしているのだろう。

それが4バックに1ボランチ(最終ラインの前の相手の潰し役であるアンカー1名)を敷いて、2トップ下に3枚の2列目を配置(場合によっては3トップ)というシステムなんでしょうね。フォーメーションで言えば、チリ戦は4-1-3-2という形だった。それは私には理解できるし、一応賛同できます。

もう1つ、岡田監督は特定の選手にゲームメークを委ねるのではなくて、2列目の選手たちにはシャドーストライカーを期待しているのだろうと思う。

つまり、これまでは中田英寿だとか中村俊輔だとかがゲームメーカー(攻撃のコンダクター)だったけれども、そういう特定の選手を中心に据えるのではなくて(中村俊輔が招集されていないからではなくて)、全員が攻撃の起点にもなり、チャンスメーカーにもなり、フィニッシャーにもなるような…その意図もわかるし、それは世界的な趨勢でもあろうかと思う。また、日本が世界と戦っていくためには、全員のそういう部分の底上げということも必要。ですから、それも正しいと思う。

ところが、それならばですね、2列目に遠藤、中村憲剛、山岸の3人ではないだろう。

なぜに大久保や山瀬を使わない? フォワードにしても3トップ気味に行くのかと思ったら普通に2トップだったが、なぜに高原と巻なのか。

前田遼一をどうして使わないのか。

ショートパスを近い距離で繋いで逆サイドへ展開するなどの練習を合宿で重ねていたというが、それならば、もっと動ける選手、スピードのある選手、高さよりも足元の技術の高い選手が他にたくさんいるだろうに。

その辺がすっごい疑問だった。

まあ、1月30日にもう1試合テストマッチ(ボスニア・ヘルツェゴビナ戦)があるので、そこではどんな具合なのか注目だね。

おっと、チリ戦を見た感じでは、そういうわけで前に手数や人をかけているので、守備面では最終ラインに結構負担がかかってくるだろう。

アジア3次予選ならばこのシステム(もしくは、このシステムが熟成した程度)でよいかもしれないが、最終予選になるといくらアジアの戦いとは言え、危険ではあるよね。

3次予選でコケることはないけども、この日程・コンディションでは3次予選初戦の2月6日のタイ戦は苦労するだろうな。

最少得点差でも構わないから、勝点3ポイントとればよいと思うよ。そういう位置づけのタイ戦になるでしょう。

チリ戦は東京(国立競技場)で開催したのに、予測どおり空席が結構あった。あと1万人くらい入らないと満員にはならない感じだったね。そのことでまた「代表人気」がどうのこうのと煽る向きが出てくるだろうけど、

なんでまたこのいちばん寒い時期にナイトマッチで開催するのか、そっちの方が理解不能、思考判断が異常だね。

TV放映権やらTV局の都合やら、そっち方面の商業ベースによるものだろうが、観戦するほうの身にもなってみなさいよ。

ここ連日の寒さの中、3万7千人以上も観客が集まることのほうが凄いよ。


ところで高校選手権だけど、そろそろリーグ戦にしませんか。

全国高校○○大会というのは1回戦からトーナメントの一発勝負というのが日本人的な歴史と感覚なのかもしれないが、

もう時代に合わない。

少なくともフットボールでは。ワールドカップなどと同じように、グループリーグ(グループステージ)を導入すべきだ。それが質や内容の向上にも繋がるし、選手たちのためにもなる。

もちろん日程も見直さなくてはならない。それに、ファイナル(決勝戦)だけが45分ハーフでなくて、もちろん全試合45分ハーフにする。

もう1つ、民放が地元の出場校の試合だけを中継する形が長年続いているが、放送するなら録画であろうとも全試合全国中継していただきたい。いや、全試合全国中継すべきである。

日本代表も気になるけど、私はJリーグの開幕(3月8日)が今から楽しみで仕方がない。そういう人も多い。今年はアジアチャンピオンズリーグに3チーム(浦和レッズ、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪)が出場しなくてはならないし、日本代表のワールドカップ予選もあるし、北京オリンピックもあるし、凄まじい過密日程になる。Jリーグも思わぬ展開になりそうな予感がする。

日本のサッカーファン(サポーター)熱は確かに日本代表が牽引してきた。

しかし、もう何年も前から自分の地元のクラブチームに軸足が移っているサポーターやファンは多い。それは「代表人気」の低下とかいうものではない。

地元のクラブをサポートする…地元のクラブを中心に回っていく…その延長線上に代表がある…それは実に正常な矢印ですよ。なんか、サッカーファンやサポーターのほうが、組織(サッカー協会)やメディアをはじめとする商業ベースの業界の感覚や発想よりも国際標準化してきているみたいだ。
(2008/1/28)