イビチャ・オシム氏のご快復を心よりお祈り申し上げます

さて、2007年のフットボールシーンも大詰め。11月から12月にかけても実に多くの出来事がありました。

いや〜本当に次から次へと楽しめます。

まずは、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)…浦和レッズがなんとか優勝してくれました。

ああ、良かった。とにかく良かった。地上波TVも数多くの声の力で生中継させることができたしね(このコンテンツを“飼い殺し”してるのはテレビ朝日です)。

ま、ファイナル(決勝)のホームでの2戦めも、内容はまったくもってグダグダだったけどね。なんか、ジーコ監督時代のアジアカップでの(優勝こそしたけれど)日本代表みたいだ。引きこもって中盤も動きが少ないのでボール回されっぱなし拾われっぱなし。アタックは前の3人にお願い、っていう感じ。これってワシントンとポンテがいるからできるんだということに過ぎない。←ま、それが2週間後にJリーグ優勝を失うことに繋がるのだが。

ともかく、これで日本で開催されるクラブワールドカップに日本のチームが「アジアチャンピオン」として出場できる。

ただネ、ACLのファイナルで当たったセパハンとクラブワールドカップで再度戦わなくてはならない可能性があるので、その時はくれぐれも足を救われないようにお願いしたい。そんなことになったらミットモナイから。

その次の週は、U-22日本代表がなんとかオリンピック出場権を獲得。

出場権を獲得したこと自体はホントOK!なんだが、こっちもまぁなんと言うか、あんな試合内容じゃあなあ…

私はずっと監督交替を主張してきました。
今でもその主張にいささかの揺らぎはありません。


予選を勝ち抜いて本大会への出場権を獲得した…そうしたらまるで「ご祝儀」のように同じ監督が引き続き采配をふるう…これっていかにも日本的。予選は予選、本大会は本大会と、キッチリ体制をとるようになって欲しい。アジアの予選と本大会とでは(どちらも厳しい戦いだが)まったく戦い方というか、戦いの質というか中身が違うんだから。

Jリーグ最終戦…J2からJ1への昇格争いのデッドヒートも例年のごとく凄かった。

そして、J1・J2入れ替え戦を戦うことになったのはサンフレッチェ広島と京都サンガ。これも楽しみだなぁ。京都サンガのホームで行われた第1戦は2-1でサンガの勝利。

サンフレッチェは誰が見ても選手の粒は揃っているのだけど、Jリーグ終盤の戦いぶりをスタジアムで見たけれども、なんか選手たちが自信を失っていると言うか、頭の中の整理ができていないというか、それに最終ライン−中盤の低い位置−中盤の前目−前線の4ラインが連動してなくてバラバラな感じがする。

選手のクオリティだけでは勝てないフットボールの難しさ、かね。とにかく問題点がいくつも目についた。入れ替え戦の第1戦でもまったくそれは解消されていないように感じられたので、第2戦はサンフレッチェのホームだけれども、危ないね。

ヴァンフォーレ甲府がJ2へ降格してしまったが、選手同士がスモールエリアに素早く寄せてきての早いプレッシングと小気味良いショートパスでのボール回しは面白かったし(もうちょっとロングパスも欲しかったなぁ)、各方面での評価も高かっただけに残念。

ま、フィニッシュ=「ゴールを奪う」「ゴールにボールを入れる」ところがどうにもタレント不足だったね。

昨年まではバレー(今シーズンからガンバ大阪)がいたからなあ。あと、J1での2年めで相手チームも研究してきたから、ボールを奪ってから素早くスモールエリアの逆サイドへ展開されて苦労したようにも思う。

ヴァンフォーレ甲府の場合は、クラブとしての経営も(Jリーグのクラブ経営情報開示 を見てもわかるように)優良で、その意味でも降格は残念…またJ1へ戻ってきて欲しいし、自前の若い選手を育てて行って欲しいね。

そしてその選手がヴァンフォーレ甲府で活躍したり、ビッグクラブから求められたりする(移籍のオファーが来る)ような、ね。それが地方都市でのクラブの在り方の一つだよ。

でもってJ1の優勝は、どう見たって浦和レッズで決まりだったのに、めったにお目にかかれない冗談みたいなドンデン返しで鹿島アントラーズのモノに。

残り5試合で10ポイント(勝点10)離れていたんだからね。さすがに浦和レッズは最後ヘロヘロだった。

ターンオーバー(選手の入れ替え)をやんないと、ACLもカップ戦(ナビスコカップに、ナビスコカップ閉幕後には元旦ファイナルの天皇杯が始まってる)も並行して戦ってきて、さすがに選手が壊れるよ。実際、ポンテもリタイアしてしまったし、クラブ・ワールドカップは大丈夫ですか?

これ以外にも、J2のもう1つ下のJFL(JFLというのは「Jリーグ」ではないけれども実質的に、J1=1部リーグ、J2=2部リーグに続く3部リーグになります)からJ2へ昇格するチームも注目したのだけど、ロッソ熊本(「ロアッソ熊本」と名称を変更するらしいが)とFC岐阜の2チームが決まった。これでJ2は来シーズンは15チームということになる(チーム数が奇数なのは変則なので偶数にしてもらわんとなぁ)。

まだある。

全国地域リーグ決勝大会というのがこの時期に行われてて…

ですね、これは全国9つある各地域リーグで優勝なり上位の戦績をあげたチームを集中開催で戦わせる、しかも「一次リーグ」と「決勝リーグ」と2つのステージを連日(「一次リーグ」と「決勝リーグ」の間は1週間空くが…とは言え、3連戦した後に1週間しか空かない!)戦わなくてはならないという過酷なもの。全国地域リーグ決勝大会の上位チームは来シーズンにJFLへ昇格できるという、特に将来Jリーグ参入をめざして活動しているクラブにとっては、これもまた“運命・生活のかかった”戦いなわけです。

私はこれも追っかけてたんだけど、将来Jリーグ参入をめざしているファジアーノ岡山FC、ニューウェーブ北九州、FC Mi-O びわこ Kusatsu の3チームが来シーズンのJFL昇格が決まりました。

…私、“生活のかかった”戦いに惹かれます。

最後に触れなくてはなりますまい…日本時間で11月25日の深夜、2010年ワールドカップ予選のドロー(組み分け抽選)が行われました。アジア地区では「3次予選」の組み分けということになります。

この3次予選から、日本を含めたシード国が参戦。いよいよワールドカップ予選の熾烈な戦いが来年2月から本格的に始まります。

この3次予選を勝ち抜き、さらに最終予選を勝ち抜かなくてはなりません。また一喜一憂する日々が再来年(2009年)まで長丁場で続くわけです。もちろん、Jリーグ各クラブの戦いも並行して楽しみながら、ね。

そして日本代表(フル代表)は現在の緊急事態に、岡田武史氏を監督に指名しました。

この人選についていろんな人から意見を求められましたが、実は私としては予測どおり…でした。岡田監督がベストの人選と言っているのではない。

ワールドカップ予選が2か月後に迫った緊急事態に日本人監督をチョイスせざるをえないであろう中で、少なくとも1998年のワールドカップ(フランス大会)のアジア最終予選を途中から引き継いで勝ち抜きワールドカップ初出場を果たし、本大会でも采配をふるった(結果は3敗でグループリーグ最下位だったが)岡田監督は、ベストの人選とまでは言う気もさらさらないが、次善とも言えないかもしれないが、次々善か次々々善くらいのチョイスではあるだろう…そういうことです。

ま、そこそこ上手くマネジメントするでしょう。

ただ、岡田監督で帰結ではなく、日本サッカー協会にはインターナショナルな見地から優秀な監督を招聘する(招聘できる)準備と努力を常に行っておいていただきたいです。
(2007/12/7)