フル代表のヨーロッパ遠征&U-22オリンピック予選

9月8日はフル代表のアウェイでのオーストリア戦、9日はU-22のアウェイでのサウジアラビア戦と、いずれも日本時間では深夜〜早朝の試合が2日続きましたね。TV観戦とはいえ、観るほうもなかなかハードです。

フル代表のほうは、オーストリアとスイスとの2連戦。オーストリアとスイスの両国は来年のヨーロッパ選手権を共同開催するので、それに向けての準備が進んでいるところ。

オシム監督になって初めてのヨーロッパ遠征でもありますし、オーストリアとスイスというヨーロッパの中堅国との対戦で楽しみにしてました。

その初戦のオーストリア戦、スコアレスのドロー終わったけど、
第一印象は「オーストリア、大丈夫なんかいな…」
というものかな。オーストリアの監督の試合後のインタビューにあるように、試合は日本のもの。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/kaiken/200709/at00014578.html

試合内容に相応しい結果は2-0か2-1で日本の勝ちだったろう。
それにしてもオーストリア、こんなんじゃ来年のヨーロッパ選手権が心配だ(開催国なので出場が決まっているわけで)…と余計な心配をしてみる。

アジアカップでも見られた日本チームの高いボールポゼッションがこの試合でも見られ、ヨーロッパのチームに対してもそれができることを確認できたのは一定の自信になるでしょう。サイドチェンジを織り交ぜながら相手の守備ブロックを崩していこうとしたのだけど、

もっとフォワードに強さとキレがないと、それにサイドアタッカーに質がないと、決定的なゴールチャンスは生まれにくいよね。

オーストリアの監督にまで、フォワードの能力のことを心配してもらっちゃったし(前掲のコメント参照)。

それと、速攻も織り交ぜないとね。まだ速攻がないよ、この日本チームには。

この試合もフォーメーションは4-4-2で、中盤の底に鈴木啓太と稲本、中盤の前目に遠藤と中村俊輔だったのだけど、確かに稲本は頼もしかった。今シーズンからドイツのブンデスリーガのフランクフルトに移って開幕からスタメン出場を続けているのだが、私は以前も書いたようにブンデスリーガは稲本に合うと思うので活躍を期待してる。

ただ、後半途中に中村憲剛が入ってから縦への速い攻撃が見られるようになった。

稲本も非常に攻撃的な選手だけど、稲本の場合は自分で前へ上がっていって(突進して行って)シュートを決めるのが持ち味。パスで縦への速い攻撃が、中村憲剛でなくてももっとできないのか。

鈴木啓太や遠藤あたりが、そういうパフォーマンスを見せてくれないと。中村俊輔は別として、鈴木啓太と遠藤と中村憲剛の3人で2人分くらいのパフォーマンスができてくれればイイんだけどな(中村俊輔を「別」としたのは別格という意味ではありません。無理だから、という意味です)。

遠藤は2列目からペナルティエリアにするすると入って行く動きはイイんだけど、そっから先は…言いません。皆さんと同じです。

この試合、またしても0-0で、その後PK戦まであったようだけど、そんなのはどうでもいい。次は12日朝にスイス戦。こっちはもっと強いので、どういう試合になるか楽しみ。

U-22のほうは、オリンピックの最終予選の第2戦のサウジアラビア戦。両チームの選手たちをTV映像で見るだけでもわかる、過酷な気候・コンディションの下での消耗戦。サウジアラビアは初戦でアウェイのカタール戦を落としているので、どうしても勝点3ポイントが欲しいところ。日本チームは負けだけは避けたい。そんな背景で迎えた大事な試合。はっきり言うと、日本チームにとってはドローでもよいということ。

試合前に同じグループのもう1試合、ベトナムVSカタールが1-1のドローに終わったことがわかっていたので、日本チームにとっては余計にドローでもよい要素が増えたか。

この試合の日本チームのフォーメーションは3-6-1。右のアウトサイドにはU-20の内田を起用して、1トップは平山でなくてU-20の森嶋、その下に2シャドーという形で水野と家長というシステム。平山でなくて森嶋だった以外は、事前のマスコミ情報のとおり。

システムとして意図はよくわかる。よく練られたシステムなりフォーメーションとも思わないが。ただし、どうしたって準備不足。チームづくりの度合いの低さはぬぐえないなぁ。

負けられない試合なので90分間相応に緊張して観ていたが、危ないシーンも何度かあったがヒヤリ感はさほど大きいものではなく、決定的なピンチはなかった。サウジアラビアの攻撃も、そういう意味では充分対応できる範囲のものだった。攻撃面では3度は決定的なシーンがあり、それが決まらなかったのが残念。また、決定的なシーンが3度はあったとはいえ、もっとゴールチャンスは作れていた…勝点3ポイントを奪うことは充分可能だったといえば、確かにそうです。

けれども、あのコンディションではある意味これで仕方がないとも思われるんですよね。ホームのサウジアラビアの選手たちも消耗が著しかったほどなんだから。涼しい部屋でTVで観ながら、あぁだ、こうだと言うのは簡単だけど、ね。

左アウトサイドの本田圭佑だが(カタール戦はサスペンション=累積警告で出場できないが)そのキックに魅力あることはわかるが、3バックの前のアウトサイドは危なくて怖い。使うのなら4バックの中盤(サイドハーフ)で使うしかないのではないか。

ディフェンス面では危なっかしいし、攻撃面でも他の選手との連動性の部分で有機的な役割を果たしているとは正直言い難い。名古屋グランパスエイトでも3バックの左アウトサイドが多いようだが、グランパスの守備の仕方というか守備システムというか、それは日本チームとはまったく違うからね。いずれにしても使い方が難しい選手だ。

フットボールにおけるディフェンス・守備というのは、自軍に引きこもってゴール前を固めることではない。自軍ゴール前で相手の攻撃をはね返してゴールを与えないだけではなく、相手と競り合う、相手からボールを奪う、相手に攻撃やビルドアップをさせない、ということ。

つまり、オールコートでディフェンスの局面が発生しているわけです。

どうも日本語で「守備」というと、「守備専」「守り」みたいなニュアンスが付随してしまって何となく嫌なのだが、攻防一体の戦いであるフットボールの守備というのはそういうことです。

あと、後半途中から水野に替えてU-20の柏木を入れたけれども、柏木は使ったほうがイイだろうな。

水野を使うよりもイイという意味ではなく。水野も使って柏木も使うということです。こういう辺りからもね、チームづくりが練れてないという感じ。

ま、とにかく予定どおり勝点1ポイントは積み上げた(現在、勝点4ポイント)ということで、12日のホームでのカタール戦が最大のヤマ。カタールが勝点4ポイントのままで来日するのは幸運。6ポイントで来日するかとも思っていたから、その点では少し気が楽だろう。12日は早朝にフル代表の試合を観て、夜はU-22の大事な試合を観なくてはなりますまい。

そうこう言っているうちに、女子ワールドカップが間もなく開幕する。こっちのグループリーグ初戦は11日だ。
(2007/9/9)