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東南アジア4か国(!)で共同開催されているアジアカップ。日本が戦ってきたのはベトナムのハノイ。グループリーグで1位になればファイナル(決勝)までハノイでずっと戦えるからグループリーグは1位にならなきゃダメだ!…という論調で支配されていた今大会。確かにグループリーグで2位になると、それからファイナルまでの3試合すべてが他の国への移動になるので、それはわからないでもなかったのだけども、でもセミファイナルの日本選手たちは、疲労困憊というのがアリアリでしたね。 本当にハノイにずっといるのがよかったのかい?? 私は疑っていた。同じところに3週間だよ…気分転換も必要だろうし、ハノイはいちばん暑いらしいし、そんな所に放り込まれたら。。。ま、それにしても東南アジア4か国で共同開催というのは無茶苦茶だったよね。 疲労のせいにするわけではないが、準決勝のサウジアラビア戦は完敗でしょう。 試合としては面白かったけどね。2度リードを許しながら即座に追いつくあたりは、やはり日本の底力を感じさせたけれども、3度めのリードはイカンよね。 あんな3点目をやっているようじゃ、そりゃ勝てません。 あの3点目、サウジのフォワード1人に日本のセンターバック2人が行って2人とも振り回されてかわされての失点で、観ている人にはちょっとショックな失点だったでしょう。 やはり“個の力”にやられた!…という向きが多いのですが(サッカー解説者まで)そうかなぁ〜。 あれは起こるべくして起きた失点だろうに。カウンター大好きのサウジに対して、しかも(それが作戦だったのだろう)ゴール前をしっかり固めてきたサウジに対して人数をかけて前に押し上げてしまって(押し上げることは必要なんだけれども)、2枚のセンターバックだけが後ろに取り残されて間延びしたようになってしまっていた。 サウジは、日本にボールを持たせれば、そしてスペースを消していれば、サイドチェンジで動かしてくるので逆サイドも蓋をしておこう…そうすると、センターバックの前のアンカーの位置の選手(鈴木啓太)までがボール回しに加わってくるので(中村憲剛は既に縦に侵入するチャンスを伺っているし)センターバックとの間にスペースができると読んでいたのだろうな。 そこにボールを送って、そしてドリブリングからの切り替えし(フェイント)に脆くも中澤と阿部勇樹の2人ともが振り回されるというマズイ守備、そしてゴールキーパーの川口は相変わらずニアを抜かれてしまう。 同じようなことは2点目の失点でも見られていて、あれは右サイドからのクロスをヘッドで叩き込まれたのだけれど、サウジの右サイドにいた選手をケアできず。その選手の近くには遠藤がいたはずだが… 私、そこにボールが出る瞬間「あ!ヤバイ!」と叫んでしまったよ、遠藤のポジショニングが甘かったんだもん。 攻撃面でも、セカンドボールへの反応が鈍くって、ほとんど拾えないとか。スピードアップや緩急がまったくないとか。 ま、選手たちには本当にお疲れさまと言いたいね。 ただね、思うことを2つ書いておきたいと思います。 1つめ。今大会、日本チームは他国から見ても「良いサッカー」「(アジアレベルでは)美しいサッカー」と言われています。そう思うよ。それは誇らしい。 でもね、そうであればあるほど大会中に研究されてくるわけ。 オーストラリアに続いてサウジも、日本チームに対して相当研究して対策をとってきていたでしょう。キックオフ直後から20分くらい(もしくはそれ以上?)日本がほとんどボールをポゼッションしていた(ボール支配率70%以上なんて異常ですよ)けれども、そこで嫌な予感がしていた人は多いのではないだろうか。まんまと“罠”にハマッったね。そしてサウジのチャンスなんて、ほんの数えるほど。それが3ゴールに繋がったのだから。 だからね、研究されてきてもさらにその上を行く、もう一段深いところのスキルなりイマジネーションなり“戦闘術”が欲しい。そこが足らない。日本チームは最初からイイところを全部出し切ってしまって、その先がない。 2つめ。 やはり前回も書いたサイドバックの能力不足。 せっかくチームがボールをキープして時間を作って、その間に高い位置まで動いてきているのに、ボールを受けたらなあ〜んの芸もない。 チームが停滞しているのだから、カットインして(中に切れ込んで)強烈なシュートを枠に飛ばせよ。 縦にドリブリングで突破してくれとは言わない。 せめて(唯一)余裕ある位置とスペースでボールを持てるのだから、30メートルくらいの距離から強烈なシュートや技巧的なシュートを放って、攻撃にアクセントをつけてくれ。 サイドバックなんだから、キックの能力には高いものがあるはずなんだから。 ボール受けたら条件反射みたいにすぐに横パスやバックパスしてんじゃねぇよ(前に出すところがないのはわかるけどね。それは前の選手の動き出しも少なかったか、キレがなかったか、というところでしょう。TVじゃわからないけど)。 アジアカップの3連覇はならなかったが、収穫が非常に多かった。収穫とは「課題」のこと。本番はワールドカップ予選なんだ。私は楽しみだね、見えてきた課題をどうクリアしていくのか、選手の顔ぶれもこれからどう変わっていくのか。 日本がフル代表で本格的にアジアカップに参戦したのは1992年の地元開催(広島)から。その大会で初優勝して、1996年大会(クウェート)ではベスト8で敗退したけれども、2000年大会(レバノン)では他国を寄せ付けない想像性溢れるフットボールで優勝、2004年大会(中国)で2連覇と、ここ15年間の日本チームの戦績はそれはそれはめざましい。 優勝したことでOKしてしまって、その後ワールドカップ予選に向かって課題が修正されないのも危ないハナシだ。(←前回大会のこと) そういう意味では、まぁまぁいいところだったのではないかな、今大会。 おっと、まだ3位決定戦があるね。こちらは勝敗にかかわりなく(もちろん、やるからには勝って欲しいが)選手を入れ替えてフレッシュな戦いぶりを見せて欲しい。連れて行った選手たちに勝負の経験値を積んで帰ってきて欲しい。 (2007/7/27) |