![]()
日本は昨夜(7月21日)のクオーターファイナル(準々決勝)でオーストラリアと対戦し、PK戦で勝ち抜けてセミファイナル進出を決めました。 オーストラリアと言えば、昨年のワールドカップ初戦で逆転負けを喫した相手で、メディアはもとより各方面で「リベンジ・マッチ」として盛り上がっていた様子。私は「リベンジ・マッチ」とは別に、オーストラリアには負けてもらっては困るという強い思いはありましたね。「リベンジ・マッチ」だから、ではなくてね。 今大会のオーストラリア、ヨーロッパでプレーする選手を招集して、ヴィドゥカやキューウェルまで呼んで、顔ぶれだけならほぼフルメンバーと言ってもよいだろう。 ただ、前回書いたように初体験のアジアの戦いで苦戦。それでもグループリーグ最終戦ではホスト国の1つ(今大会は4か国!の共同開催)であるタイに4-0で勝ってグループステージを何とか突破してきたわけ。でも、4-0とはいえ3点は終盤立て続けに奪ったものであり、内容的にはタイがかなりオーストラリアのディフェンスを崩していて、もうちょっとでもゴールマウスにボールを収めるスキルがあれば、オーストラリアのノックアウトラウンド(決勝トーナメント)進出はなかったものだったんですがね。 一方の日本は、誰が観ても、他のグループのチームに言わせても、今大会ここまでのベストチームであり、最も「良いサッカー」をしているとの評価。 いくら日本でTVで観ててグダグダな部分があるなぁと思っていても、それでも今大会「最も良いサッカー」であることは間違いない。 ただね、「良いサッカー」をしているほうが勝つわけではないのがフットボール。 実際にワールドカップでも、「最も優れたチーム」が優勝しないと言われ続けているわけで。だから、「最も良いサッカー」を展開してなおかつ勝てば、たいへんな名声になるわけですね。そんなこんなもあって、オーストラリアに負けてもらっては困る、というわけだったんですよ。 で、私の戦前の予想は2点差勝ちだった。 3-1か2-0か、あるいは1点は奪われるかもしれないから2-1かもしれないが。。。結果的には延長戦までやって1-1。私の予想は外れてしまいましたね。 あ、それと、もし予想どおりに見事に勝ってもね、それでもワールドカップでの敗戦の借りを返せたことには全然ならないということ…それは戦前から思っていたね。それくらいワールドカップ(およびワールドカップ予選)の試合は重みが違う。 借りは永遠に返せないんだよ、同じようにワールドカップで対戦してブチのめすか、ワールドカップ予選で蹴落とすか、そういうことがない限りね。 試合内容としては、これはもう日本のもの。ただ、ヨーロッパでプレーしている選手も多く、元々ヨーロッパからの移民が多いオーストラリアの選手たちはフットボールをよく知っている。この前のU-20のチェコと同じだね(そうそう、日本にPK勝ちしたチェコは、その次のクオーターファイナルでもスペインにPK勝ちして、セミファイナルではオーストリアに快勝して、とうとうファイナル(決勝)進出だよ)。 オーストラリアは、この気候の中で練った戦術で対抗してきたと思われる。 キックオフ直後はパワーをかけて日本ゴールに迫ってきたようだが、その後は日本が落ち着いてボールをキープして回し始めると、無理をせずに対応してきた。 それでも、アジアにはない高さや一発の重みある攻撃はやはり脅威。 一方の日本はチャンスを決めきれず。そうこうしているうちに、後半のかなり時計が進んだ時間帯にコーナーキックから失点。コーナーキックのボールがゴールマウスを横切ってしまって、それを逆サイドから蹴り込まれた。 ああいうの、ままあるんだよね。 ニアの守備が甘いという指摘があるが、それもそうかもしれないが、どうしたってこぼれ球は生じる可能性があるので、逆サイドの集中力が足らなかったかね。 でも、その直後に日本らしい攻撃からすぐさま同点ゴールを奪う。 このあたりは、これまでと比べて徐々にではあるけれども日本チームの底力がついてきたと思うよ。それも歴史の積み重ねだよな。 この後はオーストラリアに退場者が出て1人少なくなったのに、どうしてもゴールを奪えずに1-1で120分を戦い終えたというわけだ。 正直言って、PK戦の前に決着をつけて欲しかった。 それもできれば延長に持ち込まずに90分で。それができれば、本当に地力がついてきたと喜べたのだが。。。確かに、オーストラリアは退場者を出してますます守備的になって、ゴール前に引きこもってきた。なおかつ、ドリブルの上手いキューウェルなんかが日本ゴール近い所にボールを運んで時間を使うだけでなく、いかにもペナルティキックやフリーキックを貰おう、というようなイヤらしいことを仕掛けてくる。そんな状況の中でゴールマウスをこじ開けるには、確かに粘り強くボールを動かし続けて相手守備ブロックのスキを見出す、スキを作らせることが大切だろう。 でもね、さすがに延長に入ってからはそればっかりで正直ガッカリ。もっとチャレンジして欲しかった。 痛感したのは2列目の前目の選手のアタッキングゾーンへの仕掛けやシュートへのチャレンジ。 要は中村俊輔と遠藤…まったく物足らない。 目の前に身長の高い選手が“壁”を作っていても、キミらの技術をもってすれば際どいシュートを相手ゴールキーパーに浴びせることが可能ではないかい? そのこぼれがゴールに繋がることだってある。ドリブリングでの切り込みだって、ドリブルが得意ではなかろうとも、キミらなら相当の技術感あるドリブリングができるだろう?(遠藤、PK戦でのあんなPKがやれるんだから、もっと試合の中でスーパーなプレーができるはずだ) それと、両サイドバックの能力不足。要は加地と駒野(途中から加地に代わって今野が入ったが)のこと。ウインガーではないのだから物凄いスピード突破やドリブリングを期待はしない…けれども、それを補って余りあるクロスやミドルシュートや、対面する相手を1人は抜き去るスキルくらいはあって然るべきだろう。いや、本来はあるはずではないのか? これらはベンチや監督の采配のレベルではない。Jリーグで見せているスキルや能力をもっともっとナショナルチーム(代表チーム)の国際試合で発揮してくれ(正確にはJリーグでもまだまだ物足らないぞ。Jリーグでももっともっと見せてくれ)。 サイドバックということでは、いつもセンターバックのことを槍玉に挙げているが、センターバックは周囲と連携して相手を止めることもできる。最近は、センターバックの選手たちの意識の変化が見て取れるようになってきたことも感じている。それだけに、より1対1で対応する場面が多いサイドバックに、もっと存在感のあるスケールの大きい選手が育ってこないかねぇ。サイドバックがおいしい位置とは思わない傾向があるからなぁ。。。 この試合で、水野や太田をどうして使わなかったのか、という指摘がディープなファンから定期されているようだが、考えはわかる。それだけ、よりスピードやドリブル突破といった仕掛けが欲しかったという思いがあるのは。ただね、フットボールをよく知っている、こういう場合での戦い方を知っている相手に対して、ちょっとそれはギャンブル過ぎる。これがワールドカップ予選で、もう後がなくて勝つしかない場面だたったらイイかもしれないけどね。 PK戦になれば“神がかり”的になるのが川口。この試合でも2本を見事に止めた。アジアでの戦いでは、何度も川口の“確変”“神がかり”的セーブを見てきた。その意味では凄いヤツではある。 ただ、アジアでは川口がハマルかもしれないが、世界の舞台だと川口ではないなぁ、というのが私なんかにはあるんだけど。 これでベスト4には残った。セミファイナルで負けても、3位決定戦があるので6試合全てをこなして帰ることができる、それは大きなことだ。 あと、優勝するチームはノックアウトラウンドで1つはPK勝ちがあることが多い。逆に言わせて貰うと、この試合はPK勝ちしかできなかったのだから、それを満たす結果を期待したいものだ。 (2007/7/22) |