残念…もうちょっと見たかったU-20日本代表
&アジアカップのフル代表、グループリーグの戦いぶり

もうちょっと見たかったよ、U-20

U-20ワールドカップは、グループリーグを1位で突破したものの、トーナメント1回戦(Round of 16)でチェコにPK戦負けでベスト8(クオーターファイナル)進出はならなかった。

もっと見たかった、このチーム。

チェコ戦、2-0とリードしながらPK2本で追いつかれるとは、なんともまぁ。日本の2点めもPKだったわけで、この試合のレフェリーは1試合に3本ものPKを与えたことになる…ちょっと珍しい。一方のチームにPKを与えると、逆のチームにもPKを与えやすくなるわけで(イエローカードやレッドカードも然り)。

PKを得た場合は、逆に今度は気をつけないといけない。

しかもチェコは、その辺を意図してかどうか、そういうプレーを仕掛けてきた。
意図したというほどではないかもしれないが、無意識の意図というか、このあたりに熟練を感じるし、それにまんまと引っ掛かってしまったのが日本だ。

日本が与えた2つのPKも、微妙と言えば微妙なものだった。確かにファウルではある。ペナルティエリアの外なら普通にファウルだが何しろPKになるんだから、PKにはそれだけの重みがあるわけで、そうそうは取らなかったりするもの…

それをPK取られてしまう、PK取られるようなプレーをしてしまう…こういうのが、日本の、あるいはアジアのチームの場数不足というか歴史不足というか、狡さか巧みさかわからないがそういう部分の差なのか、そんなところだろうな。選手だけじゃない、監督やコーチやチームスタッフ全てを含めた総合力みたいなものだろう

ま、とにかく残念だった。

このU-20、U-17の世界大会の出場権を獲得できなかった選手たちで、U-20の出場権獲得すら心配されていた選手たちでもあったのだ。

彼らが見せてくれた日本らしいフットボールを、これからU-22やフル代表で見せていって欲しいもの。

その一方で、ディフェンス面で国際レベルの選手層がやはり薄いか。

センターバックの人材難はやはりある。これが日本の最大のウイークポイントだ。

いちばんのウイークポイントはフォワードじゃないのさ、実は。

それと、両サイドバックも右の内田に左の安田と、どちらも攻撃面でチームのベースとなる存在だけれども(特に安田は海外スカウトに高く評価されていたらしい)、守備の面ではやはり軽いというかヘタクソだ。あの程度の、言ってしまえば中盤の選手程度のディフェンス能力では、U-20とはいえ世界大会なわけで、チームとしては穴になる。安田は元々は中盤の選手で、アジア1次予選では中盤で起用されていた。が、最終予選では代表から外れ、今シーズン、ガンバ大阪で中盤には入り込める場所がないけれども西野監督がその攻撃力を活かすために左サイドバックで起用し始め、そのおかげで今大会の代表に復帰できたというわけ。

そうそう、旧来メディアがまた「個の力が不足」云々と書いているようだが、今回のPK負けはそんな「個の力」などという簡単な表現が適するものではない。

もう少し深く分析や思考してはどうか。「メディア」なんだろ? 昨年のワールドカップ以降に盛んに使われた言葉を軽々しく都合よく大して何も考えずに、ここでも使わないでくれ。

分析とか思考ということなら、旧来メディアには歴史的に決定的に欠落している。

それは日本のスポーツメディアの能力不足であり構造的欠陥であり、1つの特徴・本質だ。だから、一般大衆も見る眼が備わっていかないし、メディア自体も成熟していかない。

日本の旧来メディアは、昔も今も「個人」に焦点を当てるのが好きだ。それも「個人的なエピソード」に…というか、それしかできない。

試合内容の分析とかはほとんどない。

そのことを指摘されると、一般大衆に「興味を持ってもらえるため」とか「身近なエピソードを紹介してわかりやすくするため」などといった理由を平然とあげてくるよね。一般大衆はそれほどおバカじゃないよ、なめてはいけない。実は自分たちが能力がないので、自分たち自身がわかりやすいからそういう記事や取材をしてるに過ぎないんじゃないかね。

脱線したけれども、今回のU-20のグループリーグ最終戦のナイジェリア戦での記事からも旧来メディアの「浅さ」を感じるね。0-0のスコアレスで終わらせたこの試合、「ナイジェリアの猛攻に耐え」という論調だった。

確かにシュート数は大きく差をつけられたが、序盤は20分で3点は奪えていたほど優勢に試合に入ったのは日本のほう。

ボールポゼッションだって、記録を調べてみればナイジェリアのほうがやや高い程度。それなのに、「猛攻に耐え」の一言。だからね、私は旧来メディアの記事は読む気にならないし(それでも我慢して目を通してるけど)得るものや学ぶものが殆どないのですよ。

アジアカップ

さて、フル代表が臨んでいるのがアジアカップ。しかし、とにかく試合環境が酷そうだ。気候の問題、ピッチの問題。

そんな中、日本のグループリーグ初戦はカタール。正直言って、このコンディションでは素敵なフットボールができるわけもない。それに、そもそもアジアの戦いは面白い試合にはならない。テレビ局的には思惑どおりのテレビ的展開や中身になりにくいということですよ。ただ、どんなスポーツでも格闘技でも、「ガチ」というのはそういうもの。日本のテレビのためにやってんじゃないから。そこが、国内だけで完結する娯楽的スポーツとは違うとこですね。そう、テレビ的には「娯楽」になってもらわないといけないわけで。

だから民放テレビの放送では、実況中継そっちのけで懸命に視聴者に危機感を煽って、そういう類の娯楽に持って行こうとしているよね。

でも、それはサッカーファンやスポーツファンは辟易させられることこの上ない。第一フツーにうるさいし鬱陶しいし、サッカーファンでなくともBSやCSでも放送がある場合はそっちで観ている人が多いよ。したがって、視聴率というのは地上波テレビ分だけだから、もっと視聴者は存在しているわけ。

で、カタール戦…さすがに私も、こりゃつまんない試合になりそうだな、スコアレスかな、と思いながら前半を観てました。で、後半、ガチガチに引いたカタールを日本が崩し始める…そして先制ゴールが生まれる。

しかも、流れの中で崩したゴール。この時間帯は非常に見応えあったし、これまでの日本代表ならセットプレーでしかゴールが奪えなかったところだろう。

でまぁ、結果的には終了間際に実にもったない損なファウルをとられて、フリーキックを決められてのドロー。これはいただけない。カタールのチャンスなんて試合全体を通じて2つか3つ?…数えるくらいしかなかったのに。まぁね、そういうことはフットボールではありがちなこと。

勝点3ポイントが1ポイントになってしまったわけだから確かにイタいけれども、ちょっとメディアもサッカーファンも騒ぎ過ぎじゃないか。

まるで第2戦が「背水の陣」みたいな。そういうことでは、ある意味テレビ的な煽りにみんな乗せられちゃっているのかもしれないなぁ。

要は、グループリーグを勝ち抜けばよいわけで、それは1位でなくてもよいわけ。どうしても1位で勝ち抜く必要はないし、それは他のグループの状況を見ながら戦略を立てることではないか。

もう、そういうことができるようにならなきゃ。1位抜けできなかったらNGみたいな、そんなの…優勝争いしたいのだったら、トータルにとらえて戦略的にやって行きましょうよ。

それにね、確かにカタール戦はある時間帯を除いてはプアな内容だったけれども、第2戦のUAEにやられるとでも本気で思うのかね。もしそうだとしたら、やっぱり冷静に見る眼がないよね。

で、昨夜(7月13日)のUAE戦だ。

ね、こんなもんじゃないですか、崩しまくって前半で3ゴールだよ。

ゴール数だけでなく、はっきり差があったわけよ。もっと客観的に見つめられるようにならなきゃね。もちろん油断してよいわけではなく、フットボールは何が起きるかわからないけども、それと客観性とは別の次元でしょ。

UAE戦だが、後半はグデグデになった上に1点奪われて3-1で終了したことが問題になっているが、まぁ確かにそうかもしれないが、そう言う前に前半で3-0となって非常に危険な残り時間になったことに気づかなくてはならない。それは、UAEのアフタータックルやレイトタックルによるファウル、危険なプレーの頻発だ。アジアではこういうことが結構すぐに起こってしまう。それをいなして試合を終わらせることも非常に難しい作業なわけだ。なお望むならば、ゴールを奪って行く時間帯も上手く配分していくことができるといちばん理想的なのだけれどもね。

しかしUAEの3点奪われてからの試合ぶりは、アジアでは相変わらずこういう酷いことがいまだにあるんだよね、ということを再確認させてもらった。これじゃ、アジアはいつまでたってもアジアだよね。

ところで、今大会に初出場のオーストラリアが苦労している。初戦はオマーンに終了間際にようやく追いついての1-1のドロー。第2戦はイラクに1-3の完敗。

アジアの戦いの難しさ、わかったかい? >オーストラリアの皆さん

気候や移動距離といった環境面もキツイだろうけど、それだけじゃないだろう? あなたたちが思っていた以上に、ボールをキープする独特のスキルがあるし、独特の速さと手数でゴールを奪っていく能力もあるんだよ。

ヨーロッパのクラブでプレーする選手が多いオーストラリアには、未知の世界だろうな。
アジアは本当に厄介なんだよ。
(2007/7/16)