GW真っ只中のJ1リーグの観客動員数を斬ってみよう…

5月3日はゴールデンウイーク真っ只中。晴天にも恵まれ、Jリーグ総体としてはかなりの観客を集めた模様。以下はJ1各試合の動員数です。J1合計で221,054人、スタジアム平均=24,562人となりました。

kick-off 対戦カード スタジアム 動員数
14:00 浦和レッズVSジェフ千葉 @埼玉スタジアム 57,440人
14:00 ヴァンフォーレ甲府VS横浜FC @小瀬スポーツ公園陸上競技場 16,279人
16:00 名古屋グランパスエイトVS
大分トリニータ
@瑞穂陸上競技場 14,146人
16:00 柏レイソルVS
アルビレックス新潟
@柏の葉公園総合競技場 13,481人
16:00 サンフレッチェ広島VS
大宮アルディージャ
@広島ビッグアーチ 13,220人
16:00 FC東京VS鹿島アントラーズ @東京スタジアム(味の素スタジアム) 30,436人
16:00 ヴィッセル神戸VSガンバ大阪 @神戸ウイングスタジアム
(ホームズスタジアム神戸)
22,236人
19:00 横浜F・マリノスVS
川崎フロンターレ
@横浜国際総合競技場(日産スタジアム) 33,498人
19:00 清水エスパルスVS
ジュビロ磐田
@日本平スタジアム 20,318人


なかなかの素晴らしい動員だけど、突っ込みどころは満載。

清水エスパルスは完売で、日本平の過去最高動員数を更新。素晴らしい。
ヴァンフォーレ甲府も、歴代2番めの動員数らしい。スタジアムのキャパを考えればこれが限界に近いレベルでしょう。地味な対戦相手だったのに、素晴らしい。

レッズは、完売だったはずなのに6万に届かず??

柏レイソルは、いつもの柏サッカー場だったらここまで入ったかどうか微妙。同じくらいだったかもしれん(スタジアムのキャパの問題)。ただ、わざわざ柏の葉で開催したのだから、もうちょっと行きたかった??

問題は名古屋グランパスだ。なんじゃ、これ。瑞穂は2万超入るよね〜? グランパスは最近は、年間平均でもこれくらいです。

サンフレッチェ広島も、これくらいの動員ならば、わざわざ不便な広島ビッグアーチでやらなくてもイイじゃないの? 4万人以上も入るところにこれじゃあ、観戦するほうも楽しみ半減だ。もうちょっと近くに広島スタジアムとかがあるでしょ。ちなみに広島ビッグアーチは、1992年のアジアカップで、初めて日本がアジアチャンピオンになった感慨深いスタジアムなんだけどね。

で、もっと問題は、横浜F・マリノスとFC東京だな。一見、そこそこ動員しているけれども、どちらも+1万人はやんなきゃ。抱えている人口規模を考えてみなさいよ! と言いたい。

横浜F・マリノスの最近の年間平均は2万2000〜3000人台、FC東京が2万5000人くらい。これが両方とも平均3万人を超えて、名古屋グランパスエイトがピクシー(ストイコビッチ)がいた頃に近づけば、J1全体の年間平均が2万人を超すことは容易なことのはず。

おっと、最近落ち込み激しい鹿島アントラーズも何とかしていただかないとね。昨年は年間平均1万5000人台にまで落ちちゃったからね。成績というよりも、試合内容的に面白くないから、わかる気もするけど。

ところで、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)だが、川崎フロンターレがグループステージ突破を確実なものにした(グループステージ突破は各グループの1位だけという、またアジアサッカー連盟らしい不可解なレギュレーション)。

「Jリーグ初」とか「Jリーグはまだ予選突破すらできていない」とかメディアが書き立てるけど、確かにそれは間違いじゃないよ、現行のACLになってからはね。だがそれ以前のアジアクラブ選手権(リーグ戦チャンピオンだけで争った大会)やアジアカップウイナーズカップ(カップ戦チャンピオンで争った大会)では、何度も優勝してるんだから、「現行のACLになってからは…」という一言くらい付け加えろよ!

浦和レッズも大丈夫とは思うが、オーストラリアのシドニーFCとのホームゲームをきっちり勝つことが必要だよね。是非とも、2チームともグループステージを突破して欲しいものだ。

川崎フロンターレだが、グループステージ突破を争うと見られていた韓国の全南ドラゴンズにアウェイ・ホームとも快勝したのは素晴らしかった。

アジアの戦いは、クリエイティブで美しいフットボールをしたチームが勝つとは限らない。その点で、フロンターレの場合はアジアでの戦いに比較的向いているかもしれない。

2点だけあげてみよう。

まず1つは、最終ラインに高さのあるハードコンタクトのできるディフェンダーが揃っていること。

アジアでの戦いでは、現代フットボールに求められるようなスタイリッシュなディフェンダーは残念ながらあまり必要ない。颯爽とした攻撃参加もね。まず優先されるべきは、相手のアタックをはねかえす強さと高さ、ということになってしまう。

もう1つは、速い攻撃が仕掛けられて、それを人数をかけなくても2〜3人でシュートまで持ち込める攻撃スタイルを持っていること。

これって、ナショナルチーム(代表チーム)のアジアでの戦いにも共通してることでしょ。

そうした点でも、フロンターレはアジアの戦いに比較的向いていると言えるかもしれない。もちろん言うまでもなく、フロンターレがJリーグで最高レベルのチームとはお世辞にも言えない。確かに結果(戦績)としてはトップ5くらいには入るかもしれないが、観ていて具体的には浦和レッズやガンバ大阪とは、選手個々人のクオリティとチームとしてのクオリティにかなりの差があるのが実際だ。

で、昨年あたりから思っているのだが、Jリーグの各チームのクオリティを図る尺度として、フロンターレとの対戦でどんなパフォーマンスを見せるかが1つのリトマス試験紙になってくるような気がする。特に攻撃面のクオリティがあれば、フロンターレのディフェンスラインを結構突破できるはずだし崩せるはず。試合結果はともかくとしてね。

そんな感じではあるのだが、昨夜の横浜F・マリノスがフロンターレを下した試合は、レッズやガンバにないクオリティというかチャレンジで、フロンターレを圧倒したパフォーマンスだった。

一言でいえば「鬼プレス」だろうか。前線と中盤の選手7人による鬼プレスで、それを突破しても交わしても(避けても)、その後ろにディフェンスラインがどっかと控えているという…いつまで持つか、と思っていたらほぼ90分持ってしまった。F・マリノス最近の数試合はこれで連勝しているのだが、いつまで続くだろうか。今がピークかもしれないし、もしずっと続いたら、それはもしかしたら一つのエポックになるかもしれない。

で、その鬼プレスの中心にいるのが山瀬功治(山瀬兄弟の兄のほう)で、彼は運動量とかパスだけでなくて、細かいボールコントロール技術の高さ、ドリブルにシュート力もある。しかも、強いシュートと巧みなシュートの両方備わっている。

もし仮に「中田英寿+中村俊輔タイプ」がいたとしても、それでもさらに持ってないものがある。あとは一発で局面打開できたりゴールチャンスに直結するロングパスとか、大きな展開力とかががあればね。

それと、(昨夜は凄いのを決めたけど)フリーキックをもっと決められればね。長らく腰痛で苦しんでいたが、やっと今年は良い状態のようだ。またJリーグを観る楽しみが増えた気がする。

ところで、5月3日夜の某地上波民放TVの「すぽると」という番組を何気に見ていたら、Jリーグとプロ野球の観客数を一緒こたにしてランキングにして見せてましたね。1位が埼玉スタジアムで、2位と3位がプロ野球で、4位と5位がJリーグで、6〜9位がプロ野球で…こんなことして意味あるの? プロ野球のほうが(1位は譲ったが)観客が多いと言いたいのでしょうか? そもそも、観客数のカウントの仕方が違うものを数字だけ一緒に扱ってアホらしい。

一応言っておきますと、プロ野球は「実数に近い」であって「実数」ではありませんので(それなのに、いつの間にか旧来メディアでは「実数」ということになってますが)。

まぁ、これくらいにしときますね。(2007/5/4)