イタリア、劇的な連続2ゴールでファイナルへ!

ドイツVSイタリアのセミファイナル(準決勝)…どっちもガッツリ組み合って(ちょっとイマジネーションに欠ける試合内容になって)、最小得点の攻防になって、もしかしたら延長に入って、あわよくばPK戦もあるかも…なんて想像(妄想?)は、半分的中して半分外れ。

半分の外れはイタリアのゴールを目指すチーム全体のパフォーマンスによって引き起こされたと言ってよいでしょう

イタリア…バランス良いのじゃない?

そして、積極的にゴールへ向かう姿勢…大体いつもイタリアの試合は守備的とか言われて、つまんなさがられてたのに、面白いゾ。おかげで120分間退屈しなかった。

そしてそして、延長もあと1分で終わろうかというところでのピルロの素晴らしいボールキープとラストパスから、グロッソのファンタスティックなコントロールシュートがサイドネットに吸い込まれる。美しい。しかもダイレクトシュートだ。

グロッソって、左サイドバックだよ。それがあんな美しい弧を描くシュートを決めちゃう。

私は、1990年のワールドカップ・イタリア大会でのクオーターファイナル、西ドイツVSオランダでの、西ドイツのブレーメのコントロールシュートを思い出した(古すぎるかね?)。

その直後、わずかしか残されていない時間に1点を奪うためにギャンブルを仕掛けたドイツを跳ね返し、カンナバーロのインターセプトからトッティ、ジラルディーノ、デルピエロと繋いで、デルピエロのこれまたファンタジーなゴール。素晴らしい。

ジラルディーノの反転パスも素晴らしい…何十メートルも走って駆け上がってきたデルピエロがダイレクトで打てる位置にちゃんとボールを置ける。あの時間帯に、こりゃたいしたもんだ。

イタリアが好きなわけではないけれど、セリエの試合を随分観ているので知ってる選手ばかり。そんな彼らがPK戦まで流さずに奪い取った連続ゴールには、ちょこっと痺れた。

ピルロ…トップ下のトッティのさらに下の位置からゲームメイク。ファンタジスタがトップ下ではちょっと厳しいのでもっと低い位置からのゲームメイクを担わされる例がちょこちょこあるが、この試合でその真骨頂を見せてもらった。日本でも小野なんかがそうだが、小野じゃピルロに全然かなわないよ、ホントに。引き合いに出すのもピルロに失礼なハナシだろう。120分戦っても動くし(小野じゃあんなに運動量なかろう?)これまでのピルロのイメージとは少し違った。そして、あの足さばきとラストパス…時にはトッティを追い越して前線へ駆け上がるタイミングと積極性。

日本の“トップ下から中盤低い位置に移って”ゲームメイクする選手たちは、ピルロをお手本にしていただきたいものだ。

ドイツのパフォーマンスはやっぱりイマジネーションに欠ける。ここまで止まりが正当な結果かもしれない。

日本代表4年間の総括(その9)…大手広告代理店のスキーム臭さを感じすぎないか?

「スキーム」とは「企て」の意…。

中田英寿が突然の現役引退表明…驚きもしなかったが、サッカープレイヤーの常識からしてみれば奇異な感じはする、正直言って。代表から引退するのならわかるが、クラブチームでもっと素晴らしいプレーを見せたい、もっとプレーしたい、と考えるのがプロフェッショナルなフットボーラーだと思うのだが。でもこれは批判ではない。中田自身の決断は尊重されるべきだ。

中田については、間違いなく素晴らしい選手であったし、彼のおかげでヨーロッパのフットボールをディープに知り楽しむことができた。

彼がイタリアのペルージャという地方のチームに入り活躍したおかげで、それまでACミランとかユベントスとかのトップチームの試合しか観られなかった私たちに、新しい光景を提供してくれた。イタリアやヨーロッパにおいて日本人選手のイメージを払拭してくれたこととともに、いちばん感謝しているところだ。

おっと、今回触れたいのは中田に関してではない。中田引退報道も含めて感じている違和感のことだ。

違和感…それは、日本サッカー協会の川淵会長(キャプテン)が帰国後の記者会見で「口を滑らせて」オシムの名前を出したところから(それも危機意識としての違和感が)始まっている。

オシム監督就任騒動も中田引退をめぐる狂騒も、大手広告代理店(はっきり言うと電通)のメディア戦略、と言うか筋書きの中で事が運ばれていることを少なくない方々が感じているだろう。まだワールドカップ期間中なんだけど。

今や「日本代表ブランド」はビッグマネーが動く巨大ビジネス。そこには当然、大手広告代理店が絡んでくる。それによって大きなマーケットが形成され、維持され、拡大されてきている。そして日本サッカー協会もその恩恵を受けている。もちろん、日本サッカー協会の受ける恩恵は代表チームの強化に直結するものであるからして、広告代理店ビジネスを否定するつもりはない。ただし、それはしばしば「行き過ぎ」を招くことがありはしないか。

以前「スターシステム」の問題を書きました。それと同じく、広告代理店主導の「ビジネス」ばかりにかまけてたり広告代理店の「スキーム」に合わせて(乗っかって)ばかりいると、フットボール本来の現実認識や実力認識や怖さみたいなものからどんどんかけ離れていく危険性をはらんでいないか。今大会で既に我々は、メディアの作り出す日本代表に対する幻想や虚構に一般大衆が惑わされ転がされていた光景を目にしている。そして日本代表の惨敗によってそのギャップに多くの人々がとまどい、それを埋めるために? 誤魔化すために? とまどいやショックをやわらげてブランドを守るために? 広告代理店のスキームが発動されていることを。

本当に大事なことは何? 日本のサッカーが日本人にとっても魅力的になること、世界の人々からも魅力的なフットボールと評価され、その結果としてワールドカップでも常連になっていくこと…くれぐれもその原点を忘れないで進んでいくことを願いたい。

ちゃんとサッカーしようよ!(2006/7/5)