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ポルトガルVSオランダはイエローカード16枚が飛び交い、退場者も2人ずつ出すという大乱戦だったが、そういう話題だけを残すにはもったない一戦だったと思う。 本当に見所満載だった。 まずリードしているポルトガルが退場者を出した…それに対応したベンチワークの妙、戦術変更をしっかり遂行できる選手たち。数的有利に立ったオランダも、実に理にかなった交替枠を使って同点ゴールを狙う。双方とも、ベンチワークも含めて日本チームじゃできない芸当だ。 ポルトガルが逃げ切りオランダは早くも姿を消すことに。私の知り合いが大会前に「ポルトガルが結構行くかもしれない」と言っていたが、おみそれしました、という感じ。 オランダは、私は評価高かったんだけど、チームの核になる選手、プレイメイキングする選手がいなかったかなぁ。とにかく粒ぞろいだったんだけどね。 昨日のコラムでは、アルゼンチンのマキシ・ロドリゲスがグループリーグで私の目についた選手と書きましたが、もう1人はポルトガルのマニシェ。この試合でも決勝ゴールを決めて、私のイチオシの選手が決勝トーナメントでも活躍してくれるのは嬉しい。 日本代表4年間の総括(その4)…監督選びの論拠はどこにある? 日本サッカー協会のトップである川淵会長(キャプテン)が、ドイツから帰国直後の記者会見で、次はオシムに打診していることを「口を滑らせて」しまったらしい。 私はイビチャ・オシムはとても良い監督で適任者の一人と思っている(テクニカルアドバイザーで代表チームに入ってもらったらどうか、なんて言っていたこともある)が、川淵会長は本当に「口を滑らせた」のか。 もしかすると、「口を滑らせた」ことにしたのかもしれないなぁ。 それくらいの芸当はやっちゃう人だ。何のために? 批判の矛先を交わすために? 川淵会長はワールドカップ前から、次の監督はジーコの路線を継承する監督にする、などと公言していた。つまり、選手を戦術に当てはめ(閉じ込める)たりしない監督、ということだという。 これは要は、ジーコの前のトルシエの日本代表がいかにも選手の能力を発揮させなかった…トルシエは選手を縛りつけた…そんなまるで“暗黒の4年間”であったかのように言いたげであるように思えるよね。 私は川淵会長がそこまでトルシエを悪く言うのがよくわからない。よほど、トルシエが川淵会長(当時は会長ではなかったが)のやりたいことを邪魔したのだろう。 しかし、そこまで言うのなら、トルシエのどこが問題だったのか、明らかにして欲しい。単に人格的問題とかではなくて、フットボールの戦術として。 そして、日本サッカー協会として考えている個と組織と戦術に関する基本的な考え方を明らかにして欲しい。 でなければ、ジーコの後にオシムだという説明がつかない。もっとも、ジーコを選んだ時も説明がついていないままだ。なぜ監督として素人のジーコを選んだのか、ちゃんとした説明は成立していない。そして、ジーコ路線というのは何なのか、全然明確ではない。選手を戦術で縛らないで選手が自分で考え臨機応変に局面を打開していけるチーム…なんて言っているようだが、そんなの当たり前だ。わざわざ「ジーコ路線」なんて呼ばないでくれ。 私はトルシエの信奉者ではないし、トルシエの限界もいくつもあったと思っている。 トルシエでなかったら2002年大会でもっと勝ち進めたかもしれない。 だが、トルシエのチームづくりに理にかなっていた部分がいくつもある。プレッシング戦術や、中盤を生かした攻撃とか。 当時でも日本のフォワードは脆弱だったので、フォワードはスペースを作り、中盤でのプレスでボールを奪ってのショートカウンターで2列目、3列目の選手がフィニッシュを狙う…一応理にかなっていたわけだ。 そう、だから日本サッカー協会としての監督やチームづくりに関する基本的考えを提示して欲しい。もはやサッカーの日本代表はブランドであり国民的関心事になったのだから、アマチュア的な対応や姑息な手段をとらずに、ちゃんとやって欲しい。(2006/6/26) |